2010.1.31 産経新聞より 産経抄
寒い立春がすぎ
日差しが明るく柔らかく感じられるようで?
よーいどん 
「ライ麦畑でつかまえて」作者J・Dサリンジャー氏は
91歳という高齢で亡くなった。作家として筆を折って40年以上
最後の何十年間は、外部との接触を絶った。
家庭や社会に背を向け、孤独に生きようとする「隠遁」の文学者は日本にも多かった。西行、鴨長明、吉田兼好、松尾芭蕉、種田山頭火らである。だが文芸評論家、・・・
いくつかのタイプに分類されるらしい。
たとえば長明や兼好の場合、世を捨てても「庵」から、俗世や人間を観察する認識者のたちばをとった。これに対し、西行や山頭火らは、隠遁という行為そのものに重きをおいていた。数奇からか修行のためかはともかく,その行為により作品を表夏していたという。
特に西行は晩年には歌も捨て、自らの生涯の痕跡まで消し去ろうとしていた。だとすれば、サリンジャー氏も西行型の隠遁者に近かったのかもしれない。西行がいまだに日本人の心をとらえ、サリンジャー文学が長く読まれるのもわかるような気がする。
だが現実の社会では、西行やサリンジャー氏にお目にかかることはめったにない。権力を握り、世にはばかりたいという人であふれているからだ。中には一刻も早く隠遁したほうが世のため人のためと勧めたい権力者もいる。誰とは言わないが。
人間と自然の調和へリンクします。
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