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2009年08月02日(日)
水平尾翼の失速角度


水平尾翼の失速角度を風洞試験から観察します。
昨年行った試験で主翼のみと(胴体+尾翼)のみの状態でのデータです。
レイノルズ数は主翼平均翼弦長基準でRe=20000

主翼の失速角度は10°
胴体+尾翼の失速角度は15°前後
形状的に胴体が揚力を発生することは考えにくので水平尾翼の揚力と置き換えても良いでしょう。
水平尾翼の最大揚力係数はグラフでは0.2ですがこれは主翼の面積を基準に計算された値です。従って主翼と水平尾翼の面積比を掛けると水平単体の揚力係数となります。
面積比は約3倍ですので水平尾翼の最大揚力係数は0.6と考えられます。
水平尾翼は特別な翼型を持たずほぼ平板で前縁は丸め後縁は少し薄く仕上げています。この程度の平板翼でも0.6まで揚力係数が上がるようです。

主翼と水平尾翼の失速角度を比較すると主翼が先に失速します。
実際の飛行状態では水平尾翼には主翼の吹き下ろしの範囲内にありますので水平尾翼の迎角はこのグラフよりも吹き下ろし角度分右側に出ます。従って失速の余裕はもっと大きくなるでしょう。

航空機の設計では尾翼の失速角度は主翼の迎角範囲よりも広い範囲で失速しない事が求められます。そうでないと姿勢制御しきれない可能性が高くなります。
その方法としては水平尾翼のアスペクトレシオを大きくし過ぎない事が有効です。
ハンドランチに於いては尾翼はなるべく軽く仕上げたいので失速しにくい厚翼は使いません。その代わり薄板でアスペクトレシオの小さな平面形を使う事になります。

ハンドランチでも小さなサイズの機体になるとピッチングで簡単に失速して急降下する場面が多いよう感じます。
ひょとすると紙飛行機サイズの水平尾翼はレイノルズ数の関係で最大揚力係数が小さい上に比較的大きなアスペクトレシオが原因で主翼よりも先に水平が失速している可能性が有るのかも知れません。
2009-08-02 15:56 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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2009年06月23日(火)
丸棒の抵抗は大きいか


滑空のレイノルズ数が大きくなると下面フラット翼型とキャンバー翼型の性能差が少なくなるという話を以前しました。
グラフは楕円翼単体で風洞試験した物です。
どちらも最大L/Dは迎角4°で11となりました。
迎角全域に於いても僅かにキャンバ翼の値が高いですがほとんど同じであると言っても良いほどの差しか出ていません。

主翼翼弦が大きく高速で飛ばすHLGには工作の簡単な下面フラット翼型で十分性能が出ることになります。
ちなみに平均主翼コード10cm、速度4.5m/sでちょうどRe=30000となります。

さて胴体に使ってるカーボンパイプがヨーしてる時の抵抗がどの程度あるのか気になったこと有りませんか。
丸棒を手で振り回すと振動してブンブン音がして意外と手に抵抗を感じた経験は無いでしょうか。
過去の実験例ではレイノルズ数が10の3乗〜6乗の範囲では抵抗係数CD=1.0とされています。
実際は振動が起きると正面から見た面積が増えたのと同じ事でより多くの空気に作用します。従って抵抗係数もより大きくなると考えられます。

直径8mmの丸棒を気流に垂直に配置するとします。この時の抵抗係数は1.0とします。
一方主翼を考えてみます。翼厚8mm、8%の主翼抵抗係数は迎角0°の時0.02だとします。
この値は主翼を上から見た面積あたりの値ですので前方から見た面積に換算すると CD=0.02/0.08=0.25
正面から見た面積が同じなら丸棒は主翼の4倍も抵抗が有る事になります。
ちょっと信じ難い値です。

抵抗を増やさない様にちょっとした丸棒状の突起はなるべく避けるのが良さそうです。
2009-06-23 16:59 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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2009年06月08日(月)
主翼以外の抵抗


揚力を出さない主翼以外の要素、胴体や尾翼ですがこの抵抗がどのくらい出ているかを計測した風洞試験データです。
迎角が小さい時全体の抵抗は小さく、迎角が大きくなれば全体の抵抗が大きくなります。
これは前から見た主翼投影面積に比例して大きくなると考えられるのですが航空力学の教科書では基準となる面積が迎角により変化してしまうと扱いにくいので基準面積は上から見た投影面積と決めて抵抗が増える分は誘導抵抗という訳の解らない抵抗係数を与える事で計算します。

さて本題です。

迎角0°の時全体の抵抗係数は0.045、主翼以外の抵抗係数は0.013。主翼以外の抵抗の割合は全体の29%です。

迎角を増やして8°の滑空状態の時は全体が0.14、主翼以外が0.03ですのでその割合は21%となりました。

迎角が小さい時より大きい方が幾らか抵抗割合が小さいですがいずれにしても1/4ぐらいは主翼以外が抵抗を出していると考えて良さそうです。
性能を上げる目的で抵抗を下げることを重要視しますが主翼の抵抗のほとんどが誘導抵抗によるもので揚力を出している限り付き物ですのでこれを削るのは難しいでしょう。迎角が大きくても抵抗の少ない翼型を選ぶ事で数%の改善が見込める程度でしょう。
そうなると主翼以外の要素を削る事になりますが元々全体に占める割合が小さいですからそれを少しばかり減らしても大きな改善には成りません。
マジックのようなずば抜けた性能がなかなか実現できない理由がここにあります。がんばって抵抗を下げる努力は無駄では有りませんが努力の割には報われないしょっぱい作業です。
抵抗を増やすのは簡単で出っ張りを付けたり流れが剥離するような形状を与えればあっという間に増えて見るも無残な滑空となります。
性能重視の模型屋としては馬鹿な形状を与えて抵抗を増やさないように注意するのが一番の対策なのでしょう。

2009-06-08 17:23 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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2009年05月25日(月)
紙HLGの滑空領域


紙HLGのレイノルズ数は平均翼弦長を50mmとすると約15000となります。
先の風洞試験において一番風速の小さなデータに相当します。
模型の形状や翼型が違うので厳密には同じではありませんが近い性能であると予想されます。
紙の中空翼はこの試験で使ったアンダーキャンバー翼型に近い性能が有ると予想されます。

グラフは風洞模型の楕円主翼だけを天秤に取り付けて空気力を測定した物です。レイノルズ数は平均翼弦長で15000となる風速です。
グラフの黒三角マークがアンダーキャンバー翼型ですが従来の下面フラット翼型(黒四角)に比べてかなり性能が良い事が解ります。
バルサの大型HLG向けとして開発したアンダーキャンバー翼型ですが風洞試験の結果ではむしろもっと小型の機体でその性能が際立つ傾向が見られました。レイノルズ数が30000ぐらいになると下面フラットの翼型もかなり性能が上がってアンダーキャンバー翼型と大差ない性能となります。
ちょうど20000〜25000で下面フラット翼型は性能が急変するデータが記録されています。たまたま翼型成型が悪くてこのような結果出た可能性は否定しませんがこの領域はちょっとした要素で大きく性能が上下する事が有るように感じます。
20000のデータでは下面フラットの翼型にヒステリシスが見られ高揚力で数値が乱れる事が示されています。
この範囲での安定した滑空は難しいでしょう。
良くある経験としてピッチングを抑える為に機首バラストを調整しますがなかなかバランスする重心が見つからない場合があります。
このような空気力が乱れる状況で滑空している可能性が考えられます。

アンダーキャンバー翼型はこのような傾向が出にくくこの範囲のレイノルズ数においてはおおらかな変化を示しレイノルズ数が大きくなるにつれて性能が少しずつ上がる変化をするようです。

2009-05-25 19:21 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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2009年02月23日(月)
大型紙HLGの性能


スパン600mmの大型の紙HLGの性能は昨年行った風洞モデルに近いものになるはずです。
センターコード80mmとするとレイノルズ数は27000となり風洞試験の25000のデータと考えても良さそうです。
全機揚抗比は最大で10程度が期待できます。この値はバルサ製ハンドランチとほぼ同じ性能です。
翼面荷重が大きくなりがちな紙HLGは滑空速度が5m/sぐらいで比較的速いのでレイノルズ数もバルサよりも大きくなり翼の性能としては幾らか有利に働きます。
グラフはフラット翼とキャンバー翼を同じ条件で比較した物ですがキャンバー翼が全ての迎角において高い数値を得ていることが解かります。
揚抗比のピーク付近がフラット翼よりもなだらかで幅広い迎角でも性能が保たれるようです。屋外のハンドランチのように常に気流が変化している状態での飛行に於いてはこの性格が重要です。

文部科学省の委託事業で「飛ぶ」という教育素材のHPを見つけました。
鳥や種子の飛行や風洞試験など幅広い内容で動画も交えて解かり易く解説されています。特に風洞試験の動画では翼端渦の状態が見事に撮影されていてびっくりしました。ぜひ一度ご覧になることをお勧めします。
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0020a/start.html
2009-02-23 18:59 | 記事へ | コメント(3) | トラックバック(0) |
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