ニックネーム:イダヒロユキ 
都道府県:地球
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2010年02月03日(水)
最低賃金、どこまでできるか?

民主党政権がましであることのひとつであるが、最低賃金のアップが、従来の枠を超えて、議論され始めている。だがこの問題は抵抗が大きい。派遣法と同じく、労働法制はもっとも財界側が抵抗するので、古い思考がなかなかぬぐえないところだ。

しかし、民主党は全国一律の時給800円の「全国最低賃金」新設(今後4年以内)や将来的に1000円に引き上げることを主張してきた。

だから政権交代したことは、ましなんである。

ただし、私の意見は、800円など生ぬるい、というもの。生存権、性かつ保護水準と合わせて考えて、最低1000円からはじめるべきだというものである。
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【時事通信】経済 - 2010.01.28
800円へのアップ検討=最低賃金で厚労、経産チーム初会合
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010012801056

 厚生労働省と経済産業省の最低賃金引き上げに関する検討チーム
が28日、初会合を開いた。民主党は昨年の衆院選で全労働者に適
用する時給800円の「全国最低賃金」の新設などを公約しており、
厚労省の細川律夫副大臣は冒頭、「この約束を何とか実現したい」
と強調した。
 最低賃金は現在、都道府県ごとに決められ、2009年度全国平
均時給は713円。800円に引き上げた場合、地方の中小企業を
中心に大幅な負担増になる。
 同日の会合では、最低賃金引き上げの影響を地域や業種ごとに分
析するため、政府による調査を4月に開始し、夏までに調査結果の
概要をまとめることを確認。これを受け、具体的な中小企業支援策
を策定し、11年度の予算要求に反映させる方針を決めた。
(2010/01/28-20:39)



【日本経済新聞】経済 > 経済 - 2010.01.28
時給800円未満の労働者、255万人
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100128ATFS2802E28012010.html

 厚生労働省は28日、経済産業省と共同で開いた「最低賃金引き
上げ対策検討チーム」の初会合で、民主党がマニフェスト(政権公
約)に盛り込んだ最低賃金800円(時給)を下回る賃金で働く労
働者が、2008年時点で255万人と全労働者の8.8%を占め
ることを公表した。検討チームは公約の実現に向け、中小企業の支
援策を含めた具体策を探る。
 最低賃金は企業が労働者に支払わなければいけない賃金の下限額
で、09年度は全国平均で713円。民主党は今後4年間で800
円、将来的に1000円に引き上げることを目指している。
 調査は従業員5人以上の事業所を対象にした。調査結果によると、
正規・非正規社員で800円未満の労働者は約93万8000人。
パートなど短時間労働者は約161万3000人で、4人に1人が
該当するという。都道府県別では沖縄県や宮崎県、青森県で多く、
東京都や大阪府、神奈川県は少ない。(20:34)

2010-02-03 13:49 | 記事へ |
| 労働 / 貧困/反貧困 / 政治、権力 |
人権機関設置、差別禁止法、個人通報制度の実現へ


「国内人権機関設置と各選択議定書批准」を求める動きがあります。
むつかしい言葉ですが、大事なことですので、みなさん、頭の片隅においておいてくださいね。
署名とかが回ってきたら賛同してくださいね。
民主党政権がこれをちゃんとするかどうかも、大事なチェックポイントのひとつです。
自民党政権では決してしなかったです。だって人権が嫌いだからね。

1月26日にはこれに関して 院内集会が開催されています。また 「国内人権機関設置と各選択議定書批准に関する共同要請書」の賛同(団体・個人)の募集が行われています。

以下がそれです。
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共同要請書

内閣総理大臣    鳩山由紀夫 様
国家戦略室担当大臣 菅  直人 様
法務大臣      千葉 景子 様
外務大臣      岡田 克也 様
内閣府特命担当大臣 福島 瑞穂 様

国内人権機関設置と各選択議定書批准に関する共同要請書

私たちは人権に関する法制度を日本国内に確立することを求める市民です。

千葉景子法務大臣は9月16日の就任記者会見で、人権救済機関の設置、個人通報制度の受諾、取り調べの可視化の3つの課題を実現することを明言されました。私たちはこの発言を支持し、実現に向けた取り組みを早期に始めるよう求めます。なかでも、人権救済機関の設置と各選択議定書の早期批准等に関して、以下を要請いたします。

1. 独立した国内人権機関の創設
国内人権機関(たとえば、人権委員会)の設置にあたっては、「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に準拠し、公権力による人権侵害や差別、ならびに市民間における人権侵害や差別を簡易、迅速、実効的に救済する機関にすることが重要です。同時に、明確かつ具体的な差別禁止法の制定が欠かせません。また、運営、財政、人員などあらゆる観点において政府から独立したものとし、日本国内の多様なマイノリティ当事者が人権委員会委員として参加できる機関にしてください。

2. 各選択議定書の早期批准
日本は、自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会など人権諸条約の実施機関から、個人通報制度を定める各人権諸条約の選択議定書を批准し、また個人通報を条約実施機関が審査する権限を認める宣言を行うよう、繰り返し勧告されています。国際的な人権基準を国内でも確立することは、人権
理事会の理事国である日本の責務であると考えます。したがって、そうした勧告を真摯に受け止め、受け入れることを求めます。同時に、関係する国内各法を見直し、整備するとともに、司法の場においても人権諸条約が真摯に適用される環境を醸成するよう努力してください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この取組みの連絡先は、次の通りです。
   人権市民会議
    〒106-0032 東京都港区六本木3-5-11
    tel:050-3532-5523 fax:03-3585-8966
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以上

2010-02-03 02:30 | 記事へ |
| 人権 / ジェンダー / 政治、権力 |
派遣法をまともなものにするというなら
派遣法の改正がまじかに迫ってきています。
今のままだと、ひどいものに終わりそうです。
そして、この間、運動側は、このようなまともなものにしろという意見を出しています。
関西でも、1月19日に「緊急集会 厚生労働省の派遣法答申を斬る!」という集会、1月29日に「11の法律家団体呼びかけによる、待ったなし、派遣法抜本改正!」緊急大集会が持たれました。
どちらも適切に厚生労働省案が批判され、原則は、派遣法そのものを廃止すべきこと、しかしそれが難しい中でせめてまともな改正にするならこれだけの改正をしろという意見が出されました。

しかし、私の個人的な意見ですが、いまのままでは3党による修正でも部分的な修正に終わり、ひどい改正(答申にそったもの)となると思います。
そのとき、「それでもないよりはましだ」ではなく、「今回は改正見送りで、急遽仕切りなおしで、秋に抜本的な法改正をさせる」というようにすべきと思います。


以下、私も少し関わっている大阪労働者弁護団の非正規部会でも検討修正加筆した、大阪労弁の意見書です。起草した人の想いがだいぶ生かされた、なかなかいい文章です。

このようなものになる必要があります。
まともな活動家、労働者、組合、弁護士は、こうした意見を持っています。
しかし・・・
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労働者派遣法の抜本改正意見書
(派遣労働者の権利擁護を求めて)
2010年1月27日

大阪労働者弁護団
代表幹事 大川一夫

第1 総論

1 はじめに

今後の労働者派遣制度のあり方について、長妻厚生労働大臣の諮問を受けた労働政策審議会が、2009年12月28日、その答申を出し、国会にて労働者派遣法の改正が審議される状況である。
今回の改正論議は、昨今の「派遣切り」等の人権侵害状況を踏まえ、労働者派遣法を、派遣労働者を保護する法律に転換しようとする潮流上にあるもので、その方向性は妥当であるが、改正を阻もうとする論(以下、反対論という。)の抵抗により、上記答申は、労働者保護にとって極めて不十分なものとなっている。
そもそも、労働政策審議会の委員は政権交代前と変わらず、従って、労働者派遣問題に対する基本的な観点は以前と変わっていない。答申は、例えば、「『派遣切り』の場面においては派遣労働者の雇用の安定が図られず、製造業の技能の承継の観点からも問題であるとの指摘があった」とか「労働者派遣で働きたいという労働者のニーズが存在し、企業においてもグローバル競争が激化する中で、労働者派遣は必要不可欠な制度となっており…」等と「改正」の趣旨を説明しているが、基本的には経営側の視点から問題を捉えており、派遣労働者の権利擁護という観点が未だ不十分であることが、各論において様々な問題としてあらわれている。
よって、当弁護団は、この答申にかかわらず、今国会で、より徹底した労働者保護が達せられる改正をすべきと考え、以下、答申の問題点を中心に論じる。

2 労働法の基本的趣旨と直接雇用の原則

個別の議論に入る前に、労働法と直接雇用原則(労働者を現実に使用する者が、労働者と直接に雇用契約を結ぶべき原則)の趣旨を述べることにより、「派遣により人を使用すること」の本質的問題点の一端を明らかにする。これにより、なぜ、「間接雇用」である労働者派遣を規制しなければならないのかの理解の一助としたい。
そもそも、労働法は、雇う者(使用者)と雇われる者(労働者)には、現実としての「力の差」(立場の強弱)があることから、労使の雇用関係を当事者の自由にのみ任せては、立場の強い使用者による労働者の人権侵害・横暴が生じがちなので、使用者には人を使用する者としての責任を与え、労働者の生活・人権を守ろうとするのが、その基本的趣旨である。
この「責任」とは、たとえば、仮に業績が悪くなっても、できる限り、労働者の生活基盤を失わせるような解雇は避けようとすべき責任(整理解雇制限法理 労働契約法16条参照)であるとか、労働者が、労働条件等を改善するために労働組合に入った場合には、その労働組合と誠実に話し合う責任などである(労働組合法6条、7条)。この使用者の「責任」は、裏返せば、労働者の「権利」となる。
ところが、労働者に対する法律上の責任を担うことを嫌い、実態は労働者を使用しているのに、「請負」や「委託」を仮装して労働法を脱法し、違法な労働者供給(職業安定法44条)を利用する、悪質違法な使用形態が横行した。
人を使用する立場にありながら、労働法を脱法して責任を回避しようとする発想は、労働者の権利侵害という犠牲の上に自己の利益を築こうとするものであり、断じて許されない。
このように、現実の使用者と契約上の使用者を分離する「間接雇用」は、本来、「労働法脱法雇用」とも名付けるべき、労働者の権利擁護にとって有害なものである。
よって、「いやしくも、人を雇って使用しようとする者は、労働者の権利・生活を守るための法律上の責任を果たすべきである」という価値観に立つ限り、現実に人を使用する者と、労働契約上の雇い主が一致すべきこと、すなわち、直接雇用の原則が、労働契約関係における大原則であるべきことは明白な法理である。

3 本来禁止されるべき労働者派遣

  ところで、労働者派遣が、典型的な間接雇用である点には異論を見ない。
  従って、労働者派遣は、本質的に労働法脱法的な性格を有し、「労働者の権利侵害の犠牲のもとで、使用者の責任の軽減を図る」という本性を持った雇用方法であるという視点を忘れてはならない。
そもそも、労働者派遣法は、経営財界が、その強い要請により(決して、労働者が要請したものでない)、@「ごく一部にとどめる」(専門13業種)A正規職員の代替にはしない(濫用しない)との前提で、違法な人材派遣業の一部につき、適法の道を開いてしまった法律である。
その後、「ごく一部にとどめる」という前提は次々と破られ、労働者の尊厳を踏みにじり、生命に危険が生じる状況にまで追い詰める「人の使い捨て時代」へ進行したことは、周知の通りである。拡大改悪された派遣法が、経営者をして、雇用責任を果たすという矜恃(きょうじ)を捨てることを正当化し、促進したのである。
以上から分かるのは、労働者派遣は、元来決して規制緩和の対象とされるべきでなかった制度だということである。
従って、一部の反対論に、「自由」を制約することを問題視するような論もあるが、そうした議論は、前提にあるべき、上述のような労働法の基本的趣旨を忘れ、また、「労働者派遣=間接雇用」の根本的悪性を洞察せず、それが本来規制・禁止されるべきものであることを見落としている議論であり、その失当は明らかである。

第2 各論
1 登録型派遣の原則禁止について

答申が「派遣労働者の雇用の安定を図るため、常用雇用以外の労働者派遣を禁止することが適当である」とすることは評価できるが、その例外を広く認める余地を残すなど、労働者の権利保護にとって、極めて不十分である。

(1)例外なく全面禁止されるべき登録型派遣

   まず、当弁護団は、本来、登録型派遣は全面禁止すべきと考える。その理由は以下の通りである。
  ア「派遣元が雇っている」と言えるのかという原理的疑問
派遣先に「雇われている」ときだけ、派遣元にも雇われているという登録型派遣は、そもそも、「自己の雇用する労働者を派遣する」という言葉(派遣法2条1項 参照)にも相当しないという原理的疑問がある。派遣元は、「普段は雇っていない」登録者を、派遣先からの要請があったときにだけ、便宜的に雇用契約を締結しているに過ぎないからである。実質的にも、便宜的・一時的に雇用契約を締結するだけの派遣元が、雇用主としての責任を果たしうるのか疑問である。

その実質は職業紹介であり、それならば、労働法脱法的な間接雇用にするのでなく、紹介した後は、本来の姿である直接雇用(実際に使用する派遣先会社との直接契約)とすべきである。使用者の責任が派遣元と派遣先に複雑に分岐する派遣形態よりも、派遣先一本の労働契約となる方が、よほど簡明であるし、労働者の権利擁護に資することも明白である。

イ 「需給調整制度として有効に機能している」との論への反論

答申には、労働政策審議会の使用者代表委員から「登録型派遣は、短期・一時的な需給調整機能として有効に機能しており、これを原則として禁止することは、労働市場に混乱をもたらすことから、妥当でないとの意見があった」との付記がなされている。
「派遣労働は、需給調整機能として有効」とは、反対論がよく使用する言葉であるが、「需給調整」とは一体何なのかが必ずしも判然としない。「需給」とは、「労働力の需要と供給」と考えるしかないが、その「調整」とは何なのか。
登録型派遣の労働者の大部分は長期の安定雇用を望んでおり、これを「調整」する必要などない。

とすれば、「需給調整」とは、結局、使用者が、雇用を自由に「調整」すること、すなわち、一昨年末のような不況時などに「派遣切り」を行う自由を常に確保しておくという、使用者側だけに有利な「機能」を意味するに過ぎない。

ここで、反対論には、「労働者にも、一時的・短期的に働きたいニーズがある」という「労働者のニーズ」を述べる論もあるが、妥当と言えない。
なぜなら、まず、もともと労働者には退職の自由(強制労働の禁止)があるのだから、仮に短期的に働きたい労働者であっても、あえて、「使用者からいつでも契約を打ち切られる」という労働形態を選ぶ必然性があるのか疑問である。
そして、労働者は、基本的には働いて収入を得られなければ生活できないのであるから、労働者の大部分は長期の安定雇用を望んでおり、仮に一時的短期的労働のニーズがあるとしても、直接雇用で短期就労すれば良く、「間接雇用(労働者派遣)が必要」という理由にはならない。
間接雇用が「使用と雇用の分離」からくる本質的有害性を持つ以上、間接雇用を不可欠とするような合理的理由がない限り、本来の原則に戻り、直接雇用とすべきである。なお、直接雇用でも濫用的な有期雇用には重大な問題があるが、ここでは詳しく述べない。

(2)広範な例外を認める危険1〜専門26業務

答申では「専門26業務」は禁止の例外とされているが、この「専門26業務」は現実として違法に広げられ悪用されている実態があり(業務偽装のまん延等)、「例外」がいくらでも広がりうる危険性を有している。
とりわけ、事務用機器操作(5号業務)は、パソコンの普及した現在において真に専門業務として維持すべきか疑問であるし、この5号業務やファイリング(8号業務)等で業務偽装が後を絶たず、「例外」がいくらでも広がりうる。
従って、登録型派遣の禁止につき「専門26業務」の例外を設けるべきでない。

(3)広範な「例外」を認める危険2〜「名ばかり常用雇用」の危険

次に、「常用雇用以外の労働者派遣を禁止する」という場合の、「常用雇用」の定義がそもそも問題である。
この点、厚生労働省は、現行法の運用で、有期雇用の場合でも「過去1年間を超える期間について引き続き雇用されている者、又は、採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者」も常用雇用に該当すると、不当に広範な解釈をしている(職業安定局「労働者派遣事業関係業務取扱要領」)。
これにより、現実にも、常用型派遣とされながら、派遣契約の「終了に伴って結局は解雇される事例が多く見られ、登録型派遣を禁止しても、常用雇用の定義を法律上明確にしなければ、実質は登録型派遣に近い「名ばかり常用雇用」がはびこる余地を残すことになる。

そもそも常用雇用以外の労働者派遣を禁止する趣旨は、労働者の雇用の安定を図るためであるから、有期雇用という典型的な不安定雇用を「常用雇用」に含めることは論理矛盾である。有期雇用契約とは、契約期間が終われば労働契約が終了するものであるから、通常の国語的意味からいっても「常用」と呼ぶに値しない。
よって、常用雇用とは、「期間の定めのない労働契約」であると法文で明記すべきである。

2 製造業派遣の原則禁止について

(1)答申は製造業派遣の原則禁止を提唱するが、この点も、その例外の定めにより、労働者保護にとって極めて不十分である。

すなわち、答申では、「雇用の安定性が比較的高い常用雇用」を禁止の例外としているが、上記の通り、そもそも常用雇用の定義が不明確であるままでは、例外ばかりが横行する危険がある。
また、そもそも答申では、登録型を原則禁止して常用型を原則にするはずなのに、その常用型を例外として許せば、結局、大幅に例外を認めることに他ならず、「原則禁止」と言えなくなってしまう。
さらに、より重要なことは、製造業派遣は、(専門知識がほしいということでなく)、人を雇用の調整弁として受け入れているに過ぎないのが実態で、よって、もっとも「派遣切り」にあいやすく(むしろ、はじめから「派遣切り」を予定したものである)、かつ、実際にも、製造業派遣で、「常用型」とされる労働者が大量に職を失ったのが昨年来の実態である。
さらにまた、製造業は危険業務も多く、その場合、より一層、労働者を直接使用する者に責任を負わせる必要が高いから、直接雇用の必要性が高いというべきである。単に、「常用で雇用が安定すればよい」というだけの問題ではないのである。
従って、製造業派遣は、例外のない全面禁止とすべきは明白である。

(2)以上に対し、反対論は「製造業派遣を禁止すれば、国際競争に負ける」等の論を行っているが、当然のことながら、使用者は、労働者の権利侵害をせずに競争する道を選ぶべき事は、あまりに当然である(大阪労働者弁護団「派遣法の何が問題か」Q23参照)。
「大変な不況が来たから」と、条件反射的に「派遣切り」し、その後はホームレスになろうが知ったことかという経営者の行為は、人をモノのように使い捨てにする行為にほかならず、人権侵害の最たるものであって許されない。
さらに、このような人権侵害的な働かせ方が、結局は、企業の体力を奪い、真の競争力を低下させるものであることを、使用者はもう一度肝に銘じるべきである。使用者(派遣先)が派遣切りして踏みにじった労働者は、使用者の事業を支えてくれた人たちであり、また、別の場面では、その事業の顧客(消費者)ともなってくれる人たちなのである。

なおまた、「製造業派遣を禁止すれば、使用者は海外に生産拠点を移し日本での仕事が減る」との反対論もあるが、企業の海外への生産拠点の移転は、様々な諸要素を考慮して行われるものであり、「派遣労働を使用できなくなれば、海外へ生産拠点が移転する」というような単純な問題でないし、実証的な根拠にも欠ける。むしろ、海外生産比率と派遣労働者総数等との相関につき、「海外生産は派遣が増えるほど、増える関係にある」との調査結果もある(2010年1月10日付東京新聞)。

3 違法派遣の場合における直接雇用申込みのみなし規定について

労働者派遣は、上記の通り、もともと「無責任に人を使用したい」という安易かつ不当な発想を根に持つことから、「悪貨は良貨を駆逐する」という格言のとおり、限定された適法部分を超えて、違法部分にまで拡大しようという悪しき力学が常に働く。これが様々な違法派遣である。
この違法を「割に合わないもの」として食い止めるためには、違法行為を行った者に一定の責任を課し、かつ、違法行為によって被害を受けた労働者に、原則通りの労働法の保護を与えていく必要がある。
そうした観点から、答申が「違法派遣の場合における直接雇用申込みのみなし規定」を述べた方向性については、肯定しうるが、これまた甚だ不十分である。

(1)まず、みなし規定によって直接雇用となった場合の雇用契約につき、有期雇用契約の余地を認めていることは不当であり、期限の定めのない契約(いわゆる正規雇用契約)とするべきである。
なぜなら、このみなし規定が適用されるのは、現実には、当該派遣労働者が勇気を出して、当該労働者派遣の違法に対して「声をあげた」ときになる。この「声を上げた」労働者を、派遣先会社が直接雇用とするものの、半年契約として雇い止めをしたらどうなるか。この労働者は、もし声を上げずに黙っていれば、派遣労働者としてではあるが、長期的に雇われていたはずであったのに、違法を指摘したばかりに、早期に職場を去らなければならなくなる。

このようなことでは、労働者が違法であるとの声をあげることは不可能であり、みなし規定の適用が著しく制限されるし、他方で、使用者はほとんど「痛み」がなく、違法行為の歯止めとして機能しない。
この点は,昨年12月18日に最高裁が示した松下PDP事件判決に象徴的にあらわれた。最高裁は,『偽装請負』という違法を認めながら,それを『労働者供給』の問題として捉えず,あくまでも『労働者派遣』の範疇で捉えて,松下PDPの雇用責任を否定し,かつ有期雇用契約に基づく雇止めによって雇用を打ち切られた労働者の権利救済を否定したのである。
よって、みなし後の労働契約は、必ず、無期雇用契約(正規雇用契約)とする必要がある。

反対論の中には「採用の自由に反する」との論もあるが、上記の通り、違法派遣の横行を防ぐため、必要で合理的な規制である。

(2)答申が「違法であることを知りながら」との要件を付けていることは、重大な欠陥である。

そもそも、「違法性の意識(または認識)」を責任発生要件とすることは、「法律の不知は恕せず」(法律や違法性を知らないことは、免責理由にならない)という法格言にも反するもので、立法技術としても極めて拙劣である。
たとえば、「無許可・無届の派遣元からの受入れ」という違法派遣の例で、「労働者派遣に許可が要るとは知らなかった」という派遣先会社が仮に存在した場合、「違法であることを知りながら」との規定があれば、直接雇用の責任を負わないということとなる。
「法律に不勉強で、無認識な使用者ほど免責される」という転倒した結果をもたらすものであり、その不当は明らかである。

また、「知らなければいい」のであれば、むしろ、派遣先にとっては、派遣元がきちんと許可を得ているか等は調査もしないで関知しない方が得であり、そのように行動するであろう。無責任で無認識な使用者の方が、まじめな使用者よりも保護されることになる。
そもそも、派遣先には、適法に労働者を受け入れる責任があるのだから、自ら、きちんと違法にならないように対処すべきであり、「違法であることを知りながら」との要件は付してはならない。

(3)答申は、みなし規定の適用される違法派遣として、@禁止業務への派遣受入れ、A無許可・無届の派遣元からの派遣受入れ、B期間制限を超えての派遣受入れ、Cいわゆる偽装請負の場合、D登録型派遣の原則禁止に違反して常用雇用する労働者でない者を派遣労働者として受入れを列挙している。

   しかし、違法派遣には、以上の5例の他にも、事前面接等特定行為や多重派遣など派遣先に雇用責任を課す必要性の高いものがあり、加えて、@本来、人を使用するならば直接雇用が大原則であること、A違法行為を行う者は「保護」に値しないことから、上記の5例は例示列挙であることを明示し、みなし規定は違法派遣のすべてに適用されるべきである。

4 団交応諾義務等について

(1)答申は、旧野党(現与党)3党案に盛り込まれていた派遣先会社の団交応諾義務を排除しており、重大な問題である。

そもそも、「第1 総論」で述べたとおり、法は、労働関係における使用者の横暴から、労働者の権利を守るために、種々の法的保護を設けるとともに、労働者の団結権を積極的に認めた。団結権は、労働者の権利保護のための要である。
そして、派遣労働者は、実態として、専ら派遣先会社で働いているのだから、そこで生じる問題については、派遣元とのみ話し合っても解決しない。派遣労働者を指揮命令し現実に使用している派遣先とも交渉しなければ、労働者の権利・利益は守れない。また、派遣元が「顧客」である派遣先会社に強い態度を取りにくい実態も考慮すれば、なおさらである。
派遣先は、労働者の労働条件等について具体的に支配する地位にあるのであるから、派遣先は労組法上の「使用者」にあたるものとして、法律で団体交渉応諾義務を明記するべきである。
(2)そして、団結権の保障は、団体交渉のみに尽きないから、そもそも、派遣労働者との関係では、派遣先会社は労働組合法上の使用者とする旨を明記すべきである。

5 その他の論点について

(1)施行期日について

答申は、「施行期日については、改正法公布の日から6ヶ月以内の政令で定める日とすることが適当である」としつつ「1(登録型派遣の原則禁止)および2(製造業務派遣の原則禁止)については改正法公布の日から3年以内の政令で定める日とすることが適当である」として、3年という長期の先延ばしを述べ、さらに「1(登録型派遣の原則禁止)に関しては、施行日からさらに2年後までの間」の適用猶予を述べ、実質5年の先延ばしを適当としている。
しかし、あまりに長期の先延ばしに過ぎ、派遣労働者の保護を軽視し、野放図な派遣労働を温存したい使用者の思惑に迎合していると言わざるを得ない。
この点、答申は、異常に長期の先延ばしをする理由として「派遣労働者等に与える影響が大きいため」とするが、上記の「労働者のニーズ」論と同じく、実質は経営側に立っている観点をカモフラージュするものでしかない。
すなわち、答申は「派遣がなくなれば、派遣労働者の職がなくなる」と言いたいのであろうが、企業・経営者は、たとえ派遣労働者でも、人を雇う必然性があるから雇うのであり、「とりあえず余剰人員を置いておこう」などと考える者はいない。とすれば、これまで大量の派遣労働者を使って行っていた仕事があり、これを、誰も雇わずに継続できるはずがないのであるから、派遣が禁止されれば、直接雇用で人を使用するのが自然の理である。
よって、例外をもうけることなく一律に公布の日から6ヶ月以内に施行するべきである。

(2)不当な規制緩和(改悪案)を温存している点について

答申は、その冒頭で「政府が次期通常国会に労働者派遣法の改正法案を提出するに当たっては、昨年11月、第170回臨時国会に提出された法案(20年法案)の内容に」追加・変更を行うべきと述べており、20年法案を土台として、追加・変更を加えるという形をとっている。
そして、20年法案が提示した、@常用型派遣の場合の事前面接禁止規定の解除や、A政令26業務に関する雇い入れ申込み義務の撤廃など、不当な規制緩和を変更していないことから、これらの案を温存することとなっている。
しかし、事前面接は派遣法の根幹に反する。使用する労働者を自ら選別しようとするならば直接雇用すればよいのであって、「派遣」とする必要はまったくない。「派遣」を選択しながら派遣先が「事前面接」するのは、雇用責任を回避する目的としか考えられず、脱法行為そのものである。従って、例外なく禁止されるべきであり、常用型派遣の場合にこれを許容することは許されない。
また、雇い入れ申込み義務を撤廃することは、「いつまでも、間接雇用で使い続ける」という意図の現れであり、第1の総論で述べたような、間接雇用が本来的に労働法脱法(裏返せば労働者の権利侵害)的性格を持つことを看過したもので、許されない。

(3)日雇い派遣について

答申は、「雇用管理に欠ける形態である日々又は2ヶ月以内の期間を定めて雇用する労働者については、労働者派遣を禁止することが適当である」とし、日雇い派遣の禁止を述べている点は評価できる。
しかし、答申は、「日雇い派遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題ない業務等について、政令によりポジティブリスト化して認めることが適当である」とする例外を認めており、この例外文言も一義的に明らかでない曖昧なもので、原則禁止が骨抜きとされる余地を残す。また何より、場当たり的に人を派遣する日雇い派遣は、答申も「雇用管理に欠ける」と認めているとおり、派遣元が、労働者の健康診断などの雇用責任を果たせないもので、そもそも「労働者の保護に問題ない」ということは、あり得ない。
もし真に日単位でしかない仕事だとしても、権利侵害的な間接雇用とすべきでなく、本来の直接雇用で行うべきである。
従って、日雇い派遣は、例外無しの全面禁止にすべきである。

(4)均衡待遇について

答申は、「派遣労働者の賃金等の待遇の確保を図るため、派遣元は、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮する旨の規定を設けることが適当である」とする。
これまで、実質は同一の仕事を行っているのに、派遣労働者と派遣先の労働者との間に格差を設けることについて、何らの法的歯止めがなかったことからは、「均衡を考慮する」とした点は、一歩前進とは言える。
しかし、「均衡を考慮する」との文言は曖昧で、微温的な表現に過ぎ、不当な格差に対する歯止めとしての実効性に欠ける。
食堂や医務室、更衣室の利用などの施設利用ならびに教育訓練は、派遣先会社で指揮命令を受けて働く労働者である以上、平等に保障されるべきであり、「均衡」ではなく「均等待遇原則」を明記すべきである(西谷敏・中野麻美「派遣法改正で雇用を守る」旬報社 39頁)。
また、賃金については、そもそも、同一価値の労働には同一の賃金が支払われるべきであるから、派遣先会社の正規労働者と同じ業務あるいは同じ価値の業務を行う派遣労働者には、派遣先会社の正規労働者と同一の賃金が支払われるべきである。そして、異なる仕事でも、その価値を総合的に考慮して格差を是正していく必要がある。
よって、派遣労働者の低賃金化を防止するためにも、派遣先会社の正規労働者の賃金との均等待遇を規定するべきである。

(5)マージン率について

答申は、「20年法案にあるマージン率の情報公開に加え、派遣労働者が自己の労働条件を適切に把握するとともに、良質な派遣元事業主を選択する一助とするため、派遣元は、派遣労働者の雇入れ、派遣開始及び派遣料改定の際に、派遣労働者に対して、1人当たりの派遣料金の額を明示しなければならないとすること適当である」としており、派遣元が取得する中間マージンについての情報公開・説明義務を求める点は、評価できる。
しかし、派遣労働者をワーキング・プアとしないためには、さらにマージン率の上限規制を設けるべきである。
上述のように、間接雇用の本質的悪性として、実態は雇用であるのに、形式的に雇用の形を回避することによって、労働者の権利保護を図っている労働法の適用をのがれようとする、労働法脱法的性格が存することは既に指摘したが、その他の本質的悪性として、中間搾取の弊害がある。
つまり、戦前の「人夫出し業」のように、他人の労働契約関係に介入して、本来、労働者がその労働の対価として全額受け取るべき賃金から差し引くことにより、労働契約関係をゆがめ、また、労働者の生活を著しく困窮させるのが、中間搾取である。
よって、搾取的なマージン取得を阻止することにより、「ワーキング・プア」という働かせ方をなくす必要がある。どれだけ身を粉にして働いても、固定的に貧困が続く「ワーキング・プア」という働かせ方を許容することは、明らかにおかしい。派遣元によるマージン率に制限のないことが、派遣先による「買いたたき」とともに、ワーキング・プアの重大な原因となっており、その規制が肝要である。

また、各労働者にとって自分の労働条件を適切に把握するには、派遣元全体のマージン率を公開されてもまったく意味がない。従って、情報公開の対象となるのは各労働者の各個別の業務に対するマージン率とするべきである。

(6)専門的業務について,
臨時的一時的な必要性がある場合に限定
上記のとおり、本来的に、労働法脱法的であり権利侵害的な間接雇用は、本来は全面禁止されるべきものである。
よって、答申が「原則として常用型派遣だけとする」と表明した点は前進ではあるものの、それだけでは不十分であり、少なくとも、派遣許容業務については,現在のポジティブリスト方式(原則自由化)からネガティブリスト方式へ戻し、かつ、臨時的一時的な必要性がある場合に限定すべきである。それ以外の派遣においては、類型的に権利侵害的濫用を避けがたいことは、これまでの社会的実態から、既に明らかである。

(7)もっぱら派遣の禁止

もっぱら派遣とは、登録型派遣を含む一般労働者派遣事業につき、当該派遣事業が専ら特定の派遣先会社に派遣することを目的として行われることで、現行法でも禁止されている。
しかし、厚生労働省は、この専ら派遣とは,特定の者に対してのみ当該労働者派遣を行うことを目的として事業運営を行っているものであって、それ以外の者に対して労働者派遣を行うことを目的としていない場合であるとの極めて限定的な解釈を行っていたため、例えば、グループ会社内への派遣割合が100%であっても、グループ外会社への派遣の営業努力をしていたり、グループ外会社からの派遣依頼を拒否していなかったりすれば違法ではないとされていた。

大企業が人材派遣会社を作りグループ企業だけに労働者を派遣するということは、本来正社員で雇うべき人を低賃金で不安定な派遣社員の地位に置くことにほかならず派遣の悪用というほかない。しかし、グループ会社以外への営業努力を形だけしていれば法違反とならない現行規定をあらためない限り、このような脱法状態が解消することはないから、現行規定をあらため実効ある禁止規定をおくべきである。 
今回の答申では、「もっぱら派遣」については何ら触れないが、このような現行解釈は一掃し、常用代替を目的としたもっぱら派遣は全面禁止とするべきである。また、連結決算の対象となるグループ会社内での労働者派遣は一切禁止すべきである。

(8)紹介予定派遣の禁止

紹介予定派遣は,職業紹介を受けて派遣先と派遣労働者が雇用契約を締結することを前提に,派遣先が,事前面接など派遣労働者を特定する行為を認めるものである。しかし、派遣終了後の雇用契約締結は派遣先会社にとって義務ではないため、結局は派遣開始時と派遣終了時に派遣先会社の選り好みを許すだけに終わってしまう可能性があり、問題の多い制度である。
同制度は、労働法脱法的な長期の「試用期間」を可能にし、そのことは、そのまま、労働者の地位をいつまでも不安定な状態に置くこととなる(西谷敏「労働法」385〜386頁)。
答申は、この点に言及しないが、紹介予定派遣は全面的に禁止し,派遣先会社には職業紹介制度の利用を促すべきである。
以 上



2010-02-03 02:18 | 記事へ |
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