取り壊されているというので、桜ノ宮「龍王宮」(りゅうおうきゅう)にいってきました。
「龍王宮」のことは知りませんでした。
桜ノ宮駅から見えるあのあたりに戦後ずっと朝鮮人の人たちのコミュニティがあって、立ち退きを迫られているといったようなことをぼやっと知っているだけでいったことがありませんでした。
今取り壊し工事中ですが、壊しているのはまだ入り口あたりでしたので、奥までいってその様子を見ることができました。
藤井幸之助さんが関西大学生活協同組合『書評』2009年秋号に詳しい事を書いておられるので、それを読んでいろいろなことを知りました。ネットでも、「龍王宮」で検索すればいろいろわかります。
簡単にポイントを書けば、桜ノ宮「龍王宮」は、JR環状線桜ノ宮駅の河川敷にある、済州島(チェヂュド)出身者の女性たちの祈り儀式「クッ」の場として長く営まれてきた場所です。そういう場所はほとんどなく、記録も研究も非常に少なく、オモテの公式的な情報からはかなり無視されてきたものです。しかし実は非常に意義のある民間信仰の場でした。
昨年、「不法占拠」を理由に立ち退きが決定され、この1年いろいろな行事などがありましたが、ついに取り壊しが始まったのです。
それで遅ればせながらいそいで見にいったという事です。
「クッ」という祈りの儀式の事もしりませんでした。
男の文化としての儒教的先祖崇拝のチュサに対して、女性たちが身に降りかかる不幸や恨みを晴らす宗教的な行為だそうです。
戦後65年にして、ついに取り壊されるという事です。
歴史の時間を感じました。
大阪にいながら、何も知ろうとしなかった自分というのも感じました。
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以下、ウェブ上の情報の一部をつかって「龍王宮」のことを少し紹介しておきます。
コリアン・マイノリティ研究会 http://white.ap.teacup.com/korminor/
【龍王宮とは?】
JR環状線「桜ノ宮駅」西側の鉄橋の下、大川(旧淀川)の河川敷に戦前(解放前)から続く、済州島(チェヂュド)出身の在日1世の女たちの祈り「クッ」の場「龍王宮」があります。河川敷を管理する大阪府からは「不法占拠」であるとして、これまで再三立ち退きを言われてきました。しかし、そこは大阪を下から支えてきた在日朝鮮人のコミュニティが息づく場であり、龍王宮の水辺がふるさとの済州島につながっていると考えられています。済州島出身の女たちは、ここで祈り、泣き、笑い、そして癒されてきました。多文化都市としての大阪の底辺を支えてきたもう一つの無形文化財・文化資源とも言えるでしょう。私たちは昨年3月以来、「龍王宮の記憶を残すためのプロジェクト」をたちあげ、関係者へのインタビューや建物の実測や「クッ」の記録などを行ってきました。昨年8月22日には、「龍王宮祝祭―もうひとつの水都大阪2009―」を開催し、100名以上の参加を得て、その存在を広く伝えました。
この1年間、国内外から数多くの人々が龍王宮を見学しました。また、先月、こりあんコミュニティ研究会は『コリアンコミュニティ研究』創刊号(800円+送料)を発刊し、特集「マイノリティ空間の記憶をどう伝えるか」で龍王宮を扱いました。先日のフィールドワークでは、近くに暮らす住民の証言から、龍王宮のプレハブの建物は国鉄時代の飯場(工事労働者の仮宿泊施設)を建設業者から払い下げられたものであることが新たにわかりました。これを龍王宮が祈りの場に転用していたわけです。しかし、龍王宮は「韓国併合」100年の今年、残念ながらその歴史に終止符を打ち、近々立ち退くことになりました。今回、龍王宮を管理してきた高田商店の協力のもと、緊急に「最後の龍王宮祝祭―もうひとつの水都大阪2010―」を企画しました。充分な準備はできないものの、「龍王宮」に来たことのある人もない人も、形があるうちにぜひお越しください。当日は天神祭の奉納花火の日に当たります。龍王宮からの眺めは最高です。
また、私たちは今後も引きづづき、龍王宮での祈り「クッ」にかかわった神房(シンバン)・菩薩(ポサル)・僧任(スニム)・利用者・関係者への聞き取りや資料収集、龍王宮の記憶を残していくための調査研究活動をしていく予定です。
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民間のシャーマニズム信仰に根ざした在日の祈りの場「桜ノ宮龍王宮」が「不法占拠」を理由に行政から立ち退きを迫られている。研究者からは「貴重な文化遺産をなんらかの形で残せないか」という声が上がっている。
龍王宮のある敷地は、JR環状線桜宮駅の高架下から大川の河川敷に広がっている。高架下の路地を入ると廃品回収の買取場や事務所、炊飯場、寄宿舎が木々に囲まれ軒を連ねている。狭い路地をさらに進むと、大川の水辺に面していちばん奥に建っている。
いまでも鶴橋や奈良県生駒からポサル(菩薩)を呼び、月数回はクッ(巫祭)が行われる。恨を祓う一連の儀式は数日にわたって続くことも珍しくない。郷土文化研究者で生駒・宝塚の「韓寺」事情に詳しい?奎通さんは「日本社会での複雑な立場や、ままにならぬ生活上の不安が在日韓国・朝鮮人を現世利益を願うクッに走らせてきた」と分析している。
行政からの退去命令が出たのは家屋を管理してきた在日同胞が亡くなって間もない今年1月。低所得層地域のまちづくりに関する実践的な研究が専門の全泓奎さん(大阪市立大学都市研究プラザ・准教授)は、「龍王宮には済州道につながる在日同胞の文化、歴史、宗教があり、生活があった」と惜しむ。「行政と折衝して、済州島を思わせる石垣や韓国風の開放的な東屋をつくるとかいろんな方面からの知恵と協力が求められている」といった声も上がっている。
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「龍王宮祝祭−もうひとつの「水都大阪2009」」
桜ノ宮の「龍王宮(りゅうおうきゅう)」をご存知ですか? JR環状線桜ノ宮駅の大阪寄りホームの下、大川(旧淀川)の河川敷(毛馬桜の宮公園内)にあります。大阪に暮らす済州島(チェヂュド)出身者の女性たちの祈りの場として長く営まれてきました。そこが「不法占拠」を理由に近々立ち退きになります。
大阪府と大阪市は夏から秋にかけて「水都大阪2009」という一連の企画をしています。しかし、そこには、故郷の済州島につながる水辺で大阪の文化をともに育んできた「龍王宮」のことはまったく抜け落ちています(ちなみに、今年6月に「大阪なるほど再発見!なにわなんでも大阪検定」が始まりました。橋爪紳也編『大阪の教科書―大阪検定公式テキスト―』を見ても、大阪をつくるのに大いに貢献した古代の朝鮮からの渡来人や近現代の朝鮮人についての言及はほとんどありません)。
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仏教と仏教美術の日々 ブログより
生駒の朝鮮寺群が有名ですが、もうひとつ重要な拠点が桜ノ宮の川べりにある龍王宮。
在日二世の高田義雄(宋吉洙)氏が現在はオーナーを務めて、父親の残した龍王宮を現在管理しています。基本的に寺院というより、プレハブ作りの貸し会場です。クッを行うための会場といった趣旨の場です。なんでここにあるのか?
これは深い理由がある。なぜかというと朝鮮寺の祭祀の起源が関係している。
まず、朝鮮寺というものは、朝鮮仏教とは本来ぜんぜん違う。朝鮮半島では禅宗系の曹渓宗がメジャーですが、そういう意味の朝鮮仏教の寺という意味の言葉では無い。ここは誤解無く。
これは朝鮮の土着のシャーマニズム祭祀がベースのものをいう。
正確に言うと、朝鮮シャーマニズム、巫覡祭祀をベースに、生駒の山岳宗教、つまりは修験道をや密教を取り入れ、生駒山麓に戦前に生まれた宗教文化全般をいう。
戦前の大阪に住んだ朝鮮出身者が作り出した習合宗教です。
朝鮮半島の仏教でもないし、修験道や密教でもない、また朝鮮シャーマニズムそのままでもない、「在日の宗教」としか呼べないものでした。
ここで重要な事実があり、戦前の生野界隈に移民してくらしていた朝鮮出身者ですが、そのほとんどが済州島出身者であるという事実はあまり知られていない。
天理大学朝鮮学会の機関紙を戦前の分を以前朝鮮寺研究で読みまくってたとき見ましたが、戦前の政府が東京と大阪の朝鮮移民の出身地域調査をやった統計結果がありまして、なんと8割が済州島出身者なのです。
さらに基礎知識として押さえておかねばならないこととして、済州島というところは14世紀ごろまで朝鮮ではない。耽羅国という国で独自の星主と呼ばれる王様がいて、言語も習俗も違う別民族でありました。ハングルを開発するなど強力な中央集権を行った時代に星主は廃され併合されます。
李氏朝鮮時代には儒教と称して無茶苦茶なカースト制度ともいうべき差別政治が行われましたが、異民族の済州島民は底辺に置かれ辛酸を舐めます。日本に多く移住してきた背景にはそういう朝鮮の根強い済州島差別文化という暗い歴史があるのは否めないだろう。
さて、このように文化的に大きく違いのある済州島。その出身者が8割を占める戦前の朝鮮寺という場は朝鮮というより済州島なのです。
つまり、済州島シャーマニズム+修験道(&密教)=朝鮮寺なのです。
ここで龍王宮の話に戻ります。文字通り龍王を祭るわけですが、済州島にも朝鮮半島本土にも巫覡祭祀はありますが、研究者の報告によれば、違いは確かにあります。
虎を引き連れた山神を朝鮮半島では特に重視しますが済州島では重視しないとか、済州島では特徴的な文化として「蛇神」を祀る信仰があるといったような特徴があります。
つまり、蛇の王たる龍王を祀る龍王宮は極めて済州島的であり、戦前の本来の朝鮮寺文化を残すわけです。
戦前や戦後まもなくの朝鮮寺群の在日一世世代の略歴は宗教社会学の会の研究などによれば、明らかにやはり済州島出身者ばかり。
済州島は海人の国です。祭祀は本来山では完結しないのです。そのため、海に面した龍王宮が必要だったわけです。生駒の山奥でクッを行って、最期に龍王宮で流す祭祀を行ったりする。
そのような龍王宮は龍王を祀る済州島の祭祀が特にきちんと残る場なんです。朝鮮寺信仰において、龍王宮は必要不可欠な場であり、これが無くなるというのは単なる1つ朝鮮寺がまた減ったという意味以上のインパクトがある事柄なわけです。
宗教社会学の会の研究によれば、朝鮮寺は後継者不足で、巫女を朝鮮半島から呼び寄せて祭祀を行ったり、後継者居ないからそのままそれら非済州島系の巫覡祭祀に置き換わる例が凄く増えています。今の各寺のオーナーのリストを見ると、昔はほとんどが済州島系だったのに、いまではせいぜい3割ってとこじゃないでしょうか。また祭祀内容も、日本の在日が生んだ済州島シャーマニズム+修験道(+密教)という朝鮮寺祭祀でなく、朝鮮本土シャーマニズム+韓国仏教(曹渓宗)に置き換わる例が増えている。曹渓宗は禅ですから、「巫覡+禅」ってことになりますが、本来の在日宗教としての朝鮮寺は「巫覡+密」であるはずで、これは実は大きな変容であります。朝鮮半島では曹渓宗は禅宗とはいえかなり現世利益的側面があちらの仏教は強く、わりと巫覡文化とも習合してるわけでして、その朝鮮半島の祭祀をそのまんま移入したようなものになっている。
これでは在日一世世代が考えて育んだ在日宗教としての朝鮮寺信仰は消えてしまう。あまり彼らも深く考えてないのかもしれないし指摘されてないが由々しき自体だと思う。で、そんな中、あくまで済州島系の信仰文化の流れを組む、本来の在日宗教としての朝鮮寺文化を守る中心が、まさにこの高田氏であり、龍王宮なのです。
これは文化的に守らないといけないと思う。
確かにごたごたのなか素朴に川べりで祭祀やってたのが拡大して、結果不法占拠になったという流れなのだと思うが、行政と話あって、きちんとした落しどころで納めて欲しい。
具体的にはいくらかの金銭で買うとか、土地占有料を納めることで利用許可を出すとか、そういうお年どころにすべきだ。(たぶんでも土地利用料は納めてるんじゃなかったっけ)
なんか大阪の行政は水都大阪をイベントでやろうと、チラシ作ったりしょっちゅうやってるけど、誰も乗ってない赤字垂れ流しで船で遊覧とか役人のオナニーみたいなそんなくだらないことで、景観のためとかで撤去求めてるは愚かしい。これは学術的にも貴重なもので、残さないとダメだ。
たぶん行政にありがちな、金の問題とかでなく、見た目の綺麗さとかそんなことで立ち退けつってんだと思うけど、相応の利用料取ることで存続を認めるべきだと思う。
龍王宮が無くなれば、戦前から続く済州島系の正しい在日宗教・朝鮮寺の祭祀文化は潰える可能性が高い。日本の朝鮮寺の祭祀が全部朝鮮半島本土の祭祀に置き換わってしまう。これは大きな文化的損失だ。お役人は水都大阪とかいってペラペラなイベントやるより、文化というものを考えるならもっと貴重なものがあることを知らねばならないだろう
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