ニックネーム:明石太郎: "珈琲"
性別:男
年齢:団塊世代
都道府県:大阪府
技術者出身
白州次郎展 神戸大丸ミュージアム
2009年02月23日(月)
テレビでこの催しの紹介プログラムがあり、それをきっかけに家内がまず展示会を観て、その話を聞いて私が同じ展示会を訪れることになった。会期終了が近いこと、そして会場が狭いことから、会場内は大勢の人々で混雑し、そう多くない展示内容を見学するのに苦労する状況であった。
白州次郎は、明治35年(1902) 三田藩藩儒を務めた家系であった白州退蔵の孫、貿易商白州文平の子として、現在の芦屋市に生まれた。少年時代を伊丹市に育ち、神戸一中からイギリスに渡り、ケンブリッジ大学を卒業した。その学生時代に、後にストラッドフォード伯爵となるロバート・セシル・ビングと親交を続け、終生の友となった。イギリスでは車でイギリス中を乗り回し、車で油まみれで遊び回るために「オイリー・ボーイ」と呼ばれたという。
ケンブリッジ大学を卒業したあともしばらくイギリスに滞在していたが、昭和3年(1928) 父が神戸で経営していた貿易商 白州商会が昭和金融恐慌で倒産、やむなく帰国して英語新聞「ジャパン・アドバタイザー」の記者として勤務した。このころ友人であった樺山愛輔伯爵の息子丑二の紹介でその妹 樺山正子と知り合い、結婚した。このころ正子宛てメッセージを英語で記した自分のポートレート写真を正子に贈っているが、そのメッセージ付きの写真が、返答として正子から返された写真とともに会場に展示されている。
やがて白州次郎は後に日本水産となる日本食料工業などに勤務して、頻繁な海外出張の機会から駐イギリス全権特命大使であった吉田茂の知遇を得た。その縁はさきの大戦のあと、日本国憲法の草案つくりにまつわる日米交渉時に、終戦連絡中央事務局の参与に任命されることにつながる。
連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)と、新しい憲法の素案つくりに関して、アメリカ側の官僚に対して、まさに丁々発止の折衝をする中心人物となった。「プリンシプル」を重視して、ゆずれないところは決してゆずらない凛とした態度は、GHQ/SCAPの要人をして「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた。日本国憲法第一条「天皇」の条項に、天皇をsymbolとする英語原文を、当初翻訳係官が「標章」と訳していたのを改めて「象徴」という日本語をあてたのは白州であったとされる。
日本国憲法発布のあと、さらにサンフランシスコ講和条約締結においては、吉田茂首相の講和会議演説を、当初は英語でスピーチする予定であったのを、毛筆で書いた日本語原稿で読むことを強く薦めたのが、白州次郎であった。「われわれは戦争に敗れたのであって、奴隷になったのではない」という名言を遺した。
戦後は、すでに講和条約に先立って貿易庁初代長官を務め、通商産業省の設立に注力するなど、中央政界で活躍した。やがて下野して昭和26年(1951) 東北電力会長となったが、50歳代半ばで早々に引退し、相模の自宅 武相荘に悠々自適の余生を送った。
「カントリー・ジェントルマン」、つまり田舎に住んで都心に必要時に出かけて働く、というのが本当のジェントルマンである、と主張し、早くも戦争気分が強くなってきた昭和15年(1940) から、現在の町田市郊外に住み着き、その場所が武蔵国と相模国との境界付近であること、そして自らの「無愛想」とを絡めて、自らの住居をユーモアたっぷりに「武相荘(ぶあいそう)」と名付けたのである。
「プリンシプル」を重視する態度は白州の生涯を貫き、財界引退後常務理事を務めていた軽井沢ゴルフ倶楽部では、俗世界での立場や地位に一切関わりなく、純粋にゴルフのマナーという尺度で来場者に対応することに徹底した。この結果、田中角栄や中曽根康弘などの総理大臣あるいはその経験者であろうと、筋の通らないことは頑として認めなかった。
先見性に優れていたためか、さきの大戦の始まる前にすでにわが国での生活が食料難に陥ることを予見し、自給自足をモットーとして武相荘近隣の農地で自ら農業を始めた。農業は、晩年まで彼の生活の一部であった。日用品の自作作品として、多数の木工品や竹細工品も残している。
日本人離れした長身で眉目秀麗、スポーツ万能、そして教養深く、およそ人並みの劣等感とは無縁の人であった。しかしその反面、恵まれた立場の人間としてやるべきことは命懸けで徹底的に実行した。妻の白州正子がある対談で「日本は最近、『貴族』という存在がなくなったからわるくなった。ほんとうは世の中に貴族が必要なのよ」と語っていたが、その言葉が自然に理解できるような存在であったと思う。

お気に召せばクリックください

2009年2月23日 20時02分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 美術 |
トラックバックURL:http://blog.zaq.ne.jp/rootakashi/trackback/858/
※ブログ管理者が承認するまで表示されません

コメントを記入  
お名前(必須)
 
パスワード:
 
メール:
 
URL:
 
非公開:  クッキーに保存: 
※非公開にチェックを入れると、管理者のみにコメントが届きます。
ブログの画面には表示されません。
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク