今日は、パーティ登山の話をしよう。
まずは、わたしの父の実話からだ。
--■仲間が危篤状態に、そのとき
父の趣味は、バードウォッチングだ。
鳥がいるところには、近所から、遠くは飛行機で
カナダまで行ってしまう。74歳にして、40リットルの
バックパックを背負い、珍しい鳥が来るところ
どこへでも行く。
(イメージ)
「鳥ごときで、よくそんな遠くまで行けるな」
とわたしがいうと、
「山屋のお前に言われたくない」。
ごもっとも。
さて昨年、父はバードウォッチャー数名の仲間と共に、
立山にある日本一標高の高い温泉(標高 2410 m)に
向かった。いったいどんな鳥がいるのかは分からないが、
スズメではないと思う。
ところが、温泉旅館に着くと夜になって、リーダー格の
男性の体調がおかしくなった。彼は3000m級の山に何度も
登っており、この温泉にも何度も来たことがある。
どうやら高山病のようだ。頭痛と吐き気がひどい。
旅館で酸素吸入の処置を行ったが、回復せず
夜中になって、救急車を呼ぶことになった。
(イメージです)
これは、えらいこっちゃ。
父は、救急車に同乗し、救急病院へ向かった。
病院に着くと、彼は意識不明になる。
すると診察した医師は、
「高山病による肺水腫で危険な状態です。
至急家族に連絡をしてください」
という。
(イメージです)
まるで、ドラマのような急展開。
でも、これ本当の話。
(こんなことウソを書いてもしょうがないが)
--■家族に連絡をしようとするが
これは大変だ。さっそく家族に連絡を…、
とはいっても、彼の奥様はすでに他界している。
彼は一人暮らのはずだ。そういえば、結婚した
お嬢さんがいると言っていたが、どうやって
連絡するのか。
皆さんならこんなときにどうするだろうか。
そう、携帯電話だ。なんて便利なものがあるんだ。
この時代に生きていてよかった。
(これもイメージ)
こうして父は、彼の携帯電話のアドレス帳を見た。
ところが…、
そこにあるのは名前の一覧のみ。どの人がお嬢さんなのか
分からない。彼のフルネームは知っているが、お嬢さんは
結婚しているので、上の名前が変わっている。
やばい、これじゃわからん。
そこで、アドレス帳を見て、片っ端に電話をしてみた。
すると、何件かかけたのち、実の姉に電話がつながった。
ああ、これで安心。連絡できてよかった。
ところがここで、また問題が。
お姉さんは、
「本当ですか、詐欺かなにかじゃないでしょうね」。
父の話をなかなか信じてくれない。(オーマイ・ガ!)
(こんなイメージ)
オイオイ、こんなときに何いってんだよ、信じろよ。
でも、知らない人からいきなり“弟さんが危篤です”って
電話がかかってきても信じられないよな。
そこで病院の電話の電話番号を知らせて、
そこに電話をかけてもらい、医師と連絡を取り、
やっと信じてもらうことができた。
(よかった、のイメージ)
こうして彼の親族に病院まで至急に来てもらうことができた。
その後、彼は一度は回復するが、残念ながら数日後、
親族に見守られ亡くなった。(ご冥福をお祈りいたします)
--■登山仲間のことを知っているだろうか
さて、父の経験から、学べることがある。
わたしたちは、登山仲間の名前を知っているだろうか
ということだ。
山岳会に入っている人なら知っているだろう。
しかし、インターネットで知り合った方は
ハンドルネームでしか名前を知らないこと
が多いはずだ。
そういうわたしも、本名を教えたことがない。
山友達には、わたしは名前はキリヤマ、顔はベッカムで
通じている。
あなたの携帯電話のアドレス帳には、どの人が家族なのか
分かるようになっているだろうか。緊急連絡先が分かるように
なってるだろうか。
家族の人は、いきなりハンドルネームで「XXXさんが重体」
といわれても、信じてもらえないかもしれない。
奥さんに「それじゃ主人の本名を言ってください」
なんて言われても、名前を知らなかったら、
ますます怪しまれる。
(たしかに怪しい)
わたしは、父の話を聞いて、携帯電話のアドレス帳を
書き換えた。アンヌ隊員とユーレイ隊員は、フルネームの
あとに(妻)(娘)とした。
当然、自宅の電話はフルネーム(オレ様の家)とした。
その他、実家の父、職場の電話番号も分かるように書き換えた。
しかし、前回のブログで書いた、エマージェンシー情報カードを
作成しておけば、携帯電話より確実だ。なにより、充電の必要がない。
そして、できればパーティ登山では、仲間の本名と
連絡先を教え合っておきたい。趣味で付き合っている仲間に、
個人のことを聞きにくいなら、パーティのリーダーは、仲間に
登山届の記載をお願いすればいい。
山屋には、携帯電話より便利なもの、登山届があってよかった。
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