ニックネーム:Acleris
年齢:おぢさん
都道府県:兵庫県
春の林で耳をすますと、パラパラと雨のようなかすかな音が聞こえませんか?それはいもむしのうんちだったりするんですが、ココではそういうチッコイ自然を紹介しようと思います。

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2011年12月31日(土)
ハエ類の胸部背面の毛について
前々回の記事でハエの背中の刺毛について書ききれなかったのだが、
図だけは作っていた。

解説をやっと書いたので、図をアップ。
トゲアシイエバエ属の1種の胸部背面
(図をクリックで拡大表示)

ハエ類の中胸背板は盾板(sc)、小盾板(sct)、下小盾板に分かれるが、
下小盾板は背面からは通常隠れて見えない。

以下、写真の記号説明。
図の略号;英語表記;日本語表記の順に書いてます。
略号と英語表記は「日本のイエバエ科」、
日本語表記は「新訂 原色昆虫大圖鑑 III」を参考に作成。
英語表記の()内は「新訂 原色昆虫大圖鑑 III」での表現。
こういう専門用語は分類群によって違う場合があるし、
年代によって表現が変わることもあるので注意が必要である。

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sc;scutum;盾板
(presutural area;盾板横線前域)
(postsutural area;盾板横線後域)
sut;thoracic suture(transverse suture);横線
sct;scutellum;小盾板


ac;acrostichal bristles;中刺毛

dc;dorsocentral bristles;背中刺毛

ia;intra-alar bristles;翅内刺毛

ph;posthumeral bristles;肩後刺毛

h;humeral bristles;肩刺毛
肩刺毛の生えている部分は「humerus(humeral callus)肩瘤」と言い、
後前胸背板の両側部が盾板につながったもので、本来の中胸ではない。らしい。

np;notopleural bristles;背側刺毛

sa;supra-alar bristles;翅背刺毛

pa;post-alar bristles;翅後刺毛

ls;lateroscutellar bristles;小盾板側刺毛

ds;discoscutellar bristle;小盾板背刺毛

as;apicoscutellar bristle;小盾板端刺毛

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「日本のイエバエ科」では「bristle」、
「新訂 原色昆虫大圖鑑 III」では「seta」と表現されているが、
これはどちらも意味は同じ太い毛のことである。
イメージ的にはbristleが剛毛で、setaが刺毛という感じ?


ハエ類の記載文を読んでいると、胸部の解説に
「ac 0+1;dc 2+3;ia 0+2;pa 2;h 2-3;・・・・・」
などとナゾの暗号が書かれている。
「ac 0+1」というのは、「中刺毛は盾板横線前域に0本、盾板横線後域に1本生えている。」
と言う意味。
「dc 2+3」というのは、「背中刺毛は盾板横線前域に2本、盾板横線後域に3本生えている。」
と言う意味。
「h 2-3」は「肩刺毛は2本から3本生えている」という意味。

ハエの分類にはこういう毛の数が重要で、背面だけでなく、
側面の毛や、脚の毛も見る必要があるそうだ。

慣れた人ならスイスイ読めるのでしょうけど、
私なんかはものすごく時間がかかった末に結局判らない。。。。なんて事になります。

さてさて、本年もおつきあいありがとうございました。
今年の記事はこれで最後と言うことで、
来年もよろしくお願い申し上げます。

それでは
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2011年12月21日(水)
暫定、キアシトゲアシイエバエ
随分と寒くなってきた。
お散歩コースでもそろそろクロオビフユナミシャクが見れるかも?と思ったが、
まだ先のようだ。

ブログネタを探すことしばし。。。

もうハエでいいか。

こんなハエ。
トゲアシイエバエ属の1種 Phaonia sp.

イエバエ科の仲間であるが、脚が比較的長くてカッコイイ。

イエバエと言えば市販で手に入る本では「日本のイエバエ科」がある。
その検索表に沿って見ていくと、
キアシトゲアシイエバエPhaonia mystica に行き着いた。
んだけど、種の解説にある、腹端部の形状が微妙に違う。

過去の採集品を見てみると、同じ種類を複数採っているので、
そう珍しい種類ではないようだが。

今回採集した♂の腹端部。


「日本のイエバエ科」に掲載されているトゲアシイエバエ属は42種。
まだまだ未記載種が多いそうなので、どれかに決めてしまうのは危険っぽい。

近縁の未記録種、あるいは未記載種かも知れない。

と言うことで、トゲアシイエバエ属の1種、でとどめておくのが吉な感じ。


オマケ

翅脈

昔の図鑑の検索だと、M1+2脈が前方に曲がっていないので、
ハナバエ科になってしまうのだが、イエバエ科にもM1+2脈が真っ直ぐの種類が多く存在する。

イエバエ科とハナバエ科を区別するにはCu融合脈を見るのが良い。

イエバエ科ではCu融合脈は翅縁には達することはないが、
ハナバエ科では細くなりつつも翅に達する。

あと、イエバエ科とヒメイエバエ科の区別には、Cu融合脈とA1脈のカーブを見る。

A1脈の延長線がCu融合脈の延長線と翅膜内で交差するものはヒメイエバエ科で、交差しないものがイエバエ科である。

以前ハナバエ科とヒメイエバエ科の翅の記事を書いたので、見比べると判りやすいと思う。
該当記事→「ハエの季節がやってきた。」

ホントは背中の刺毛についても書こうと思っていたんだけど、、、

次の機会と言うことで。


ではまた
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2011年11月24日(木)
ちょっと変わった寄生バチ・・・ヤマトナナフシバチ
この日曜日は前日の土曜日が一日中雨だったのがウソのように好い天気だった。
ヤツデがそろそろ満開で、お腹をすかせたハエアブで賑わっていた。

この時期にしては気温が高かったせいか、
ジョロウグモの巣にはキバラモクメキリガがちらほら捕まっていた。

とことこ歩いていくと、木の杭に小さなハチがとことこ。

普段はコバチの類いは同定不能なので採集しないのだが、
少し変わっていた気がしたので拉致ってきた。
生態写真も撮れば良かったが、コンデジではろくな写真は撮れないだろうし、
写真を撮ると逃げられる、と言うジンクスもあるので早々に採集。

一見アリガタバチ風。
でも脚にトゲが多くて腹節が4節しか見えない。

上から


横から


上から見ると頭は丸いが、横から見ると鼻先(?)が長く、触角が口元から生えている。
図鑑で検索すると、コバチ等ではなく、アリガタバチ上科辺りに行き着いた。
でもアリガタバチ科そのものではない。

「つねきばち」と言う日本蜂類同好会が発行している雑誌があって、
その第6号にセイボウ科の検索があったのを思い出したので見てみると、、、、
ありました。

ヤマトナナフシバチ Cladobethylus japonicus
ナナフシバチ亜科 Amiseginaeに属す。

以前の図鑑類ではセイボウモドキ科Cleptidaeは独立した科であったのが、
最近では、セイボウ亜科Chrysidinae、カブトバチ亜科Loboscelidiinae、
ナナフシバチ亜科Amiseginae、セイボウモドキ亜科Cleptinaeの4亜科で、
セイボウ科Chrysididaeに統合されたようだ。

アリガタバチ科もこれらに近縁で、ひっくるめてアリガタバチ上科Bethyloideaに含まれる。

以下引用
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ナナフシバチ亜科の特徴。
頭頂は著しく突出しない、
肩板は普通の大きさ、
腹部は♂で5節、♀で4節、
腹節腹板は側方から認められる。
触角挿入孔の周縁部は平らか凹み、ふくらまない。

ナナフシバチ亜科はナナフシ類の卵に寄生するそうだ。
ナナフシバチ亜科は日本産4属5種。

ヤマトナナフシバチの特徴。
後頭隆起縁がある。
触角鞭節は第1節を除き短く、各節の長さは幅の2倍以下。
♂♀共に翅がある。翅の縁紋は太く大きい。
頭部の点刻は頭頂部に縦の空白部(平滑な縦走帯)がある。
体色は黒色、頭部に弱い藍青色の光沢がある。
触角柄節は褐色で触角第2節から第5節までは乳白色。
第6節以降は褐色。

ヤマトナナフシバチ頭拡大
黄色の楕円内が点刻のない部分

ヤマトナナフシバチ翅
矢印が縁紋


その他のナナフシバチ亜科の種
ナナフシバチ(ナナフシセイボウ)Nipponosega yamanei
カントウナナフシバチ(カントウナナフシセイボウ)Nipponosega kantoensis
オキナワナナフシバチ Okinawasega eguchii
トゲナナフシバチ Calosega kamiteta

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ナナフシバチで検索するとナナフシバチが卵に産卵する様子があった。スゲー

ではまた
2011年11月24日 | 記事へ | コメント(2) |
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2011年11月19日(土)
キノコとハエ
週末にさしかかってから、のどが痛くなってきた。
鼻も詰まるし、風邪?
ウウウ

先週の土曜日、前日の雨は上がってさわやかな感じ。
散歩にでると、なにやらウンチの臭い、、、、

臭いの発生源はキノコでした。

スッポンタケ

白い柄の部分とか幼菌は食用になるそうだ。
写真のスッポンタケの柄の部分は何者かにごっそり食べられている。
茶色い部分は普通のキノコの傘に当たる部分で、
自己消化によって胞子をたっぷり含んだ粘液になっている。
こう言うのを「グレバ」と言うそうだ。
スッポンタケのグレバには悪臭があり、
ハエを誘引して胞子を運んでもらうそうである。
確かにオオクロバエとイエバエの1種が盛んに舐めていた。

スッポンタケの学名はPhallus impudicus
属名のPhallusは「陰茎」、
種小名のimpudicusは「みだらな」
と言う意味だそう。。。。

齧られてしまったスッポンタケを見ていると、
なんか痛々しくなってきた。

ではまた。
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2011年10月20日(木)
スズメバチ対スズメバチ
今週は連休なので土曜日からお散歩三昧。
普段通らない脇道に行くと、
頭の上で「ブォーン、ブブッ、パチン、」とか音がする。

ビビりながら姿勢を低くしてソオォッと見上げると、
直径40cmはあるスズメバチの巣があるでわないか!!

キイロスズメバチVespa simillima の巣


幸い巣の位置が高く距離があったので、
こちらに飛んでくるハチはいない。
しかし、さっきのパチン、と言うのは
大顎を鳴らすスズメバチ特有の威嚇音のはず。

なのにこちらに飛んでこないのはなぜ?

良く見ると、巣の様子がおかしい。

キイロスズメバチの巣の出入り口は普通、直径2センチぐらいのはずだが、
件の巣は左上の部分がごっそり開いている。
さらによ〜く見ると、ハチの大きさに2種類ある。

こ、これは!本で読んだことのある、オオスズメバチの襲撃現場ではないか〜〜!

写真でオオスズメバチとハッキリ判るのは赤矢印の個体。
黄色矢印と他の個体はキイロスズメバチ。
しばらく見ていたが、
少なくとも10個体前後のオオスズメバチが出入りしているようだ。

遠いうえに曇っていて暗いので良く見えないが、
キイロスズメバチ側に反撃する個体が見当たらない。
戦闘能力のあるものは既に殲滅状態で、
羽化したばかりの個体しか残っていないのかも知れない。


スズメバチ界最大種のオオスズメバチは
秋になって餌資源が少なくなってくると、
こんな風に集団で他のスズメバチの巣を襲うことが知られている。
他のスズメバチでもミツバチの巣の前とかで、
単独で働き蜂を狩っていくのは見られるが、
このように集団で襲う行動はオオスズメバチ固有の習性だそうだ。


翌日の日曜日、もう一度見に行ってみた。
近くの急斜面をよじ登って、横から見てみたが、

巣にはキイロスズメバチは見当たらず、
オオスズメバチが見張りをしていた。

巣の下を見てみると、

触角や脚を切られたキイロスズメバチ、

首ちょんぱされたキイロスズメバチが転がっていた。

しばらく見ていると、オオスズメバチがやって来て、

ちょこっと揉み合ったかと思う間もなく頭をひと咬み。

こりゃ太刀打ち出来んわ。

ものの本によると、殺した働き蜂は腐る前に肉団子にして持ち帰り、
巣の中の幼虫や蛹は必要に応じて抜き取って帰るそうだ。

確かに巣の下にはほとんどキイロスズメバチの死体は見あたらなかった。

これでしばらくは餌に困らない状態が続くのだろう。

オオスズメバチの巣ではこういうときに幼虫を大量に育てておき、
餌不足に陥ったときは、自らの幼虫を成長の進んだ幼虫に与えて育て上げるそうだ。

自分の子供まで保存食扱いとは、鬼子母神以上ですな。

付記
スズメバチやアシナガバチなどの社会性蜂類は、
巣に近づくと攻撃してくるが、
オオスズメバチに限っては、制圧したハチの巣や、
樹液酒場などの餌場でも縄張りを張って近づくものを攻撃する。
なので、
こういうところに近づくのは自殺行為なので、
よい子はマネしないように。

ではまた。
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