ニックネーム:Acleris
年齢:おぢさん
都道府県:兵庫県
春の林で耳をすますと、パラパラと雨のようなかすかな音が聞こえませんか?それはいもむしのうんちだったりするんですが、ココではそういうチッコイ自然を紹介しようと思います。

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2012年02月09日(木)
キンバエみたいなイエバエ・・・ミドリイエバエ
冬の虫板を賑わすのは、やはりハエであろう。
この土日は寒気が緩んで比較的暖かかった。
結構ハエも飛んでいた。
そのなかでキンバエみたいなハエを採って帰った。

「新訂原色昆虫大図鑑3」で科の検索をすると、
キンバエの属すクロバエ科ではなく、イエバエ科に落ち着いた。
そこで「日本のイエバエ科」で検索すると、
ミドリイエバエに行き着いた。

今回は実体顕微鏡とコンデジの手持ち撮りで
焦点合成写真を作ってみた。
周囲の微毛が浮いて見えたり変な部分もあるが、
立体的な虫とかの毛の配列を見るのには便利かも?
と思った。

でもなんか不自然。。。
イヤしかし、フリーソフトでこんな事が出来るなんで
ありがたい世の中である。


ミドリイエバエ Neomyia timorensis
♂は写真の通り複眼が大きく、左右が接するが、♀では複眼は広く離れる。

ミドリイエバエ Neomyia timorensis ♂横顔
頬は黒色。肩毛(h)は3本


ミドリイエバエ Neomyia timorensis ♂胸部背面
ac 0+1, dc 2+3, ・・・・・


ミドリイエバエ Neomyia timorensis ♂胸部後側部
鱗弁上肋部(りんべんじょうろくぶ、記号;ssr)に剛毛束がある、の図。


ミドリイエバエ Neomyia timorensis ♂胸部側面


ミドリイエバエ Neomyia timorensis 翅の部分拡大
R4+5脈には剛毛が生えるが、R1脈には剛毛はない。の図


ミドリイエバエ Neomyia timorensis ♂交尾器背面


ミドリイエバエ Neomyia timorensis ♂交尾器、斜め後ろからのアングル


交尾器は複雑な形状をしているので、焦点合成で全部にピントを合わすとかえってややこしくて見づらい。
中心線から手前の写真だけを合成した方がよいかも。


ではまた
2012年2月9日 | 記事へ | コメント(0) |
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2012年01月12日(木)
冬のハエ
寒い時期は、暖かい季節には見向きもしなかったハエなんかにも目を向けるものである。

が、しかーし!
種名を調べようにも図鑑にも文献にも載って無い種類ってハエには多いよね。


例えばこのハエ。
ホソハナレメイエバエ属の1種Caricea sp. ♂
腹端の交尾器は引き出してある。

衛生害虫として有名なイエバエを含むイエバエ科も例外ではない。
「日本のイエバエ科」と言う本が出たので少しマシにはなったものの
聞いた話ではこの本に載っていない種類はまだ多数残されているそうだ。

野外性の人と関わりの少ない種類というのは研究するにしても後回し、と言うことか。

また、この本の検索表には不備があり、間違いが含まれているので注意が必要だ、とハエの掲示板で伺ったことがある。
噂ではハエ屋さんの有志により、「日本のイエバエ科検索表添削プロジェクト」が進められているそうである。
(いるらしい、いるといいな。出来たらくださいチラッチラッ)

このハエも冬場でも暖かいときには日向ぼっこしている姿をよく見るハエである。
普通に見かける種類だというのに調べるとなると一苦労。


イエバエ科からホソハナレメイエバエ属に行き着くまでの軌跡


イエバエ科には、イエバエ亜科・トゲアシイエバエ亜科・マルイエバエ亜科・ハナレメイエバエ亜科の4亜科がある。

翅側板に多数の剛毛はない。
後脚脛節の後背部先端1/3に剛毛はない。
下側板剛毛はない。
腹胸側板剛毛は常に3本、下の1本は上の2本とほぼ等距離。

などの特徴を見て、ハナレメイエバエ亜科になる。

さらにハナレメイエバエ亜科には8属あるので、

腹胸側板剛毛はほぼ正三角形に生える。
後脚脛節の前背剛毛は2本
中脚脛節の中央部に1本の後背剛毛がある。単眼三角部は大きいか長く、額帯の前縁部に達するものがある。
小盾板には4本の強剛毛がある。翅は通常透明。後脚脛節に2本の後背剛毛がある。
端刺は羽状または微毛状

などの特徴を確認すれば、ホソハナレメイエバエ属となる。

「日本のイエバエ科」にはホソハナレメイエバエ属が10種載っており、検索表もあるのだが、どっちつかずの特徴だったり、腹部の色彩が検索キーになっていたりとか、交尾器の図が2種しか載っていないだとかで、
ちょっっっっと自信がないので、種の特定はあきらめた。


以下各部の拡大図
頭部


胸部側面
黄色点線は腹胸側板剛毛の位置関係。

頭部と前脚
黄色矢印がパルプ(小腮鬚)
パルプがスプーン状に広がっていたらカトリバエ属Lispeになる.
この写真のパルプは細長い通常の形。

中脚脛節
脛節中央に後背剛毛が1本。

後脚脛節
黄色矢印が前背剛毛
青色矢印が後背剛毛
赤色矢印が亜端剛毛(背剛毛)

腹部側面


種名ゆるぼ。。。

ではまた

2012年1月12日 | 記事へ | コメント(0) |
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2012年01月09日(月)
イラガの繭を巡る2・3の生き物
葉っぱを落とした小枝に目立つ丸い繭。
ご存じ イラガ Monema flavescensの繭。


先日こんなイラガの繭を見つけた。

チカラワザで無理矢理に壊したような繭。
細い枝先でこういう事をするのは、
ヤマガラなどの器用な小鳥の仕業だそうだ。

お散歩コースでもいくつか見つかる。


イラガが普通に羽化するときは、繭の頂部を丸い蓋を開けるように出てくる。
そこで、この壊されたイラガの繭を内側から見てみた。

あらかじめ薄い部分がありますね(青い点線)。
あと、黄色矢印のところに小さな出っ張りがありますが、
これはイラガセイボウという寄生蜂が産卵したあと。


この繭、試しにピンセットで内側から押してみると、
キレイに丸い蓋が開いた。
良くできてますね。

イラガセイボウ Praestochrysis shanghaiensis
タマムシのようなきれいな蜂である。
イラガセイボウはイラガの繭を齧って小さな穴を開け、そこから産卵する。
その際、齧りくずは脇に貯めておいて、産卵後にそれを使って封をするそうだ。
産卵口は放射状の囓り痕があるので、
イラガセイボウの寄生した繭はすぐ判る。
イラガセイボウの産卵痕

先ほどの繭はイラガにイラガセイボウが寄生したけれども、
さらに小鳥に食べられてしまった、と言うことなのだろう。

イラガセイボウが繭から脱出するときは、
イラガの羽化口とは関係なく、自力で齧って出てくる。
自分が出られるだけの丸い穴を開けるので、
イラガセイボウが出たあとの繭というのも判りやすい。
こんなの


さらにイラガには寄生バエも寄生する。

イラガには
イラムシヤドリバエChaetexorista eutachinoides
学名はChaetexorista sp.と特定されていない文献もあり。
が寄生するが、他にも数種の寄生バエの記録があるようで、
同定には専門家の助けがいるようだ。
以前、イラガの繭から出てきた寄生バエ。
イラムシヤドリバエと思うのだが、特定は避けておく。
文献の持ち合わせがないので私には判らない。

ハエにはハチのような大顎もないし、踏ん張る足も細いしで、
イラガの繭のような固い繭からは出られないようにも思うが、
ハエの場合は額嚢という器官を使って、イラガが用意した羽化口を利用して出てくる。

ヤドリバエが出たあとのイラガの繭。

囲蛹殻の欠片が見えなければ普通にイラガが羽化したのと変わらない。
内側から押す分には比較的小さな力でも開くようで、
ハエのような非力な虫でも大丈夫のようだ。

額嚢は、成虫が羽化時に囲蛹殻などから脱出するために使う風船状の袋で、
体液を出し入れして、額嚢を膨らましたり縮めたりしながら脱出する。

寄生バエの顔

半月瘤 lunule・・・・触角上部にあるコブ
額嚢溝 ptilinal fissure(額線 frontal suture)
額嚢溝とは、額嚢ptilinumが羽化後に頭蓋内に引き込まれた後の溝。

額嚢は羽化時に使ったあとは頭部に引き込まれ2度と出てこない。

額嚢に関するちょっと変わった利用法。
久米島などで行われたウリミバエの根絶事業では、
野外で採取した個体から放飼個体と野外個体を区別するために、
あらかじめ蛹の容器に蛍光物質の粉末をまぶしておいて、
額嚢に付着させる方法をとったそうだ。
(採取した個体の頭部をつぶしてブラックライトで照らすと、放飼個体は光る。)
(なぜ根絶事業なのにハエを放すの?と言う方は「放射線不妊虫放飼法」で検索してね。)
(額嚢ってどんなん?と言う方は、youtubeなどの動画サイトで
「diptera ptilinum」と検索したら気色悪い動画を見ることができます。オススメしません〜)

ではまた
2012年1月9日 | 記事へ | コメント(4) |
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2011年12月31日(土)
ハエ類の胸部背面の毛について
前々回の記事でハエの背中の刺毛について書ききれなかったのだが、
図だけは作っていた。

解説をやっと書いたので、図をアップ。
トゲアシイエバエ属の1種の胸部背面
(図をクリックで拡大表示)

ハエ類の中胸背板は盾板(sc)、小盾板(sct)、下小盾板に分かれるが、
下小盾板は背面からは通常隠れて見えない。

以下、写真の記号説明。
図の略号;英語表記;日本語表記の順に書いてます。
略号と英語表記は「日本のイエバエ科」、
日本語表記は「新訂 原色昆虫大圖鑑 III」を参考に作成。
英語表記の()内は「新訂 原色昆虫大圖鑑 III」での表現。
こういう専門用語は分類群によって違う場合があるし、
年代によって表現が変わることもあるので注意が必要である。

***********************************************************
sc;scutum;盾板
(presutural area;盾板横線前域)
(postsutural area;盾板横線後域)
sut;thoracic suture(transverse suture);横線
sct;scutellum;小盾板


ac;acrostichal bristles;中刺毛

dc;dorsocentral bristles;背中刺毛

ia;intra-alar bristles;翅内刺毛

ph;posthumeral bristles;肩後刺毛

h;humeral bristles;肩刺毛
肩刺毛の生えている部分は「humerus(humeral callus)肩瘤」と言い、
後前胸背板の両側部が盾板につながったもので、本来の中胸ではない。らしい。

np;notopleural bristles;背側刺毛

sa;supra-alar bristles;翅背刺毛

pa;post-alar bristles;翅後刺毛

ls;lateroscutellar bristles;小盾板側刺毛

ds;discoscutellar bristle;小盾板背刺毛

as;apicoscutellar bristle;小盾板端刺毛

********************************************************

「日本のイエバエ科」では「bristle」、
「新訂 原色昆虫大圖鑑 III」では「seta」と表現されているが、
これはどちらも意味は同じ太い毛のことである。
イメージ的にはbristleが剛毛で、setaが刺毛という感じ?


ハエ類の記載文を読んでいると、胸部の解説に
「ac 0+1;dc 2+3;ia 0+2;pa 2;h 2-3;・・・・・」
などとナゾの暗号が書かれている。
「ac 0+1」というのは、「中刺毛は盾板横線前域に0本、盾板横線後域に1本生えている。」
と言う意味。
「dc 2+3」というのは、「背中刺毛は盾板横線前域に2本、盾板横線後域に3本生えている。」
と言う意味。
「h 2-3」は「肩刺毛は2本から3本生えている」という意味。

ハエの分類にはこういう毛の数が重要で、背面だけでなく、
側面の毛や、脚の毛も見る必要があるそうだ。

慣れた人ならスイスイ読めるのでしょうけど、
私なんかはものすごく時間がかかった末に結局判らない。。。。なんて事になります。

さてさて、本年もおつきあいありがとうございました。
今年の記事はこれで最後と言うことで、
来年もよろしくお願い申し上げます。

それでは
2011年12月31日 | 記事へ | コメント(0) |
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2011年12月21日(水)
暫定、キアシトゲアシイエバエ
随分と寒くなってきた。
お散歩コースでもそろそろクロオビフユナミシャクが見れるかも?と思ったが、
まだ先のようだ。

ブログネタを探すことしばし。。。

もうハエでいいか。

こんなハエ。
トゲアシイエバエ属の1種 Phaonia sp.

イエバエ科の仲間であるが、脚が比較的長くてカッコイイ。

イエバエと言えば市販で手に入る本では「日本のイエバエ科」がある。
その検索表に沿って見ていくと、
キアシトゲアシイエバエPhaonia mystica に行き着いた。
んだけど、種の解説にある、腹端部の形状が微妙に違う。

過去の採集品を見てみると、同じ種類を複数採っているので、
そう珍しい種類ではないようだが。

今回採集した♂の腹端部。


「日本のイエバエ科」に掲載されているトゲアシイエバエ属は42種。
まだまだ未記載種が多いそうなので、どれかに決めてしまうのは危険っぽい。

近縁の未記録種、あるいは未記載種かも知れない。

と言うことで、トゲアシイエバエ属の1種、でとどめておくのが吉な感じ。


オマケ

翅脈

昔の図鑑の検索だと、M1+2脈が前方に曲がっていないので、
ハナバエ科になってしまうのだが、イエバエ科にもM1+2脈が真っ直ぐの種類が多く存在する。

イエバエ科とハナバエ科を区別するにはCu融合脈を見るのが良い。

イエバエ科ではCu融合脈は翅縁には達することはないが、
ハナバエ科では細くなりつつも翅に達する。

あと、イエバエ科とヒメイエバエ科の区別には、Cu融合脈とA1脈のカーブを見る。

A1脈の延長線がCu融合脈の延長線と翅膜内で交差するものはヒメイエバエ科で、交差しないものがイエバエ科である。

以前ハナバエ科とヒメイエバエ科の翅の記事を書いたので、見比べると判りやすいと思う。
該当記事→「ハエの季節がやってきた。」

ホントは背中の刺毛についても書こうと思っていたんだけど、、、

次の機会と言うことで。


ではまた
2011年12月21日 | 記事へ | コメント(0) |
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