○お絵かき第2回目(3枚描いたうちの2枚目と3枚目)
・対象:リンゴと夏ミカン
・固形水彩
・油絵の具の筆
・A4上質紙
・1回目は、形の単純な要素のものをこちらで提示して、描いた。2回目は、実物を目の前にして描いた。「丸」(夏ミカン)という単純な形のものを提示した。
さらに、2枚目は、ふたつのもの(リンゴと夏ミカン)を並べて描いてみた。3枚目は、ちがう色でリンゴを描いた。
・描画時間:2枚目7分程度。3枚目3分程度。
・夕食後に活動。(3枚描いて20分程度で終了)
@リンゴと夏ミカンを並べて描くことにした。二つのものをどのような関係でとらえて描くか考えた。
絵の具は、使いたい色を自分で混ぜている。
A薄黄緑色で、時計まわりで、円を描いている。筆の速度は、ゆっくり。1枚目は、左右対称に半円づつ描いていたが、ここでは、ひと筆で完結するように描いている。
B真ん中に「点」を打っている。
C真ん中に書かれた点。何であるかは、活動を遮断しそうなので、聞いていない。
D中心の「点」から、周囲に何か、描きはじめた。色は黒を選んで描いている。対象のリンゴは、ほとんど見てない。
E放射状に線を描いている。
F何度もなぞるように丹念に描いている。線がつぶれて、色面状になっている。
F名前を書いて仕上げたようだ…
G…が、「ミカンは、描かないの?」と聞くと、ミカンも描くのか、といった様子で、さらに、左側にミカンを描きはじめた。
こちらの思惑と異なって、当人には、並んだ二つのものを描くという意識はない。
H左側に、さらっと、ミカンを描いた後で、描いたものをじっと見つめている。
I見つめた後、おもむろに、先ほどサインをして仕上がったはずの、右側のリンゴに手を加え始めた、輪郭と放射状の隙間に、黄色を塗り始めた。塗って完成となった。
J2枚描いたものを見る。が、何を描いたか、よく覚えてない。認知症の傾向が少し入ってきている。
私:「どう、何描いたの?」
当人:「……何だったかな」
私:「リンゴでしょ」
当人:「そうそう」
私:「リンゴの真ん中の広がっている線は何?」
当人:「リンゴは、まん中から、包丁でこういう風に切るとうまく切れる」
私:「リンゴに赤色は使ってないが?」
当人:「赤を使わなくても、リンゴに見えるでしょ」
  
  
K3枚目は色を変えて、リンゴを描くことにした。
ここでは、手順の反復がみられる。一度経験したことを再構成して描いているので、先ほどより、すばやく描いている。みて描いてはいない。また、3枚目なので、集中が途切れてきている。
A丸を描く。
B基準となるものを描く。
C色を変えて、放射状の線を描く。
D「リンゴ」と記入する。
Eサインをする。
※Dは、忘れないように入れたらしい。
L2回目の3枚の作品。左上が一枚目「夏ミカン」。その右が2枚目「リンゴと夏ミカン」。下が3枚目「リンゴ」。
○メモ
・2枚目は2つのものを並べて描かせたが、描き手は、2つの並んだものを描くという意識はなく、対象を単体としてとらえていた。
・描くプロセスは、輪郭を描いてから、基準となるものを描き、それをもとに次の描画をおこなっている様子がみられた。
・写真HとIは注目すべき点がある。描かれたものをじっと見つめてから、一度完成したはずのリンゴに手を加えていることである。
ミカンを描いたことで、画面の中で、ミカンとリンゴを比較することになり、その比較から、描いたものをつくり変えていることである。対象物を二つ並べた時点では、比較の視点はなかったが、描く活動によって、比較の観点が生じたと言えるであろう。
・視覚的に対象物であるリンゴを再現してるのではなく、リンゴに対する経験(ここでは、リンゴは、包丁で放射状に切るとうまく切れるというこれまでの経験。主婦としてリンゴを何千回切ったのでしょう)を描画として再構成していることが判明した。
・同様の活動の「反復」によって描画活動がスムーズになる傾向がみられた。
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