ニックネーム:団塊フリーター
性別:男
都道府県:大阪府
2007.3.31定年退職

»くわしく見る
2012年02月09日(木)
幻想画家ルドン:鮮やかな「大きな花束」
イントロ:東京丸の内
 東京に用事があったので、その帰り東京丸の内の美術館に行った。木曜なのに、夜でもオープンしているのがうれしい。場所は、100年前にできた歴史的なレンガ造りの建物をリニューアルした三菱1号館美術館。開館してまだ2年と立っていないが、東京丸の内の新たなスポットでもある。

夢の世界を表現:ルドン
 一つ目が宙に浮かぶ、頭だけが地面に存在、笑う蜘蛛が巣の中に。木炭と黒チョークで描かれた白と黒の版画集<<夢の中で>>の作品。19世紀末を反映し「夢の世界に無限の可能性」を見いだしたルドン。
 同じ時代には、光の効果を追求し戸外の情景「目に映る現実」をありのままに表現した「印象派」が有名。しかしそれとは大違い、まったく対極にあるルドンは「感じ取った現実」を表現「心の中に見えるものを表現する幻想世界」を描く画家である。
 植物学者の考えと顕微鏡の世界を描いた「象徴主義」も背景にある。難解なようだが、しかし、笑う蜘蛛の「どこか、愛嬌のある作品」もあるし、見ている人間を夢の中に誘い、不思議な気持ちにさせる。これが現代の世相や心情に合う人気の秘密からもしれない。

黒から色彩への大きな変遷:ルドン
 ルドンの作風が50歳を過ぎてから、ルドン自身の生活や生き方が変わったかのようにがらっと変化する。木炭の「黒」からクレヨンのようなパステルを使った「色彩」絵、それも鮮やかな色彩の作品を描く。この大転換もルドン不思議さを物語る。
 今回のルドン展、メインは「絵画史上最大級の巨大なパステル画」の作品<<グラン・ブーケ(大きな花束)>>を美術館が新規に収蔵した、そのお披露目の展覧会。110年間フランスの城館の食堂の壁に飾れており、これまで一般には公開されていなかった貴重なもの。花瓶に挿した花を非常に鮮烈な色彩で描いた絵だが、「見る人にどこか現実感のない幻想的な雰囲気を与える」ルドンらしさは残っている。
 
 <グラン・ブーケ(大きな花束)>>を見れたのと、岐阜県美術館に行かないでもルドンの作品見れたので、二重にラッキーだった。仕事の疲れの癒やしにもなり、少し幸せな気分だ。ぜひ、東京に行く機会がある人にはお勧め。

注1)オディロン・ルドンOdilon Redon(1840-1916)

注2)<<グラン・ブーケ(大きな花束)>>:パステル画:横163cm縦248cm

※《グラン・ブーケ(大きな花束)》は作品保護のために展示期間に制限を加えており、会期終了後の公開は、2012年9月からを予定

注3)「ルドンとその周辺−夢見る世紀末」展
会期:2012年1月17日(火)から3月4日(日)
主催:三菱1号館美術館:東京丸の内http://mimt.jp/redon2012/

企画協力:岐阜県美術館(日本国内でルドン作品を数多く所蔵)
http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/


2012-02-09 12:27 | 記事へ | コメント(0) |
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2012年01月18日(水)
日本絵画のひみつ:江戸期から現代へ
イントロ:日本人のルーツ
 最近、日本画がブームだ。今まで縁遠い存在だった日本画だが、東山魁夷、平山郁夫など現代的な作品を見ることも多い。長谷川等伯をはじめ、狩野派、琳派など国宝ものの屏風絵などはよく見に行くが、しかし、伝統的な日本画については、浮世絵以外はあまり知らない。そんなこともあり<日本絵画のひみつ>(注1)のタイトルに惹かれ、神戸の市立博物館に出かけた。

日本画のひみつ:鎖国時代の格闘
 江戸時代を中心に、伝統的な様式の継承や西洋画法の習得など、「形態」「素材」「技法」などの多面的なアプローチにといった地道な展覧会ながらも、色々得るものはあった。鎖国時代の中で、異国からの貪欲な絵画の吸収をめざした画家の中で、印象に残った作品は3つある。
@ 狩野探幽の南蛮屏風:狩野派というと風景画を思い浮かべるが、これはちょっと違って、印象は大和絵風の絵巻物。南蛮船との交易をテーマに長崎を舞台にし、交易に関わっている人々の多彩な風俗を描いた作品なのが面白い。
A 秋田蘭画の世界:西洋の銅版画から学んだ油絵風の写実的な日本画というのがユニーク。秋田の殿様・佐竹曙山とその家来・小野田直武の日本画を越えようといった格闘の作品。
B 異国文化の模写:「世界観照の正用法」「大画法書」など美術書のみならず「新旧東インド誌」「アトラス」「東西海陸紀行」「イソップ物語」などひたすら蘭書の挿絵を模写しながら西洋絵画の技法を取得したその第一人者・石川大浪は、旗本だったのも面白い。
 さらに歌川国芳は模写からさらに進んで、浮世絵で日本的な風景の中に西洋の建物を大胆にアレンジして取り入れているのが素晴らしい。「西のゴッホ」、「東の国芳」といった浮世絵対決模様が浮かびあがるのも楽しいもの。

「五百羅漢図」の巨大な作品:中東カタールに出現
 ここで、江戸期から一足飛びに現代。アニメやオタク文化を戦略的に売り出した国際的な現代美術家・村上隆が、今年2月中東カタールで個展を開く(注2)。東日本大災害後の日本をテーマにした全長100mの巨大な作品「五百羅漢図(注3)」だ。縦3m・横1mのキャンバス100枚で構成し、「地震・飢餓・天災が多発したときには、人々が救いを求めて」「苦難のたびに広まり、供養や癒しとして」作られた羅漢図を村上流に制作。
 3.11震災を踏まえ、先人の危機に際する処方術に学び、芸術家としてのできるアクション。「芸術なんて、この現代社会の中では無能、無意味です。だけどやり続けるしかない」「僕らがもだえ苦しみながら活動している姿を見て、鼓舞され、勇気づけられる人たちは絶対にいるはずだから」との村上の想いは熱い。
 ぜひ、私も早く巨大「五百羅漢図」を見てみたい。

(注1)
<日本絵画のひみつ>神戸市立博物館:2011.12.10〜2012.1.22
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/main.html
(注2)
<世界でトップを取る>オピニヨン:朝日新聞2012.1.17: 朝刊15面
3.11で社会変化、芸術家も動くとき、もだえ苦しみ作る
村上驕i現代美術家:62年生まれ)
(注3)
<五百羅漢図>:増上寺にある「狩野一信」の制作した幕末に制作した仏画が有名(100幅)お釈迦様の弟子「羅漢」(仏と異なり生身の人間)による日常の姿から、人々の苦しみ、災難から人々の救済の場面を具体的な描いた仏画で、広く信仰の対象になってきた。
無為庵乃書窓:狩野一信<五百羅漢図>幕末の怪しき仏画http://www.muian.com/muian12/muian12.htm
精細な画像もあり詳しい、ぜひサイトを見てみたら

2012-01-18 15:54 | 記事へ | コメント(0) |
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2011年12月31日(土)
カナダ西岸紀行(3):トーテムポールから見えるもの
先住民のルーツ:Totem Pole
一見、ぎょっとするが、人をお迎えするシンボル・タワーが目に付く。木造彫刻のトーテム・ポール(Totem Pole)である。Indiansの先住民の存在と、そのルーツを物語る。

家族の紋章:Totem Pole
それぞれ動物、植物や人の伝説の生き物の形状など多彩である。宗教的な偶像ではなく、家の柱として、「家族の紋章」である。その先住民の文化伝承を守っていることをアピールする。

異質と同質:Totem Pole
しかし、その中にはどこかで見たことがある、そんな記憶がよみがえる。
埴輪のようでもある。歌舞伎役者の面の化粧にも似ている。仏像の面相とそっくりなのもある。

昔、陸地はつながっていた:日本とカナダ
アジアから来た先住民の文化伝承に、2つの大陸のつながりを彷彿させる。不思議なものを発見した感動を覚える。

Vancouver International Airport(Va.)
Royal British Colombia Museum(Vi.)
UBC Museum of Anthropology(Va.)

カナダ西岸紀行の詳しい写真は
カナダ西岸アルバム2
http://www.kawachi.zaq.ne.jp/galleria/cn10/pg110.html



番外編:アートが楽しい。

1 エミリー・カールの作品:Art Gallery of Greater Victoria(Vi.)
・Emily Carr :風景もゴッホに似た燃えるような作品
2 現代壁画の町Chemainus(Vi.)
・製材所の閉鎖の中、壁画で町おこしを行ったという。


2011-12-31 09:19 | 記事へ | コメント(0) |
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2011年10月18日(火)
アート・遊び・まちづくり:わくわくアートの時間
アートと遊び:路地裏探検
 先週の日曜日に、地域だけでなく市外の人も呼び込んでの「ブラッと大阪柏原まち歩き」が開催された。フリーハイキングと共に参加した人をもてなす交流も10カ所で企画された。その中の「わくわくアートの時間」という地域でのアートの普及を目指す、路地裏アート探検に参加してみた。
 参加者は、親子供だけでなく、おじいさんやおばあさんと孫もいる。サポートスタッフもいれて、30名ぐらいの集団である。

アートで楽しむ:子供も大人も
 大きなクス木のある石神社の境内で、何か珍しいものを見つけることから始まった。就学前の子供も大木に置いてあるかわいらしい人形を見つけては喜ぶ。木の上には、なぜかひっかかっているハンガーを子供が発見。沢山の目が眺め回すと色々見つかるものだと感心する。巨大なクスの大木をしたから眺めたら日頃とは違った景色が見えてくる。

 家の前を流れる小川の中に、素焼きの魚を発見。ほかにも何かないかと探し回る子供たち。日頃、何となく歩いている町並みも、何か違ったもの(オブジェ)があることから、自然と目が向けられる。
 短い時間だったが、なかなか楽しいもの。途中で気に入った風景を写真にとり、帰りにはポーストカードを作ってもらって、子供たちはうれしそうに大事に持って帰っていった。

アートで考える:まちづくり
 「美術の普及は遊び」だという国立の美術館長(注)もいる。
 地域という空間を、探検しながら地域の内と外の人間が集まり、日頃あたりまえの空間を見直してみる。神社、路地、小川など地域に何があるのか、また、自分との関係は何なのか。それは、また、地域には、何がないのか、何が問題なのかにも、つながる。探索・発見・認識、これこそまちづくりの第一歩だ。
 今回は、太平寺という百年以上も前からのぶどう村での、この間の地域のまちづくりの取り組みを基に、地元の教育大学の芸術教室の先生と学生が企画してくれた。こんな人的教育資源がまちにあったのだ、とこれも再発見した。まちづくり、地域と大学の連携、言葉だけでなく、こんな具体的な活動こそが意味合いがよくわかる。
 天気が良かったので、山腹の新たに描かれた大仏壁画前の「しゃもそば」や、かたしもワイナリーの「イタリアンパスタ」もほとんど売りきれ盛況で賑わいのある一日だった。


(注)山梨俊夫:国立国際美術館館長:<美術館は川:館長からのメッセージ>http://www.nmao.go.jp/guide/message.html
美術館活動の4つ柱:
1.展覧会=見せる/2.作品収集=伝える/3.普及=遊ぶ/4.調査研究=考える

 
2011-10-18 16:01 | 記事へ | コメント(0) |
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2011年10月17日(月)
現代アート探求:<世界制作の方法>
従来の枠組みから脱出: 現代アート 
 絵画や彫刻というこれまでの形式から飛び出しながら美術館に存在する作品がある。「何やこれは?」と思うが、すべて日本人の作品なので、何となく記憶のどこかに見たことのある懐かしい風景が展示空間に浮かび上がる。
 
 中之島の国立国際美術館に行った。
展覧会のタイトルは一見難しく<世界制作の方法>(注)、アメリカ20世の哲学者の本の題名からとられたもの。館内には9つの現代アートの展示室が、「展示空間を表現の場」としてそれぞれが異なった世界を作っている。

数多くの異なった世界: 現代アート 
白いビニールの天井から黒い糸で結びつけた空間、下から見上げて中を動くと、洞窟というよりは人間の体内・胃や腸の中を浮遊しているような不思議な気持ちになる。
■大西康明<体積の裏側>

壁面、天井、床面、展示空間の中の至る所に描かれた<パラモデル>。展示期間中なにの、まだまだそれは増殖中である。それは子供の電気機関車を動かしたプロモデルが連結して、出来上がる世界。その増殖活動に人間による地域や世界の開発といった、イメージにも重なってくる。子供が集まって制作するそんなワークショップもできそうだ。
■パラモデル<paramodelic-graffiti>

ありふれた身の回りにある日常的なものが、沢山集められテーブルの上に島を作っている。それら一面を白い雪で塗り消したような展示の世界。地域性もあるだろうが、場所とものと関係性をどう考えるのか?そんなことを人々に問うているようだ。
■金氏徹平<白地図>

真っ暗闇に浮かび上がる影、時間と共に部屋が360度で変化する影絵の世界。モノトーンの懐かしさもある、次はどんな影絵が生まれるのか、そんな期待が生まれる。自分も他の鑑賞者も影絵として浮かび上がる。暗闇の中の影絵にずっと引き込まれる。
懐かしさ、面白さに、離れがたい感動が生まれる。
■クワクボリョウタ<10番目の感傷(点・線・面)>

今、中之島が面白い: 現代アート
 「数多くの異なった世界がある」この言葉の世界を日本人だけで探求できるか?という疑問がある。しかし、今回の企画展が、日本人からのチャレンジであり、一つの問題提起として、世界中に広がれば面白い。
 作品は少ないし、観客もそう多くないので、ゆっくり気楽に見られる。
町の中を巡る映像によりサウンドとイメージが向き合う作品、アルバニア出身者「ANRI SALA展」もある。「中之島コレクションズ(大阪市立近代美術館&国立国際美術館)」も同時に1枚のチケット見れる。
 お得な展覧会だ。

<世界制作の方法:Ways of Worldmakinng> http://www.nmao.go.jp/
2011.10/4-12/11:国立国際美術館(大阪中之島)


(注)
ネルソン・グッドマン:<世界制作の方法>記号論的方法で「世界の複数性」を論じた


 
 


2011-10-17 11:31 | 記事へ | コメント(0) |
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2011年10月08日(土)
現代アートを楽しむ:横浜トリエンナーレ(2)
 難しいと言われる現代アートを、楽しみながら「世界はどこまで知ることができるか?」にチャレンジする。そんなことで、次のように勝手な整理をしてみた。

描くvs造る
 ホーチミン市などで、ランニングをする人が身につけているGPSからの信号を元に、その軌跡が地図上に浮かび上がってくる。「地球をドローイングする」作品
<呼吸することは自由:日本、希望と再生>ジュン・グエン・ハッシド


 大地の中から砂鉄をスコップと磁石で集め、それを鋳造して、1本のスプーンを生み出す。砂山の頂点に立っているスプーン。無からものを作り出す過程の映像インスタレーション物語
<大地からスプーンを生み出す>山下麻衣+小林直人


金vsダイア
 ジェームスボンドの映像作品ではないが、壁面の金色のボード。じっと見ると点の集まりは、金色の押しピンでできたもの。
<Gold Finger>冨井大裕


会場に2800万個のイミテーションダイアの置いてある。中に本物が一つあるという。
<One>ウイルフレド・プリエト


電話ボックスvsタマゴ箱
観客参加型のインタラクテイブな作品。対話やコミュニケーションを通じて楽しみ考える作品。
<DREAM>オノ・ヨーコ


<プロソポピーア>リバーネ・ノイエンシュワンダー
タマゴを電球に照らすと文字が浮かび出る。
  

ユーモラスな対決
<moonrise.east>ウーゴ・ロンデイノーネ:横浜美術館

<Untitled:無題>デワール&ジッケン:日本郵船海岸通倉庫


ユニーク対決をつくってみたが、どうだろうか?
こんなことをきっかけに多様な意見や、賛否両論が生まれる。こんなことを通じて、さらに現代アートが深まるとよいと思う。

ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR
ー世界はどこまで知ることができるか?―

http://118.151.165.140/

2011-10-08 16:55 | 記事へ | コメント(0) |
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現代アート探求:横浜トリエンナーレ(1)
カラフルなフィルムリール
 一人の人間の着ている上着や下着、靴下などをほどいて、それを1つのリールに巻き上げた作品。ボタンや服のラベル付属品も見える。
 色や大きさ、年齢、性別、地域、生活の異なった人の多様性を表現している。リールの数は、仏教の煩悩の数と同じ108。
■イン・シウジョン<One Sentennce>




 「知らない世界の探求、新しい知識への航海」をめざし、「世界はどこまで知ることができるか?」それにチャレンジする横浜現代アート展覧会。
 今回4回目、静かな中にも、面白い作品に出会った。


白い砂
 それは、禅寺の僧が、日本庭園の砂を掃いて作る造形とも重なってくる。
 六人の女性が、歩いた足跡の砂を箒で掃き消しさる。そこには、何かを求めてもそれがまた次にといった、悠久の世界が広がる。このインスタレーション映像には不思議と引き込まれる。
■ミルチャー・カルトン<Trackinng Happiness>:幸せを追い求めて


24時間
といえばテレビドラマを思い出す、実時間という点では同じ。違いは、これまでの世界中の映画映像の中に出てくる時計の一コマ、それを集めて制作。オムニバス映画のようにつながっている。「あ!これは懐かしい、見たことのある映画だ」。そんな不思議な映像空間に連れ込まれる。
■クリスチャン・マークレー<The Clock>

「世界や日常の不思議、魔法のような力」、そんなものに刺激を受けて、また何かが見えてきた。現代アートも探求すると面白い。
 
ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR
http://118.151.165.140/
2011-10-08 16:40 | 記事へ | コメント(0) |
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2011年10月06日(木)
伝統と革新:江戸琳派
 最近、日本画が面白い。今までは、油絵を観に行くことが多かったが、年とともに絵の関心も変化する。先日、赤レンガ造りの姫路市美術館で、江戸琳派を探る展覧会に行った。

殿様から絵師:酒井抱一
 江戸時代、姫路城の藩主の息子に生まれて、江戸に住み、多彩な文化的な環境で育った後、一時は藩主になる道を辿ったにも関わらず、出家して、絵師となる数奇な運命の人=「酒井抱一」。
出家し、覚悟を決めたら素晴らしい、自ら最も優れた師と仰ぐ「尾形光琳」の没後100年を記念し、「光琳百回忌」という一大イベントを企画し、その後継を宣言した。現代ならイベントプロデユーサー、その才能にも優れている。
江戸琳派の総首:抱一の代表作誕生物語
 金箔を下地に大胆な緑と青とで描かれたデザイン性豊かな花の屏風、尾形光琳の代表作<燕子花(かきつばた)図屏風>(注1)。その光琳の前の時代に活躍したのが、誰もが教科書などで見たことがある迫力ある<風神雷神図屏風>の俵屋宗達。安土桃山時代から江戸時代にかけて、活躍した「琳派」。これらの天才の後を継いで、江戸琳派という流れを展開した「抱一」。
 今回の展覧会の目玉、国宝<夏秋草図屏風>(注2)。花木、草花の豊かな装飾性・デザイン性では、群を抜く秀作。これは、光琳の<風神雷神図屏風>の裏面に描かれたという。制作チャンスに恵まれた抱一、「天上の神(表:光琳)と地上の草花(裏:抱一)」の表裏一体コンセプトなど、その謎めいた話題も面白い。
伝統と革新:琳派
 <風神雷神図屏風>(注3)は、沢山の作品がある。歴代の模写として、宗達、光琳、抱一、その後の「鈴木甚一」にもある。
しかし、その作品など、単なる模写でなく、それぞれユニークな特徴が存在する。その理由には、「琳派」が他の日本画の流派とは異なった組織集団。例えば、江戸時代、徳川家お抱えの絵師「狩野派」や公家のお抱え絵師「土佐派」のように「直接師から画技を学ぶ」、歴代「家伝によらず受け継がれた画法」とは、異なる多彩な造形芸術の集団から成立している。
それが日本画に新たな伝統と革新を生み出し、江戸期の日本画を引っ張り、後世に大きな影響を与えたといわれるのもうなずける。
 
 とりわけ私の琳派で一番好きな作品は、光琳の<紅白梅図屏風>(注4)。川の両側に梅を配した大胆な構図、熱海の美術館の保有する国宝、一度ぜひ見に行きたいもの。


(注1):<燕子花(かきつばた)図屏風>:尾形光琳:根津美術館(東京)
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/collection/detail.php?id=10301
(注2):<夏秋草図屏風>:酒井抱一:東京国立博物館蔵http://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A11189.2
(注3):<風神雷神図屏風>:http://ja.wikipedia.org/wiki/風神雷神図
各作品の所蔵
俵屋宗達:建仁寺(京都)京都国立博物館に寄託
尾形光琳:東京国立博物館
酒井抱一:出光美術館
鈴木甚一:東京富士美術館
(注4):<紅白梅図屏風>尾形光琳(MOA蔵)http://www.moaart.or.jp/owned.php?id=820

酒井抱一と江戸琳派の全貌:姫路市美術館http://www.city.himeji.lg.jp/art/
 千葉市美術館、細見美術館(京都)も巡回

2011-10-06 10:58 | 記事へ | コメント(0) |
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2011年09月27日(火)
パブリックアート紀行:東京・横浜
21世紀版松林図屏風:羽田
 羽田空港のANA側の第2ターミナル、見上げてみると巨大なオブジェ発見。
 先週、横浜・東京に行く機会があった。まだ体が本調子ではないので、色々歩き回るのは無理だが、途中のアート作品は、ぜひ見ていこうとの意気込みで出発。先日読んだ本の中の作品を探したら、空港ターミナル中央の吹き抜けの上にあつた。

 空港の現代的な空間の中に、ジンベー鮫ではないが、これは浮遊している。ブルーのモノトーンに近い色彩の空・山・林が、まわりの空気に融け込んでおり、しっとりとした感触に気持ちが落ち着く。見上げているのは、私だけだが、それだけ自己主張をしないで、その場の環境に調和している。
 この存在感のある作品は、日本画家・「千住博」(注1)の作。まるで「長谷川等伯」の水墨画<松林図屏風>(注2)の21世紀版のようで、ななかなかのできばえ。

21世紀モアイ像のお出迎え:横浜
 祝日の美術館の前で、みんなが記念撮影をしている。ユーモラスな顔で、市民を迎える12体の像。「横浜トリエンーナーレ」(注3)のメイン会場の横浜美術館の正面玄関。
 古代のモアイ像が、南米から横浜に突然現れたようなだが、スイス生まれの人(Ugo RONDINONE)が作った<虹の詩>作品。顔はアニメのキャラクターより、私にはどちらかと言えば「円空」(注4)が日本各地で作った木彫り仏像のイメージを想わせる。最近の暗く重苦しい時期には、人の心を和ませる気持ちになる。

21世紀復活<明日の神話>(注5):東京渋谷
 都会の雑踏の中、黙々と人々がターミナルで行き交う。それを上から眺める目玉。3.11の大震災以降、今年は、明日ではなく「今日の神話」のような実感を人々に与える。「炸裂する光の中に、未来はあるのか?」そんなことを我々に日々問いかけるようでもある。

 途中のルートをつなげて、出会ってみると、パブリックアートとして、身近に存在するものが色々ある。日常の生活に流されず、回りに存在するアート作品にゆっくり向き合うことが、今の時代には必要な気持ちがする。
「社会は、日本は、どうしたらよいのか」、「自分の生き方は」、アートと向き合う中で、私はそんなことに気づかされる。帰りの空港の書店で、姜尚中の新書「あなたは誰?私はここにいる」(注6)を買った。

(注1):千住博ホームページhttp://www.hiroshisenju.com/:音楽芸術で活躍する千住3兄弟の長男
(注2):東京国立博物館収蔵
http://www.tnm.jp/modules/r_collection/index.php?controller=dtl&colid=A10471

(注3):横浜トリエンーナーレhttp://118.151.165.140/:現代アートの国際展
(注4):円空1632-1695江戸初期の行脚僧:
円空美術館:岐阜http://shigeru.kommy.com/enkuu11.htm 
(注5):<明日の神話>岡本太郎の作品:http://www.1101.com/asunoshinwa/
(注6):姜尚中(カン サンジュン)NHK日曜美術館の司会をつとめ、その2年間を振り返った本
 

2011-09-27 11:55 | 記事へ | コメント(0) |
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2011年04月28日(木)
アルフォンス・ミュシャを巡る新しい発見:Alfons Maria Mucha
堺と「カメラのドイ」の関係:ミュシャ
ミュシャの展覧会に堺に出かけた。生誕150年を記念し、昨年春からから全国を回っているが、大阪は堺。
堺とミュシャ、関連性はないような気がするが、日本の作品の多くは、堺市が保有。
そう言えば、堺市立文化館には、与謝野晶子文芸館と共にミュシャ館もある。「カメラのドイ」の創業者・土居君雄氏の収集品を遺族が、寄付したものからはじまった。

花と優美な女性を描く:ミュシャ
作品の多くは、「星、宝石、花などの様々な概念を女性の姿を用いて表現するスタイルと、華麗な曲線を多用したでデザイン」で、ビールや御菓子をはじめ、多くのポスター、装飾パネル、カレンダー等を制作し、装飾性の高い19世紀末のアールヌーボーの代表。
これまで、私はミュシャについて、あまり好きでなかった。

イラスト・ロゴのルーツ:ミュシャ
19世紀末、印刷技術の革新の中、マスメデイアの勃興期。日本の誇る浮世絵の影響も色濃く反映したロートレックのポスターの動きや絵画の大衆化の流れとはまったく同じ。
画家は、かっての貴族や王宮のお抱え絵師の時代から転換。ミュシャも、新しい時代に商業デザイナーとして新天地を求めた一人でもある。
とりわけ、ミュシャは、花模様・女性のデザインを、商品パッケージに同じものを繰り返し描き庶民に訴える商用のイラストレーション、ロゴなど現代のブランデイングのルーツを製作している。これは興味深い。

祖国と民族を描いた壁画:ミュシャ
ミュシャ、生まれはチェコだが、生活の中心は、ほとんどは、フランス・パリ。しかし、それだけでない作品に出会った。
スメタナの組曲『わが祖国』から構想した作品で、祖国と民族を描いた壁画「スラブ叙事詩」は、なかなか素晴らしい。自らの生まれ育ったルーツでもあるスラブ民族の創成を壁画に描いたもの。
シャガールもエルサレムの大学の中に「イスラエル賛歌」という12枚のステンドグラス制作しているが、それと同じような深く感動をあたえる作品だった。

展覧会に行く前とは異なり、ミュシャを巡る多様な発見をした展覧会だった。

(注1)
ミュシャミュージアム:http://www.muchafoundation.org/MHome.aspx
ミュシャ:http://www.salvastyle.com/menu_symbolism/mucha.html
代表作として『ジスモンダ』『黄道12宮』『4芸術』などが、絵画の代表作として20枚から成る連作『スラヴ叙事詩』が挙げられる。

(注2)
美の巨人:http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/110305/
マルク・シャガール作『イスラエル12部族のステンドグラス』
城壁に囲まれた旧市街に、異なる3つの宗教の聖地が存在する場所エルサレム。そのエルサレムの西に位置するヘブライ大学付属ハダッサ医療センターの中に、シャガールのある作品が残されています。病院関係者と患者の為の祈りの場として建てられたユダヤ教の会堂シナゴーグを美しく包み込む12枚のステンドグラス。 今日の作品の鮮やかな色彩のうねりは、まさに幻想の画家シャガールの世界観そのもの。
2011-04-28 08:30 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年12月24日(金)
美術検定:アートに向き合うひとつのアプローチ
アート・ナビゲーター:幅広いアートの世界
ピカソ以降、現代美術が、大きく進化する中、「芸術の良さがよくわからない」と言う人が多い。しかし、一方、社会・経済の複雑多様化する中、精神面でのよりどころや満足度を、美術に求める人も多い。そんな中で、それを媒介するアート・ナビゲータが必要だと思う。
最近「アウトサイダー・アート」という本を読んだ。それは、単に精神障害者の作った作品ではない、特定の地域の先住民族の民族芸術でもない。美術に関しては、素人の人間が作った作品を一般に言うそうだ。しかし、その作品の精緻な造形美、驚くような色彩、同じような文様で埋め尽くされた壁面などを見ると、それは何か新鮮な深い感動を覚える。やはりアートの世界は広く深い。
写真:Español: Wölfli's Irren-Anstalt Band-Hain, 1910
「人はなぜ美術をつくるのだろう?」:社会を見る一つの視点
この問いについて、アートは、自己を伝える、表現する。そのための、アートは自己との格闘、生きている証明だという人もいる。一方、実際に、それを鑑賞する受け手の立場からみると、新たに美術と社会をつなぐパイプ役としての機能でもある。「作品が作られた思いを知り、つくられた背景を知ること。先人らが築きあげてきた美術を知ることは、ものごとの見方を変え、今の自分や社会を伝える指標になる」。これはアートの大きな効用でもある。
それにより、アートは人々の至福の源泉ともなる。
美術検定:アートが生み出す新たな行動
リタイヤーして3年。これまでより、健康・スポーツクラブと美術館・博物館に行く回数がぐんと増えた。なかでも最近は日本画をみることが多い。しかし、美術館に目的意識もなく手当たりしだい行くのも問題と思い「アートと社会を見る視点」を深めようと勉強することにした。
「美術をみる力を養い、感動を伝え広げる人々、美術でより豊かな人生を送りたいあなた応援するプログラム」そんな歌い文句の美術検定の2級に合格した。2度目のチャレンジであるが、今年はテレビの「美の巨人たち」、「NHK日曜美術館」を丁寧に見た。暗記力が昔からからきし弱いので検定試験は苦手。しかし、受かって良かった、ほっとした。これも、今年の私の出来事ベスト10のひとつでもある。
 
注1)Autosider ART
アウトサイダー・アート:現代美術が忘れた「芸術」:服部正:光文社新書
正規のの美術教育を受けていない独学自修の作り手たちによる作品
アール・ブリュト:Art Brut:生の芸術
アール・ブリュト・コレクション:スイスのローザンヌで1976開設
http://www.artbrut.ch/

ジャン・デユビュッフェ(フランスの精神科医師)のコレクション

注2)Art Certification Test
美術検定*:実行委員会(美術館連絡協議会**、読売新聞社、美術出版社)
http://www.bijutsukentei.jp/

 美術は、作品を創った人の意志を感じとり、その背景にある歴史をひもとく「観る力」を持った人たちによって、支えられ育まれてきた。そんな美術の知識を深め鑑賞力を養うことで、美術への感動が広がり、そしてそれを多くの人に伝えていく「美術でより豊かな人生を送りたいあなたを応援するプログラム」
・「観る力を養い、アートを楽しみ、そして伝えたい!」
4級−西洋美術・日本美術の名作を知る:西洋と日本美術史の代表的な作品や作家
3級−西洋美術・日本美術の歴史的な流れを理解する:西洋美術・日本美術史の作品や作家だけでなく、美術の動向や形式、時代背景など、歴史的な流れ
2級−幅広い美術の知識および美術鑑賞の場の社会的役割や歴史などを理解する西洋美術・日本美術史の基本的な知識、建築工芸や技法、写真映像、現代美術、美術館など幅広い美術の知識、美術鑑賞の場の役割・機能・現状
1級−美術の知識を元に自分で解釈・思考し、明解に伝達できる
美術鑑賞のより楽しい鑑賞のためのアイデアや美術館やアートイベントの活動など、実践的な現場で求められる能力。


*2003年から「アートナビゲーター検定」、2007年より新たに「美術検定」
**美術館連絡協議会:公立美術館127館加盟の組織
2010-12-24 22:46 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年10月07日(木)
「明日の神話」は、なぜメキシコにあったのか?
■30年の歳月を経て甦った壁画
 「原爆の炸裂する瞬間を描いた」縦5.5メートル、横30メートルの巨大壁画。製作者の岡本太郎と言えば、千里万博公園の「太陽の塔」が有名。これと同時期に製作された兄弟のようなもの「明日の神話(注1)」は、なぜメキシコにあったのか?メキシコに行ってみると、苦難の壁画の源流が見つかる。

■メキシコは壁画の宝庫
 メキシコには、デイエゴ・リベラなど壁画の三大巨匠達(注2)を先頭に、官庁、学校、宮殿など人々の集まる場所に1400もの壁画の作品が描かれており、壮大なスケールで、毎日、人々の目に飛び込んでくる。壁画が日常の生活・風景に融け込んでいる国だ。
 中でも、世界最大の壁画があるメキシコ国立自治大学(UNAM:注3)の中央図書館。四面を建物の壁がモザイク壁画に覆われている。アステイカ文明、スペイン植民地時代の圧政、歴史・政治から、太陽と月・宇宙などの科学とそれを担う現代の大学の役割を象徴的に表現した壁画。大学内には「民衆から大学へ、大学から民衆へ」レリーフのような立体壁画もある。大学のキャンパス自体が世界遺産に登録されているという。

■「束縛されない自由な魂の芸術」・壁画
 「壁画は、誰でも見たいときに、いつでも見られる」。パブリックな空間をキャンバスにして、古代の歴史、革命など民衆に情熱的に訴える壮大なスケールで描かれた壁画。愛国心と自由な発想にあふれた芸術革命が、20世紀前半のメキシコ壁画運動として、国を上げての取組みが根付いたもの(注4)。
 「束縛されない自由な魂の芸術」の求めに応じた岡本太郎の意欲も理解できる、その風土がメキシコにはある。そんなことを実感して、メキシコ紀行の最初のフォトシネマとして壁画芸術編を作ってみた。
 C&Kライブ:メキシコ紀行壁画編(YouTube:3分)
http://www.youtube.com/watch?v=s-vOK6N0GQ4


(注1)明日の神話
 壁画は、1967年メキシコの実業家に依頼を受け、「太陽の塔」と同じ時期に製作され、メキシコシテイの新築ホテルのロビーに飾る予定だった。しかし、ホテルのオーナーの経営悪化で中止、その後、壁画は行方不明。2003年メキシコシテイ郊外の資材置き場から発見され、2005年日本に帰国。およそ1年を賭けて、愛媛で修復・再生され、現在、東京渋谷の駅の連絡通路に設置。
NPO法人明日の神話保全継承機構http://www.asunoshinwa.or.jp/

(注2)メキシコ壁画の三大巨匠
デイエゴ・リベラ
ホセ・クレメンテ・オシロス
アルファロ・シケイロ

(注3)メキシコ国立自治大学
Universidad Nacional Autonoma Mexico(UNAM)
・王立メキシコ大学として、アメリカ大陸では2番目に古い歴史
・都市のような巨大キャンパス、大学のキャンパスが2007年世界遺産に登録。
・四面を壁画で覆われたメキシコ国立自治大学の中央図書館。世界最大の壁画、
オルゴマン制作:モザイク壁画
北面:アステイカ文明、
南面:スペイン植民地時代の圧政、
東面:太陽と月・宇宙・科学・政治、
西面:UNAMの校章と現代メキシコの役割
・「民衆から大学へ、大学から民衆へ」シケイロスの立体壁画
・オリンピック競技場も大学が管理:リベラ制作の壁画:コンドルと鷲と先住民族

(注4)メキシコシテイの壁画空間(メキシコシテイで私の見た所ののみ一部分)

・Antiquo Colegio de San Ildefonso:サンイルデフォンソ学院
メキシコ壁画運動の発祥の地:メキシコの最初の国立高等学校。中庭を囲む構造の建物。現在は各種のイベントを開催する文化会館。
・Palacio de Bellas Artes:ベジャス・アルテス宮殿
メキシコの華麗な民族舞踊など公演を行う大劇場
内部はメキシコの壁画運動の巨匠の壁画ギャラリー
・Museo Mural Diego Rivera:リベラ壁画館:「アラメダ公園の日曜の午後の夢」
・Castillo de Chapultepec:旧大統領邸:「デイアス独裁政権から革命へ」壁画
・ Museo Frida Kahlo:女流画家フリーダカーロ博物館(生まれた家:リベラの妻)

(参考資料)地球の歩き方MEXICO
2010-10-07 22:58 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年09月19日(日)
メキシコは今、熱い:Viva MEXICO

9・16人々は熱くなる:メキシコ
 メキシコ市の中心部、王宮前のソカロ広場では、50万人もの市民が集まって記念日の前夜祭が行われた。パレード、仮装行列が繰り出され、花火など打ち上げあられ、人々が「ビバ・メキシコ」と叫び熱くなり深夜に及ぶ。
 今年はメキシコ誕生の重要な年。メキシコ革命100周年と、さらにスペインから独立200年の節目。国、町、家が、「VIVA MEXICO」と、飾り付けをし、集まりどこもが記念日を祝う、人々が熱くなり盛り上がる。すさまじい風景に圧倒される。
 ブラボーメキシコ:CNNのニュースheadline

人々とは対称的な気候:メキシコ
 メキシコ、暑そうなイメージだが、実際は違う。海抜2千2百メートルの高地のため夏でも、気温は最高20度程度、最低は10度。涼しく過ごし易すい気候なので、蒸し暑い夏の大阪とは雲泥の差。夏場は雨季なので、夕方には雨が降るがすぐ止むのも嬉しい。高地のため頭が少し痛くなることがあるのが問題だが、8月に避暑地で生活するようなもので良かった。

広く、異色で、強烈なイメージ持った国:メキシコ
 スペイン植民地支配から独立以来、独立、自治意識の強い。それだけでなく、ニューメキシコ州などアメリカに石油をはじめ資源などを取られたため、アメリカとの対抗意識が強い国という苦難の民族の歴史がエネルギーになっている。
 メキシコシテイには、2000万人ともいう世界最大の人口密集地で、人口が多い。インカ、マヤ、アステイカ帝国などから続く先住民族やスペインによる異なる人種や民族の統合によって成立した国。言語も多彩、文字を読めない人も多いそうな。人口が多く、異質な民族構成で、これまで困難が多かったが、しかし、今後は教育がカギを握る。日本と比べるとBRICSに続き発展可能性を大きく持った国とも言え有望な国。

感動を生み出す多彩なものを出会う:メキシコ
 初めての国では、色々なものに出くわす中で
 歴史:ラテンアメリカ最大の宗教都市テイオティワカンの遺跡、巨大な太陽のピラミッド。
 アート:古代の歴史、革命など民衆の意識をまとめあげる巨大壁画。大学の図書館の壁が全て世界最大の壁画。デイエゴ・リベラの壁画群、女性美術家フリードカーロの博物館。

 都市:ピンクや黄色、緑など原色の多様な色で彩る家々。世界遺産でもあるプエブラの歴史地区が美しい。
 言葉では表現できない中、写真やフォトムービーで整理をして、「メキシコ紀行」を紹介しようと思っている。
Camera Galleria
http://www.kawachi.zaq.ne.jp/galleria/cn10/pg80.html

 
スペイン語圏の世界:メキシコ
 私も、海外旅行というと、地中海沿いの国、特にスペイン語圏域にこれまで出かけた事が多い。ラテンアメリカならブラジルと共にメキシコもそうだ。私の好きな国の一つになった。関空からの直行便がないのが残念だが、ぜひ、一度行ってみると新たな刺激とエネルギーを感じる。
 面白いし、楽しい。そんな気持ちになる「Viva MEXICO」。
2010-09-19 20:30 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年04月18日(日)
日本の水墨画の頂点・松林図:長谷川等伯
京は今日も話題:若い人も関心
 「スーパ絵師伝説=長谷川等伯」の展覧会がオープン。さっそく、混雑を避けて、金曜日の夜、展示会に行ってきた。日本画展なので、日頃は年配の人が多いが、若い人も沢山来ているし、外国人も多い。連休明けまでの京都の話題を集める出来事の一つ。
 等伯(当時は信春)は、石川県の能登に生まれ、仏の絵を描いていたが、30歳過ぎに京に上洛。時の日本画の本流・狩野派の本陣に乗り込み、狩野永徳に対抗する勢力としての地位を築いた伝説的な存在。
 絢爛豪華な桃山文化の時代、仏画特有の精緻な絵と彩色の画法を進化させ、金碧画「楓図壁貼付」のように、極彩色の太い楓(かえで)の幹を大胆に描き、狩野派をも超えた迫力ある存在感を見せている。

もっとも日本的なもの一つ:水墨画の最高峰

 等伯の最も有名な作品「松林図屏風」。霧の中に浮かび上がった松林、それも無駄なもの一切切り捨てた、まるで座禅を組んで瞑想にふける、絵画における幽玄の世界。桃山文化の時代を経て、それと対称的な墨の魔術ともいえる水墨画に傾倒する時期の作品。
 もともと水墨画では、中国の南宋の牧谿(もくけい)の作品を模写し、それを長谷川等伯として、日本的吸収し昇華したもののようだ。禅も同じ、中国から伝わったが、今や世界へ禅が広まり、日本の禅(Zen)が世界に最も良く知られている。まさに「禅の世界」を日本での水墨画として体現したのが松林図。等伯の絵のスポンサーだった千利休の「茶の世界」ともつながる。現代的な表現ではまさに「クールJAPAN」。

没後400年を記念:展覧会はいま京都
 国宝3点、重文31点を中心に長谷川等伯の作品が一同に展示される滅多にない出来事。作品には、高さ10m横6mに及ぶ巨大タペストリーの「仏涅槃図」も
 日本画の宿命だが、保存が大変なため、たった27日間しか会期はない。ぜひ本物を見ると、日本的なものは何か、その良さが、静かな感動として沸き上がると思う。

没後400年特別展覧会:長谷川等伯http://tohaku.exh.jp/
 
●データシート
「松林図屏風」水墨画の最高峰:東京国立博物館
「楓図壁貼付」金碧障壁画の至宝:京都知積院
「松に秋草図屏風」:京都知積院
「仏涅槃図」:京都本法寺:
 等伯が製作し、お寺に寄進したもの。絵師としては順調だが、私生活を不幸で、それが仏に対する信仰心の熱さに繋がっているようだ。
●水墨画
牧谿(もくけい):宋末・元初の禅僧画家
雪舟:等伯は、雪舟を師と「雪舟五代」を名乗っている
以上
2010-04-18 23:41 | 記事へ | コメント(1) |
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2009年12月03日(木)
文化と歴史の融合するまち:シシリア
「アルキメデスが住んだまち」:シラクーサ
 ギリシアのアポロ神殿のあるまち「アグリジェント」、それと共に、はじめて知ったが有名なアルキメデスが生まれ育ったまち「シラクーサ」も「古代遺跡のまち」として、シシリアの南にある。
 ギリシア、ローマの支配からはじまり、ビザンチン、アラブ・サラセンの統治と続く中、11世からシシリアにも黄金時代がスタートする。ルネッサンス期は、フィレンツ、ベニスに歴史・文化・政治の中心が移行し没落。その後、17世紀からバロック時代に復活し、大聖堂、教会、都市計画が進展する。それはイスラムやキリスト教など宗教をベースに多様な文化の融合し、進化する歴史でもある。

「彫刻芸術のまち」:パレルモ
 まちには至る所に教会があり、鐘の音が聞こえる「教会のまち」でもある。教会のミサの参加者には都市化の変容に対応し、朝、昼、夜、多様な時間帯の工夫に行われる。結婚式も開催され、生活の一部として、今なお存在している。
 どこの教会にも素晴らしいレリーフの彫刻、がある。彫刻は、「マリア、天使」が多く、荘厳・厳粛な印象というよりは、人々の心温まる精神的な支柱を創り出しているようだ。

「古代と現代のつながるまち」:シシリア

 「劇場文化のまち」でもある。古代劇の復活再演を2年に1回開催する「ギリシャ劇場」もあれば、ベルデイのオペラでも有名なパレルモの「マッシモ劇場」(パリについでNo2の規模)、カターニャの「ベリーニ劇場」と風格のある劇場が存在感を示している。残念ながら、オペラシーズンではないので、上演はなかった。
 また、「現代アートのまち」でもある。古い歴史建造物の空間は、現代アートの発表の場であり、あちこちで開催されている。それが、まったく日常の風景というのも日本とは違う。

「まちづくりが支えるまち」:パレルモ

 「彫刻芸術のまち」を代表するもの、それは、市街地の中心通りのマグエダ通りとビットリオ・エマニエル通りの交差した十字路の「クアトロカンテイ(四つ辻)」。素晴らしいのは、四季の噴水、スペイン総督、守護聖女の3種類の壁面彫刻が、四つ辻の4面それぞれに彫刻されており、圧巻だ。教会からまち中まで、彫刻群による都市計画というのもすごい発想だ。

フィナーレ
 「見る」、「食べる」、歴史を「振り返る」、日常(現世)から「離れる」、日本や大阪を「再認識する」、自分を「見つめてみる」。「ほっとする」。そんな瞬間が良いのかもしれない。来年もまた出かけようという気持ちになった。
2009-12-03 08:21 | 記事へ | コメント(0) |
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2009年11月22日(日)
阿修羅の惹きつける空間:興福寺
寒暖の激しい今日この頃:奈良
異常気象で暑い日が続いたのに、このごろは例年よりも大きく気温が下がる日が続く。そんな中、昼間一日ぽっと空いたこともあり、朝からJR大和路線で家から30分で奈良に。JR奈良駅は現在改造中で工事の進捗はわからない。急いでめざすはその隣、鹿のいる奈良公園の真ん中、興福寺。

東京、九州を巡業して帰ってきた阿修羅の展示が、今週でおしまい。お堂でみるのはこの機会を逃しては難しいとの声もありやって来た。

お堂でみる阿修羅:興福寺
五重塔を斜めにみて、拝観料を払い列に並ぶが、9時半で、早や90分待ち。雨は降っていないのが幸い。ディズニーランドのように長い順列をひたすら並んで待つ。幸いお堂の中は、ギュウギュウ詰めではなく割とじっくりみれるのが、幸いだ。「釈迦如来像」を取り巻く21体の仏像群。ハイライトはおなじみの「繊細な美少年」阿修羅像。古代インド神話の生命生気の軍神で、「修羅場」の語源も同じところ。「戦いに挑む激しい怒りの姿」が本来なのだそうだが、六つの手をもつ珍しい像、きりっと引き締まった表情だが、軍神の面影はない。阿修羅だけでなく「八部衆」というお釈迦さまを警護する近衛兵の像もなかなかよい。奈良時代のふくよかな表情をしているものが多い。彩色がされていたらさらに良かっただろうが、今まで現存している嬉しい。博物館で観るガラスケースの中の単なる美術品ではなく、お堂の中に鎮座しているのもまた良かった。

如来を取りまく仏像:興福寺
釈迦如来を取り巻く仏像群だけではないのが興福寺。北円堂という八角形のお堂には、鎌倉時代の運慶工房が製作した「弥勒如来」、名彫刻と言われる無著・世親菩薩立像、四天王像の7つの像、全て鎌倉・平安時代の国宝がある。私は運慶の「無著菩薩立像」、優しく遠くをしっかり遠くを見つめている僧侶像が一番気に入っている。
興福寺は、これだけではなく「東金堂」には薬師如来を囲む21体の像もある。これだけ国宝を有している寺院は国内でも少ない。いずれ「中金堂」が再建されたら今回のようなお堂の中で観る機会がまたできるかもしれない。楽しみだ。
阿修羅の全国巡礼で、全国で200万にも近い人を集め、金堂再建に資金も少し確保できただろうが、私は、日本の仏教芸術・文化の粋を集めたものに、「先行き不透明な時代」国民的な関心が広がったことの意味は、大きいような気がしている。

法相宗大本山 興福寺http://www.kohfukuji.com/

データシート
1 仮金堂:21体仏像群
「釈迦如来座像」:江戸期木造、
「薬王・薬上菩薩立像」:鎌倉期木造、
「四天王像(持国天、多聞天、増長天、広目天立像)」:鎌倉期木造、
「十大弟子像」(六体のみ現存)・「八部衆」(阿修羅像も含む):奈良期:脱活乾漆像

2 北円堂:7体仏像群:鎌倉時代の運慶工房が製作
「弥勒如来座像」・「法苑林・大妙相菩薩像」「無著・世親菩薩立像」鎌倉期:木造
「四天王像」平安期:木心乾漆造

3 東金堂:21体仏像群
「薬師如来座像」室町期:銅造
「日光・月光菩薩立像」白鳳期:銅造
「文殊菩薩座像」・「維摩居士(ゆいまこじ)座像」鎌倉期初期:寄木造
「十二神将立像」鎌倉期初期:寄木造
「四天王立像」平安期:一木造
以上
2009-11-22 12:09 | 記事へ | コメント(0) |
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2009年10月28日(水)
偉大なる田舎の空き空間:ジャズセッション
不思議の音が聞こえる:ジャズセッション
日頃は電車の行き交う音がやかましいだけの、我が家のマンションの窓から珍しい音色が聞こえる。音は、日頃の選挙やスーパーの宣伝カーではない。ピアノ、バイオリンなどとボーカルのジャズの生演奏が、駅の駐車場から聞こえる。

神戸や高槻などとは異なり、長年住んでいるまちは都市部の田舎。文化的な色彩とは、何となく無縁のような地域での出来事。市内にある教育大学の学生サークルが、アーテイスト集団として独立したグループ「イーゼル芸術工房」のライブ。主催は、商工会青年部「OB会」、名称は「たそがれステーションライブin JAZZ」
芸術家集団「イーゼル芸術工房」http://easel-art.sub.jp/

駅前再開発の後遺症から脱却か?:ステーションライブ
駅前の再開発が3年もかかってやっと終了。まちなみはきれいになったが、バブル期の遺産のように、駅前の商店街のもシャッターが閉まっているのもある。駅前ビルが3年前に完成した時、地域のスーパーと共に、おしゃれな宝塚の洋菓子屋のカフェも開店した。しかし、そのカフェ店は、駅前再開発が完了するまでに待たずに閉店。駅前の駐車場もいつも自動車は数台、賑わいのない寂しさがしみる風景。そんな曰く因縁のありそうな閑散とした駅前。どうも駅前活性化がテーマになる中での、今回のイベントにつながったようだ。

まちづくりにアートを:人の賑わい
夕方から夜にかけて、近所の人が集まる、家に向かう人が立ち止まり、寄りみちし、駐車場に、子供から年配まで、人が集まる。ワイン・ビールなど飲み物など屋台も、用意したものが売り切れたようだ。盛況。
「ハードからソフトへ」、今では当たり前のことだが、現代的な音楽、アートは、まちづくりではまだマイナーな存在。いずれアートだ、そうなると私は内心思うが、こんな出来事が、身近で起これば嬉しいし、希望が持てる。
演奏する若い世代は、生活し自立できるのか、こんなライブを継続して開催するのは誰なのか、すべては、これから。
面白いのは、私と同世代、団塊の世代より上が元気。曲のリクエストもなつかしジャズの名前が飛び交う、若い芸術家集団もそれを積極的に受け止めて演奏しようと頑張っている。楽しいたそがれのライブだった。
2009-10-28 14:26 | 記事へ | コメント(0) |
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2009年09月09日(水)
だまし絵:わが目を疑う
不思議な作品展: だまし絵
「わかりやすい」。それが人気の秘密でもあり、土日は行列ができるほどの賑わい。「ルーブル美術展」ではなく、兵庫県立美術館の話。

エッシャー、ダリ、マグリッドなど名前を聞くと現代的で、何となく作品のイメージができるものの、アルチン・ボルド16世紀の画家というと、「?」となる。展覧会のポスターは、当時の王様を野菜・果物・花などで精緻に顔を描いた彼の作品=「ルドルフ2世」。魚で顔を描いた「水の寓意」もある。少し奇妙で気持ちが悪いが、子供に取ってはタコ、エビ、エイなど色々な魚を発見できる喜びがある。

本物のような作品:だまし絵
「おしゃべりが聞こえる?」こんな気がする鳥インコの絵。影やガラスが本物のようにリアルに見せている。木の壁にメモや手紙がピンナップしてあり、触ったら取れそうなもの。つい触ってみたい衝動にかられる。
「だまし絵」らしいものもある。斜めから見ると人の顔が浮かんでくるもの、マドリッドの作品で林のどこを人と馬が歩いているのかわからないもの、動きながら見ると、波打ったり、立体的な風景が見えるもの。人間の目の錯覚を利用した作品群は見ていても面白い。

古今東西の作品:だまし絵
日本の作品もある。浮世絵で、しわくちゃな人の顔だが、色々な人の組み合わせ集合で作ったアンチボイルド日本版。高松次郎はモノそのものではなく、影だけで描いた作品「影A」。なかなか清々しい良い作品。
肩の凝らない、わかりやすく、面白い展示会。大人も見て楽しいが、子供の興味が深まるのが良い。お薦めは、子供と共に平日に行くのがよい。

だまし絵:わが目を疑え兵庫県立美術館
2009-09-09 10:34 | 記事へ | コメント(0) |
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2009年08月11日(火)
新たな公共空間の創出:アートトリエンナーレ越後妻有(その3)
廃校プロジェクト:芸術祭の柱
過疎と高齢化に対峙するのが、少子化。子供が居なくなり小・中学校が廃校になる現象が生まれ、地域のコミュニテイ拠点がなくなる運命。そのシンボルを再生する「廃校プロジェクト」が、空家プロジェクトと共に芸術祭の柱にもなっている。
「福武ハウス」は、旧名ヶ山小学校の各教室が、今、海外も含めた新進のアーティスト達の展示室、現代アートの美術館に変身。ベネッセのオーナー福武財団が、運営費を支援しているのも話題。

「最後の教室」は、旧東川小学校。カルマン+ボルタンスキーの海外のアーティストが、ワラを敷き詰めた体育館や、窓を暗く覆われた教室で「人間不在」の空間とは何なのかを問う作品。
今回オープンした「絵本と木の実の美術館」は、廃校になって5年の旧真田小学校。「学校はからっぽにならない」とのメッセージを発した立体絵本のようなアート作品。こどもが不思議そうに、楽しそうに見ているのが面白い。
こんな新しいタイプの美術館が、すでに13校で進められている。

芸術祭:アイデアなしが幸い
芸術祭は、広域行政の波の中から生まれたそうな。市町村合併の受け皿となる地域連携事業として何をするのかを議論した答えが、その出発点。地域の深刻な現状を前に、産業振興、観光誘致など、何をしても無駄で、普通の方法では成功しない。無力感とアイデアなしが幸いし、現代アートの芸術祭が生まれるきっかけとなったという。提案した県の行政担当者も偉いが、当然、当時の町の議会は反対がほとんど、そうした中で、今では成功との評価も生まれてきた。これまでの大変な取組みの苦労に感心する。

3つの拠点:単なる箱物ではない
市町村合併の中でユニークな施設が、芸術祭の地域拠点として3つできた。十日町市立里山科学館、越後松之山「山の学校キョロロ」、地域の自然の宝物さがし、もの作り体験施設でもある。十日町の真ん中に「越後妻有交流館:キナーレ」着物を活かしたワークラボもある。さらに、松代地域に「雪国農国文化村センター:農舞台」。名前もユニーク特色を生かした集客も図っている。
公共空間も明確なコンセプトを定めると、地域が生きてくる。アート、おしゃれ、魅力があれば、人も集まる。人が集まれば新しい地域・文化資源が生まれる。さらに、海外をも引きつける磁力が生まれてきた。北東アジア芸術村、オーストラリアハウスもできてきた。
アートと切り結ぶ公共空間、学校、トイレや道路、公園、青少年施設の整備へと、公共空間の活かし方が広がってくる。地域の魅力を高め、地域再生の道筋を築いていこうという息吹が感じられる越後妻有。まちづくりとして見ても面白い。


(注)
大地の芸術祭:2009年9月13日まで開催
「大地の芸術祭」越後妻有地域760㎢で展開する世界最大級の国際アートトリエンナーレ
過去参加人数、
16万人(第1回)
21万人(第2回)
35万人(第3回)
今回事業予算9億円、(今回は行政の金はなし、ふるさと納税の活用など)経済波及効果?だが、元は取れているようだ
2009-08-11 17:01 | 記事へ | コメント(0) |
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空家の再生:アートトリエンナーレ越後妻有(その2)
空家プロジェクト:過疎化と高齢化に抗して
過疎化・高齢化が進む中で、集落の中にできる空家。アートの力でその再生をめざす空家プロジェクトが、本格的にはじまった。その数、60軒で、順次広がる。
現代アートと言っても作品を闇雲に集落のどこにでも展示できるわけでない。行政を入れた芸術祭実行委員会の役割と共に、集落の中での合意形成が不可欠である。都市部のパブリックアートとは、異なる困難もあるという。しかし、4回目開催という中でも定着してきたものが、「空家プロジェクト」。芸術祭開催時期だけでなく、恒久施設として、宿泊施設やレストラン、ショップにもなってきた。

記憶を紐解く空家:再生から創生
蓬平(よもぎひら)集落の「まゆの家」。十日町の着物作りを支え、かっては盛んだった養蚕業の家内工業の記憶を復元する古民家。まるでアート産業博物館。
大胆に彫刻刀で家の柱、壁、天井、床を1年間かかり掘り尽くし、まったく新しい家のように再生した「脱皮する家」。日大芸術学部の有志の気力と労働とには頭がさがる。今回は、金属を吹き付ける新たな手法で再生した「コロッケハウス」。まったくユニークで面白い。
人間が住めない蜘蛛の巣やススではなく、真っ黒の毛糸の蜘蛛の巣で過去の「家の記憶」を探そうといった試み。
地域コミュニテイの記憶を写真で残す「名ヶ山写真館」。それだけでなく「遺影の撮影館」、生前に写真を準備し「今の自分を確認」する。東京の写真専門学校の夏のワークショップラボのようでもある。再生から創生へと進展してきた。

家とは何か:機能から実験空間
家とはそもそもどんな機能を有するものなのか?そんなテーマにチャレンジしている作品もある。生活の中での食の機能を扱った「黎(れい)の家」。台所に集まったキッチン道具の山、まつ黒の壁・床・天井、暗い中にお客の顔のみ少し光で照す実験レストラン。
宇宙服のような寝袋を着て棺桶ベッドに実際に宿泊し、寝た時の夢の実際の体験を書き残す「夢の家」。それぞれ以外と人気があり予約が多いそうな。
空屋の空間全体を使ったアートの取組みは、色々ある。
花瓶ではなく、家の間取りに1コマずつに何でも生ける、「人間と自然の関係」を見つめようという「いけばなの家」。草花やワラを埋め尽くした生活を支える恵みを捕らえ直す「収穫の家」。
空き家プロジェクトは、アート製作がきっかけとなり、焼きもの炉、製作ラボ、レストラン、ショップ、大学や専門学校の夏のラボ、宿泊施設となったり、多面的な角度から、集落の住民と交流の中、持続的な発展が模索されている。

「大地の芸術祭」越後妻有地域760㎢で展開する世界最大級の国際アートトリエンナーレ
2009-08-11 13:38 | 記事へ | コメント(0) |
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