ニックネーム:団塊フリーター
性別:男
都道府県:大阪府
2007.3.31定年退職

»くわしく見る
2012年03月22日(木)
ベンシャーン: 安らぎと励ましの贈り物
イントロ:BEN SHAHN
 三重、愛知の植物工場を見に行ったので、ついでに名古屋まで足を伸ばした。名古屋市美術館のベンシャーン展(注1,2)を見た。
 写真と絵画とグラフィックアートと多様なメデイアを駆使し、絵画、素描、版画、ポスター、書籍、レコードジャケットなど多彩な作品を制作した20世紀のアメリカを代表するアーテイスト。人、人々をテーマに描いた作品が多い。写真の一部が絵画になっているのもある。

社会派:BEN SHAHN 

 社会派の作家として知られており、貧しいユダヤ人家庭に生まれ、迫害から逃れアメリカに移住したのを背景に、アメリカでの「えん罪事件を告発する作品」が制作テーマでスタート。
 その後、オロスコ、リベラ(注3)、シケイロスに代表されるメキシコ壁画運動の「おおらかで力強いリアリズム精神を継承」した作品に大きな影響を受けた。
 大恐慌時の国の壁画制作など社会政策に関わり、パブリックな社会への関心が高まった。(注4)
 
日本との繋がり:BEN SHAHN
 アジア・日本への関心と想いは強い。代表作は<<ラッキードラゴン>>。日本との繋がりの深い第5福竜丸(1954.3.1)の被爆者を描いた作品(注2)。「深い人間愛と揺るぎなき良心を貫く」それがリアルに伝わる作品である。
 皮肉なことに、この作品を所有している福島県立美術館には、今回の原発発生のため、ベンシャーンのアメリカからの作品は展示されない、残念なこと。

エピローグ:BEN SHAHN
 ベンシャーンの作品を見ると、「混迷する今日を生きる私たちに、安らぎと励ましをもたらす」、本当に幸せな気持ちになる。

 金曜日の夜、美術館が開いているのは助かる。見終わった夜の7時過ぎ、名古屋名物の「みそかつ」を食べ、「大須ういろう」を買って、新幹線で大阪に帰った。

注1)NHK日曜美術館:http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2012/0115/index.html
クリックすると<<ラッキードラゴン>>も見れる。


注2)BEN SHAHN(1898-1969)CROSS MEDIA ARTIST:2011-2012
展覧会:http://www.art-museum.city.nagoya.jp/tenrankai/2011/benshahn/

会期:2012年2月11日(土)から3月25日(日)
主催:名古屋市美術館

注3)リベラ:メキシコ壁画運動の巨匠の一人:メキシコオリンピック会場の立体壁画

注4)名古屋市美術館は、戦前ニューヨークやメキシコで活動しており、当時の壁画作品に影響を受けた愛知出身の「北川民次」の作品集を持っているし、メキシコ壁画運動の作品も多く、ベンシャーンとの繋がりも多いのが今回展覧会の開催につながっている。
2012-03-22 08:35 | 記事へ | コメント(0) |
| 美:アート |
2012年03月18日(日)
ジャクソン・ポロック: 現代芸術の伝説を見る
「この写真は何や?」:偉大な画家の制作現場の再現
 ペンキで汚れた板の間、と思うが、絵を描いた有名な画家のアトリエの床に立つ、これで少し納得。「これは本当に絵なのか?」、そんな疑問も生まれるが、美術に革命を起こしたアメリカでもっとも偉大な画家「ジャクソン・ポロック」。生誕100年を記念した展覧会が、名古屋から東京で開催中。
 床の平面に広げたキャンバスに絵具をふり注いで、「果てしなく重層する線の絡まり合い」をダイナミックに4方面から描く、オールオーバーなボード絵画。手法をとって「アクションペインテイング」。描く方は「絵の中に居る」それ自身が生命の存在と言う、一方、見る方は都会のジャングルか自然の森林に引き込まれたような「深い空間と心地よいリズム」に不思議な気分になる。


「ピカソを越えた男」:抽象絵画のバックグラウンド
 「モダンアートの中心をパリからニューヨークに移した立役者」「アメリカの前衛アート」そんなキャッチフレーズだけでは、よくわからないポロック芸術。
 今回の展示会で良かったのは、最初から、突然こんな抽象絵画を書いたのではなく、彼がここに到達するまでの、バックヤードが良くわかって面白かった。
・ もともと、アメリカ先住民インデイアンのシャーマニズムを表現。
・ さらに、メキシコ壁画のシケイロスなど影響と社会的なパワーを受け継ぎ発展。
・ 最後には、キュービズムで抽象絵画の世界を切り拓いたピカソ、その「ピカソを乗り超え」アクションペインテインの手法を実現。
このような流れの中で辿り着いたポロックの世界を理解すると、抽象絵画もその奥が少し見えてくる。

「伝説の人に出会う」:伝説の作品との遭遇
 生い立ちも、貧しい移民の家庭で育ち、野菜生産をビジネスに、土地・気候・販路を求め家族で7回も引っ越したことや、アルコール依存症で、44歳事故死で、華やかな時期の短い人生を終えたこと。展覧会場には、ポロックのアトリエ(原寸大モデル)もある。さらにイランから初公開の作品「評価額200億円門外不出」の作品(注2)にも出会える。
 これまで名前だけしか知らなかったポロック、伝説の人に会えたような気がする楽しい展覧会だった。

注1)ジャクソン・ポロックJACKSON POLLOCK(1912-1956)
展覧会: http://pollock100.com/
会期:2012年2月10日(金)から5月6日(日)
主催:東京国立近代美術館
注2)<<インデイアンレッドの地の壁画>>1950年テヘラン現代美術館:$250,000,000

2012-03-18 15:25 | 記事へ | コメント(0) |
| 美:アート |
2012年03月15日(木)
北斎と小布施:異質を吸引するパワースポット
イントロ:台風娘
 先週、地元柏原でイベント(注1)があり、町並みの修復景観づくりや地元ブランド商品の開発など「小布施」のまちづくりの話を聞いた。長浜の黒壁、大分の由布院など有名な観光スポットは色々あるが、長野で一番小さい町・小布施がいま人気。
 最近の話題は、長野オリンピックの時にやってきたアメリカ娘(注2)が小布施に住み着き、今や江戸期創業の造り酒屋の役員に就任。「台風娘」とも言われているが、伝統的な桶仕込酒の復活など新商品の開発だけでなく、小布施の町おこしの新たな火付け役になっている。伝統的な町と会社に、異質な人材が交わって地域に新たな変化が起こったのも面白い。

小布施:北斎のパワースポット 
 小布施はもともと上質な栗の産地であり、しかも「北斎」のまちで有名。長野駅からは、ローカル電車に乗って30分ほど、今や国内外からも人が集まってくるパワースポット。葛飾北斎が、「画狂人/卍」と名乗っていた晩年、83歳から何回か小布施に滞在し制作した。迫力のある「浪」を描いた祭屋台の天井絵(注3)など貴重な文化資源を大切に活かしている。

北斎:国内外の人気の秘密
 今年は北斎の生誕250年。今年、私ももう2回も京都で「葛飾北斎の展覧会」を見た。年内には、全国でまだまだ開催されるだろう。北斎ならやはり富士。大きな波間から富士をみる<神奈川沖浪裏>勇壮でシンボリックな<赤富士>などの<富嶽三十六景>(注4)だが、それ以外にもモノトーンの<富嶽百景>もある。
 こんなに沢山作ったのも、富士山がパワースポット、冨士講による旅ブームとも相まって、その時代の社会世相に上手く乗ったことが作品の制作の背景にある。そんな浮世絵のビジネス戦略が成功したのも、北斎にとっては大きかったようだ。

北斎:異質さが源泉
 あり得ない角度から切り取る奇抜な構図、デフォルメされた日本的な平行遠近法など北斎の作品はやはりユニーク。この異質なところが、19世紀末の西洋画家に多くの影響を与えたし、現代の日本画にも脈々と通じるところがあり、浮世絵のインパクトを世界に強めた人気の秘密なのかもしれない。

エピローグ:まちづくりとアート
 異質なものを引きつけるパワースポット「小布施」。生誕250年の記念の年、今年こそは、ぜひ、北斎の「画狂人」の肉筆画に会うために小布施に一度行きたいと思う。
 
 また、今年は、地元でも「柏原ビエンナーレ(注5)」が5月に開催される、今回から地域の古い歴史的な町屋、倉庫などの空間を利用したアートの取り組みが、やっと始まる。地域を異なる視点から見て見る。テーマがあれば、地域を見直す可能性も持っている。まちづくりとアートと関係は、深い意味をもっていて面白そうだ。 
  
(注1)おいなーれ柏原:
まちプロサイトhttp://www.machipro.org/hiroba/oinaare.html
まちプロブログhttp://blog.zaq.ne.jp/machipro/article/92/
(注2)セーラ・マリ・カミング:桝一市村酒造場http://www.masuichi.com/sarah/index.htm
(注3)小布施北斎館http://www.hokusai-kan.com/index.htm
(注4)<富嶽三十六景>:人気があって実際は46図作成
(注5)柏原ビエンナーレ:http://www.machipro.org/hiroba/biennale.html
2012-03-15 16:47 | 記事へ | コメント(0) |
| 美:アート / まちづくり |