フェリーありあけを転覆させたのはFreak Wave!?
しばらく更新をお休みして申し訳ありませんでした。体調不良からはとりあえず回復したのですが、年末に突入したということもあって公私共に忙しくなってまいりました・・・。あーでも、年が明けたら、今度は期末や年度末ですか・・・。
非正規雇用の仕事で週6勤務だと、就職活動もできないよ!準研究員の話をもらったけど、どう考えても生活がよくなるようには思えない・・・どっちにしろ参加資格ないけどね!
・・・まぁ、個人的な愚痴はこのくらいにして、久々の更新です。まぁ、間隔がかなりあいたせいでニュース性はかなり薄れてしまっているのですが・・・。
「フェリーありあけ」転覆事故の原因に関して興味深い報道がありました。それはまじめな事故分析ということだけでなく、別の意味でもこのブログにかかわりのあるものだったのです。
フェリー横転は「フリーク波」原因か 局地的に異常巨大波 三重県御浜町沖の熊野灘で13日、フェリー「ありあけ」(7、910トン)が横転した事故で、局地的に突然起きる巨大波「フリーク波」が発生したため、船体が急激に傾き荷崩れを起こし、事故につながった可能性があることが専門家の指摘で分かった。尾鷲海上保安部(同県尾鷲市)でも関心を寄せている。 救出直後から船長の「巨大な波に襲われた」というような証言もありましたが、その波が事故の大きな原因であった可能性が高いようです。
ちなみにこの巨大な波=フリーク波に関しては、このブログの古くからの読者にとっては聞き覚えのあるものかもしれません。というのも、当ブログのメインコンテンツ(だったはず)のアニメ二次創作小説が、まさしくFreak Waveというタイトルだったのです(笑 この件に関しては、ブログのかなり初期のエントリで触れています。
過去記事:新企画・タイトルFreak wave(フリーク波)というのは、Treat from nowhere(突然襲来する水の壁)やHole in the Ocean(海洋の穴)と呼ばれる危険な波の異常現象です。
なぜ、このタイトルにしたかというと、たまたま最近読んだ「船と海のサイエンス」に載ってたからですw まぁ、これだけなんですけどね。しかもタイトルと内容の関連性がないという・・・。というわけで、当時たまたま読んだその「船と海のサイエンス」を引っ張り出してみました。自分のところには毎期無料で届くのですが、実はすべての内容をネット上で見ることができます。
海技研ニュース2005-3「海と船のサイエンス」
船を呑みこむ海洋の穴
−海洋の異常波浪(フリーク波)の研究−
今日も世界中の海を大小様々な船が行き交っています。船舶による輸送は依然として世界の経済・物流の大動脈といえます。このような船の活動の場である海洋はまた大小様々な波浪の存在する場でもあります。なかでもThreat from nowhere(突然襲来する水の壁)あるいは Hole in the ocean(海洋の穴)とも呼ばれる異常現象が近年明らかになってきました。これらの危険な波の発生を予測し、被害を回避しようという研究が海上技術安全研究所と東京大学との協力で推進されています。 この記事は硬い論文調ではなく、学生と教師による対談型式で書かれているので、読みやすいと思います。
この会話の中では映画の「パーフェクトストーム」が引き合いに出されていますが、同じ監督がリメイクした「ポセイドン」では、まさしくこの巨大な波への言及があります。ただしフリーク・ウェーブではなくローグ・ウェーブという名称を使っており、DVDの特典ディスクにはそれを解説したヒストリーチャンネルのドキュメンタリーまで収録されていました。
それによると、その海域の平均波高の2倍から3倍の巨大な波が何の前触れもなく突如として現れるということです。そのような巨大な波の存在は、長年船乗りの間の伝説とされ科学者たちは現実には1万年に一度しか発生しないとしてきました。しかし、実際にはそれよりはるかに頻繁に発生していたのです。
具体的な事例としては1966年の豪華客船「ミケランジェロ」が大西洋上で死者3名負傷者12名をだした事故。同船がNY港にたどり着いたときには船首がめちゃくちゃに破壊されていました。乗員は高さ24mの波に襲われたと証言しました。
1978年、ドイツの大型貨物船「ミュンヘン」は大西洋上で無線連絡中に突如消息を絶ちました。大規模な捜索活動の結果、29名の乗員は誰一人として見つからず、かろうじてわずかな残骸と1隻の救命ボートが発見されただけでした。調査の結果、救命ボートは乗員が下ろしたり自動的に切り離されたのではなく、ダビットから無理やり引き剥がされたことが判明しました。つまり海面18mの高さに何かが激突したということになります。
1980年、タンカー「エッソ・ラングドック」は南アフリカ・ダーバン沖で周囲の波の7倍はある巨大な怪物に突如襲われました。そのときにブリッジにいた航海士が、その「怪物」の撮影に成功します。
その写真が掲載されたフリーク波・ローグ波に関するサイト記事がありました。
X51.ORG : 海洋伝説 - 高さ30m、超巨大波の存在を人工衛星が確認
これが、この「怪物」の存在を示す初の物証だと言われています。写真の右舷マストは海面から25mの高さにあり、ここから波の高さは30mだと算出されました。
世界にこの「怪物」の存在を知らしめたタンカーの乗員は無事助かりましたが、この2年後、北大西洋カナダ沖のオイルリグ「オーシャン・レンジャー」は悲劇的な結末を迎えました。最新の機器と荒天に耐えうる装備を持っていたものの、巨大な波によって制御室が破壊されました。同施設は12mの高波にも耐えられるはずでしたが、襲ってきたのは30mを越す「怪物」だったのです。制御システムが浸水し、さらにバラストの不調も重なりました。バランスを失い転覆、作業員89名は全員死亡、巨大波による最大の犠牲者を出したのです。
これだけの被害を出してきたフリーク波・ローグ波ですが、科学的にはその巨大さに関して疑問が残ったままでした。しかし1995年に別のオイルリグが科学的なデータを残すことになります。北海ノルウェー沖の「ドラウプナー」がプラットフォーム間のレーザーセンサーで最大27,8mの波を記録したのです。
科学者たちは同海域のデータを調査し、この怪物を定義することに成功します。他の波よりも少なくとも2倍以上の高さ、そして他の波の周期から外れた、まさに「はぐれ者=ローグ」だったのです。
定義付けされたとはいえ、発生のメカニズムは謎のままでした。ぶつかり合う海流によって巨大な波が発生する。海流が合流する海域に多い説明にもなります。しかし、同じ向きの海流でも巨大な波が突如現れることもあるのです。それはある周期の波に別の周期の波が追いつくことによって、波二つ分のエネルギーが合体し新たな巨大な波を形作ると説明されました。
ほかにも島などの構造物によって分離した波が再び出会って発生することもあります。それらも十分危険ですが、最も注意しなければならないのは周囲や海底に構造物もなく、時化てもいない極めて静かな海で突如として「怪物」に襲われることです。これは数百キロも離れた場所の嵐によって生み出された波が徐々に合わさり強風であおられて成長したものです。2000年にはこのメカニズムによって発生した巨大波がNOAAの調査に参加していた小型測量船「バイエナ」を完全に破壊しました(乗員である船長と科学者二名は生還)。この時は波高1mの海で6倍の波が発生。たかが6mだと思われるかもしれませんが全長18mの小型艇にとっては脅威的です。船首を波に向けようとするものの波のほうが速く、約30度の角度で衝突そのまま横倒しにされてしまったのです。もっともこの事故がきっかけで科学的調査に弾みがついたともいえますが・・・。
1969〜94年の海難事故記録を再調査したところ、25年間で60隻の大型タンカーが突然の浸水で沈没、その3分の1以上がフリーク波・ローグ波によるものだったのではないかと言われています。
その後、上記記事にあるように欧州宇宙機関ESAの地球観測衛星ERS-1/2による海域調査と監視を開始。それにより驚愕の事実が明らかになりました。今までの定説では、30m超級の巨大波は1万年に1度しか発生しないといわれていましたが、ドラウプナー海域を12年間調査した結果、466もの巨大波が観測されたのです。
そしてその頻度は同海域だけでないことがすぐに証明されました。2001年、南米ホーン岬沖を航行中の客船2隻が、わずか10日の間に相次いで巨大波に襲われたのです。海面から20m以上の位置にあるブリッジが完全に浸水しました。
この連続した二件の事故がきっかけになって、世界中の海の「ホットスポット」が調べられました。その中には日本周辺海域も含まれています。
将来的にはこれらの海域を衛星や観測ブイによって監視しそれらをネットワークでつないだ警戒システムを整備することによって、巨大波の危険を予知できる可能性もあるとのことです。
もちろん科学的予知だけでなく、船の側からの対策の努力も重ねられています。
海技研ニュース2006-Spring「海と船のサイエンス」
嵐の中での船舶の安全性を高める
―荒天下における船舶の耐航性能ツールの開発―
こちらの記事でも、Freak波とその対策についての研究が紹介されています。
船体そのものの破壊には至らなくても、ブリッジの窓が破られるだけで操船機能は壊滅的な打撃を受けます。日本の近海においても自動車運搬船がブリッジに青波を受けて浸水し海保に救助を求める事故がありました。
「ポセイドン」作中では豪華客船がいとも簡単に破壊されて今いましたが、現実の2003年に進水したクィーン・メリー2世号は前部船体やブリッジ窓が強化され、船首のバウやフレアも大きくなっています。
とはいえ、予知と対策をどちらを優先すべきかという議論は大地震と同じくこの問題でも発生しているようです。果たして、耐震構造はどの程度の地震までを想定すればいいのか・・・こうした日本人にとっても身近な問題に置き換えて考えることもできるわけです。
今回は、巨大波で荷崩れを起こすことになったものの航行能力が致命的に失われるようなことはなかったわけで、ある意味恵まれていたのかもしれません。もしブリッジを破壊されていれば、沿岸部まで航行することも、海保ヘリが救助することも困難になっていたでしょうから・・・。
とはいえ、これで事故の原因が解明されてわけではありません。また油の回収問題や船体そのもののサルベージOR解撤?問題も依然として残されています。
なんか海保の外郭団体「海上災害防止センター」に傭船されたフネが、自船の燃料油を流出させちゃったようで・・・油を回収しているからこそ、こういう事故には気をつけてほしいものです。
横転フェリー油防除船から燃料油流出・三重県鵜殿港
更新を休止している間に、関門海峡もちょっとしたことになっていたようですね。
関門海峡は霧の下…交通網乱れも
佐世保の労働組織の方々は、「霧」に対する抗議活動や申し入れはしないんですかね(オイ
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2009年12月3日 00時13分
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