2009年11月17日(火)
28年ぶりの大航海、「うらが」は「はやと」に
 前回のエントリで紹介したように、十管のヘリ搭載型巡視船「はやと」PLH-04が海賊対策の一環としてインドネシアに派遣されます。

東南アジアへの巡視船はやとの派遣について〜インドネシア共和国にて同国海上保安機関との連携訓練等を実施〜
 海上保安庁では、アジア各国との海賊及び海上テロ対策に関する相互連携協力推進の一環として、次のとおり、巡視船をインドネシア共和国へ派遣します。
 派遣期間中、往路復路の公海上においては、巡視警戒・情報収集活動、必要に応じて海賊行為への対処を行うとともに、インドネシア共和国においては、同国海上保安機関との連携訓練、海賊情勢・対策に関する意見交換等を行うこととしています。

派遣巡視船
巡視船はやと(総トン数 3,100トン、ヘリコプター1機搭載)
第十管区海上保安本部鹿児島海上保安部所属
船長:大和 秀一 (やまと しゅういち)
鹿児島海上保安部船艇紹介より


 「はやと」は「おおすみ」PLH-03とともに十管の鹿児島海保に配備されているヘリ1機搭載型巡視船で、番号から分かるとおりPLHの中でももっとも古いグループに属します。同保安部は海上保安庁の中で横浜と並んでPLH型が2隻配備されている、数少ない部署です。この2隻は周辺海域の救難などではヘリの運用能力を生かして活躍することも多いと思われます。
 とはいえ初期型PLHということもあって兵装(20mm多銃身機関砲は搭載されていない)や通信設備が後続船に劣り、ヘリテレ能力などが重視される尖閣諸島警備などには積極的に配置されていないようです。PLH1番船である「そうや」とともに早期の近代化もしくは代替が望まれる船であると言えるでしょう。

 今回は、そのような老朽船がなんと東南アジア・インドネシアまで派遣されてしまうのです。PLHとしては最も若い部類に入る「りゅうきゅう」PLH-09は何度かフィリピンなどに派遣されていますが、新しいとはいえ国外での活動には苦労していると聞きます。ましてや、今回は船齢が30近い船です。35mm機関砲身を「発射」してしまった(4年ほど若い)「せっつ」PLH-07ではないですが、何か起きてしまわないかと不安を覚えます。余計なお世話ですがw


 こんなことを書いていますが、実はこの船が東南アジアまで行くのは今回が初めてではないのです。就役間もないころ東南アジアを親善訪問していました。そのころは今と船名も違っていたのです。当時の記事を見てみましょう。



 当時の様子を伝える海上保安ニュースの紙面です。

 海上保安ニュースは海上保安写真ニュースなどと名前を変えて、最近まで巡視船の掲示板などに貼られていましたが現在はなくなってしまったそうです・・経費削減でしょうか?残念ではありますが、今は「かいほジャーナル」などの広報誌やネットでの情報も充実していますしね(ネットのほうはもうちょっとがんばってほしい)。

 で、その内容。もう、この一枚で網羅されているので十分なんですが、当時の「世界の艦船」にも記事があるので引用してみましょう。

海上保安庁巡視船隊 東南アジア親善訪問の記録

 既報のように,海上保安庁は去る11月26日から12月28日にかけて,大型巡視船2隻から成る巡視船隊を,フィリピン,シンガポール,マレーシア,インドネシアの東南アジア4カ国へ,協力関係の緊密化と親善を図るために派遣した。派遣巡視船は横浜海上保安部所属の改ヘリコプター搭載型巡視船“うらが”と,下田海上保安部所属の1,000トン型巡視船“しきね”で,船隊指揮官は広瀬警備救難部参事官である。船隊は11月26日東京を出発し,12月1日から3日までフィリピンのマニラ,7日から9日までシンガポール,10日から11日までマレーシアのポート・ケラン,15日から17日までインドネシアのジャカルタ,25日から27日まで那覇に寄港し,28日それぞれの基地に帰投した。総航程は約9,000浬であった。この写真集は,その折のスナップをまとめたものである。

↑インド洋をゆく“うらが”。12月19日の撮影で,この日,本船は高速警備救難艇を使って洋上で“しきね”に補給を行ったが,写真はその直後に撮影したもので,警救艇は舷側にぶら下がっている。船橋の旋回窓を取り付けた部分が,旋回部以外はエンクローズされているのに注意。新造時は前面ガラスの角窓の中心に旋回窓があった。
世界の艦船NO.306 1982年4月号より


 PLHどころか当時のPLまで随伴していたわけです。両船とも当時は新造船だったんですけどねぇ・・・現在では「しきね」PL-109は「はてるま」型の新造船PL-66に変わってしまいました。「うらが」が更新されるのはいつなんでしょうか・・・?あ、ひょっとして今回の派遣は、久々の地に送り出すという最後の花道?



 これらの写真を見て現在の巡視船と明らかに違う点に気づかれる方も多いと思います。そう、海保巡視船の特徴であるS字マークが入っていないのです(もちろんJAPAN COAST GUARDのロゴもないわけですが)。その上、PLHであるはずの「うらが」の記号もPLとなっています。

 S字マークに関しては、この派遣から約2年後、1983年12月に庁内に設置された本庁総務部長を委員長とする「船艇及び航空機の標識検討委員会」で職員やOB、関連団体役員などの500名あまりの意見聴取の結果まとめられたものです。
 PLHという種別は1985年に進水した巡視船「みずほ」から付与され、在来のヘリ搭載型巡視船もPLから変更されることになりました。このときにあわせて公称船型も、改ヘリコプター搭載型巡視船→ヘリコプター1機搭載型巡視船、広域哨戒型巡視船→ヘリコプター2機搭載型巡視船という、今では聞きなれたものに改められたのでした。


 さて、現在の「はやと」つまり当時の「うらが」ですが、このような親善の遠洋航海以外にも珍しいというかすごい経験をしています。それはなんと、あろうことかアメリカ海軍軍艦から砲撃を受ける(?)という事件でした。この件に関してはまた機会があれば記事にしたいと思います。
2009年11月17日 05時53分 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 海上保安庁 / 海賊関係 |
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