ニックネーム:ばむ
仕事もする母・ばむです。日記・映画・スキーいろいろ書いてます。
2011年05月15日(日)
モスクワ世界選手権
BSフジで開会式と、Jsports録画でやっとアイスダンスを見る事が出来た。それで今頃になってフィギュアスケート世界選手権の感想を書こう。

ロシアが示してくれた本来の開催国であった日本への配慮と、震災に見舞われた日本へのメッセージには、スポーツを通じたヒューマニズムを感じた。

まず小塚選手、おめでとう。やっとここまで来た!
四大陸選手権の時に感じた、『覚醒しつつある予感』は間違っていなかった。FSでは冷静に動きをコントロールし、クリーンなプログラムを披露してくれた。4回転を含む全てのジャンプを確実に決め、スピンの回転もしっかりと、そして美しいステップ、バックアウトの上向きループにうるっときてしまった。
「ジャッジ、175点出せよ」ってつぶやいたら、トップの技術点をたたき出し、PCS(演技構成点)も80点を超え、合計で180.79 よしっ!
もともとの端正なスケーティングにしなやかさと柔らかさが加わり、ピアノの音を丁寧に拾って、流れるようなプログラムを見事に完成させた。『小塚崇彦の代表作』の誕生だ。日本男子シングルの救世主な立ち位置は健在だった。
パトリック・チャン選手とのPCSの点差は「あなたはまだ伸ばせる」ってジャッジのメッセージだと思う。

高橋選手は本当に残念だった。
相変わらず「自分のミス」と言い訳しないけれど、選手にとってスケート靴は体の一部のようなもので、大事な試合の時にチェックしていないなんて考えられず、あの場所でビスが外れたのは、もう不運としか言いようの無いアクシデントだった。小塚・浅田両選手のビスも緩んでいたらしい。試合が一ヶ月延期になったことで、選手たちは靴の限界を超えて使っているとアイスダンスの解説にもあった。ともかく怪我がなくて本当によかった。現役続行は大歓迎!後輩選手たちも、彼から学ぶことはまだたくさんあるし、同じ試合に出場する機会があるってことは何より刺激になる。見ている方も楽しみが減らなくてよかった。

織田選手……跳びすぎた男…
まるで重力が一瞬無くなったかのようにふわりと降りてくるジャンプ、ステップを踏みながらリンクを自在に駆け抜ける姿、織田選手の『和』の雰囲気をうまく生かした「storm」は、今シーズンのSPの中でばむは一番のお気に入りだったのに、ジャンプを着氷してから片足で後ろにクイックイッとさがるあの面白い動きが、4回転を入れて無くなったのが寂しい。
でもまあ、あの点数が出たのだから良しと思う事にした。そして、いい位置につけたと喜んだのもつかの間、FPでまたまたまた、何回目だ?やってしまった!ジャンプの規定違反。
セカンドに3回転を容易にもってくることの出来る選手ならではのミスではあるけれど、そのことをどのくらい本人が自覚しているのだろうか。才能の無駄遣いじゃないかってうちの生意気少年が言いやがった。
ニッポンのノブナリ・オダが世界選手権で未だメダル無しとは、フィギュアスケート界の七不思議だとばむは思っている。今後は「リカバリー、リカバリー」と5回以上、「ザヤック、ザヤック」と10回以上唱えてからスタンバイすること。頼むよ、殿っ!スモール・メダルだけじゃなくて、おっきい方のメダルだよ。

パトリック・チャンは相変わらずツルツル、スルスル滑る滑る、滑りまくる。シーズン前半の『転倒チャン』は何処へやら、相当な努力をしたのだろうな。
膝をうまく使って片足ステップでどんどん加速してゆく抜群の技術力があの浮遊感を生み、「テイクファイブ」の独特のリズムとよくシンクロしている。
凄い点も出た。ジャッジの言いたいことが良くわかる、「氷の上でスケート靴はいてこそ出来るパフォーマンスをしろ」と。でもあの点はサービスしすぎじゃないか。
いくら足元は素晴らしくても、上半身の使い方なんかはどうにかしてもらわないと、場末のバーテンダーに見えて仕方が無い。場末のBARって行ったことないけど。
FSもそう。トランジションってのも何か入れればいいってもんじゃないと思う。膝の曲がったへっぴり腰イーグルとか、膝も腰も曲がったどっこいしょハイキックなんかも、もっときちんとやってもらわないと…世界チャンピオンなんだから。
自分はジャッジに愛されているとか何とか誤解を招くような発言はもうするなよ、世界チャンピオンなんだから。それに、これだけのジャンプ構成なのにラストが2A−2Tって何?ガクっとくる。ばむがジャッジならPCS減点するな。

安藤選手はやはり強かった!もう何も言葉がないなあ。
腕をブンブン振り回して暴れているかのような彼女は遠くに行った。
美しいプレパレーションのジャンプ、心のこもったスケーティング、「何色でもいいからメダルを持って帰りたかった。被災した方々のために滑った」という意志が「体が動いてくれない」という不調を克服した。
SPではキム・ヨナ選手と僅差の2位、FSでは見事に逆転。やはりシーズン通して努力した人が勝つべきだと、多くの人が思っていたことを成し遂げてくれて良かった。
表彰台の真ん中に再び上がった姿に感激し、魂のこもったエキシビション「レクイエム」に涙腺が崩壊した。世界選手権が無くならなくて本当に良かった。
ただ彼女のこれからは心配な事がある。
ソチ五輪への強化のため、モスクワに呼び戻されたモロゾフ氏はロシア選手を中心に指導してゆくことになる。チームにはレオノワ選手やアイスダンスの選手たちも加わるらしい。安藤選手はどうなるのか…

浅田選手、お疲れ様。
佐藤コーチについたのが9月、応急処置で乗り越えなければならなかったシーズンの世界選手権に出場できたことの方が幸いだとばむは思っている。
FPの「愛の夢」は浅田選手にふさわしい曲調で、ローリー・ニコルの手腕で良いプログラムになっていたけれど、『ジャンプを決めなければ』ということに意識が集中してしまいがちになり、SPの「タンゴ」は曲を表現するまでには至らなかった。調子が悪いと以前のジャンプ癖が出てしまうようにも見えた。でもスケーティングは今シーズンが一番。佐藤コーチのスケート哲学を理解して基本から叩き上げればもっと進化できる!

村上選手、緊張してるなあと感じた。荒削りでもいい、もやもやした日本の空気を一掃するくらいのはじけた演技が見たかったなあ。彼女はこれからが正念場、頑張って!

キム・ヨナ選手はやはり実力がある。スピンのレベル取りが厳しくなった今シーズン序盤は、レベル1やら2が続発したにもかかわらず、彼女はいきなりレベル4を揃えてきた。おまけに回転速度も上がっている。スピードに乗った3Lz-3Tの高難度ジャンプも決めた。でも「あげひばり」をやっていた頃の彼女だったらもっと感動できたのになあ。
選手は試合に出て観客やジャッジに自分のプログラムを披露して修正を重ね、山あり谷ありを乗り越えて滑り込んで完成させてゆく。そういう過程を全く経ていないプログラムには深さが感じられない。たとえある程度の点数は出たとしても。
こんなに地力があるのに勿体ない。


コンパルソリー・ダンスも見たかったなあ。でも廃止になったのだから仕方が無い。
一時期は『劣化したペア』みたいになっていたアイスダンスは全体にぐんと技術が進歩していた。改定されるルールに選手が懸命にくらいついた成果だ。解説の藤森氏は「スポーツとして進化したアイスダンス」と評価していたけれど、その通りと思った。そう言えば、「ジャンプを跳ばないアイスダンスはスポーツじゃ無い、五輪種目から外すべきた」と言われたこともあったなあ。
それにしてもシブタニズの大躍進でシュピルバンド門下生の表彰台独占は驚いた。

フィギュアスケートのルールは欠陥もあれば矛盾もある。特にPCS(Program Components Scor 演技構成点、ファイブ・コンポーネンツとも言う)は、素人には謎が多いし、元選手でさえ解説し難いものでもある。連盟も一般に理解してもらおうという努力が足りないと思う。しかし、ジャッジは選手を育てようという意識をもって採点しているのだろうし、それにしっかりと向き合っている選手たちも立派だと思う。彼らは決してライバルとばかり戦っているわけじゃない。ジャンプのエッジエラー矯正、回転不足の解消、スピンのバリエーションを増やす、エッジをしっかりと使ってスピードを殺さずにステップを踏む、どれも簡単じゃない。

浅田選手の止まりそうになりながら必死で回るビールマンスピン、失敗に終わったけれど高橋選手の世界初フライング・レイバックスピンへの挑戦、安藤選手のウィンドミルなど、トップレベルの選手たちもレベル4獲得へ地道な努力を積み重ねて来た。しかし、レベル取りは何とかなっても、ポジションが美しくないものも多発した。
そこでまた来シーズンのルール改正。スピンは更に厳しくなった。
レベル取りのハードルを上げることで、『不完全なレベル4』よりレベルは3止まりでも、まずは完成度を上げてGOE加点を取れというメッセージなのかとばむは理解しているのだけれど、果たして選手たちはどう取り組むのか。
こちら は 日本に在住していたジュニア時代には佐藤門下生であった、スピンの名手ルシンダ・ルー選手。
ポジションといい、回転速度といい、ブレない軸といい、とにかく素晴らしい完成度。現行ルールにあてはめるとレベルは取れないけれど、GOE加点は目一杯つくと思う。ルールが要求する難しい要素をいくつも入れながらも、ここまでやれる選手が出て来たら、泣いて喜ぶだろうな。

ステップはレベルとしてカウントされる要項にループが追加された。さあて、ループを描いてから他のターンを持ってくる選手が出てくるか?
来シーズンのプログラムにも期待し、選手を応援する我々も『見る目もレベル4』を目指して頑張るぞ。

2011-05-15 17:02 | 記事へ | コメント(0) |
| あれやこれや |
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