映画「パリ20区、僕たちのクラス」を観ました
一言でいって、観ている間中、こんなに気が抜けない面白い映画は滅多にない。脚本は当然あるのだが、まるでドキュメンタリー映画だ。次の展開が全く読めないまま2時間20分が経っていった。
先生の職場である教室は、ある意味生徒との戦いの前線だ。
日々、毎時間、毎分、先生と生徒の言葉の応酬で授業がなされている。
この映画は人と人との言葉のやりとりのドラマだ。それが主役の映画だと思う。公式サイトによると原作者が主演していて俳優としてはシロウトだそうだ。そして出演者の中学生たちも全員がシロウトだそうだ。全く信じられない。演技とは自分を化けさせることなのだろうか。みんな別人になりきってこの映画を作っている。
映画は殆どが15歳の男女が生徒であるクラスを担当する国語教師を軸に回る。
製作者も監督も、極東の列島である日本の映画マーケットをターゲットにしてこの映画を作ったわけでは当然ない。
今この時点のフランスの観客を相手にこの映画を作った。
なぜ?
フランスの親御さん、あなた方の子供たちはいま学校で、あなた方の時代と違うこういう状況にあるのですよ、と知らせたかった?
いやフランスの大人たちよ、15歳と言えばプライドも頭脳も、もうオトナと同じですよ、しかも大人と違って、彼らの心は皮が剥けて、まだ血が滲んでいる皮膚のように、触られるとヒリヒリするように敏感なのですよと伝えたかった?
いずれにせよこの映画が発信するメッセージは国を越える普遍性を持ったからカンヌ国際映画祭で最高賞を取ったのだと実感した。
30人ほどの一つのクラスに、人種的にはモロッコ人、アフリカ黒人、アラブ人、中国人、フランス本国人が含まれていて、この国語の先生はフランス語の教育に懸命だ。
映画を見ているうちにどうしても自分が受けた公教育の授業と比較してしまう。こんなに生徒と先生がお互いに論争しあうなんて嘘だろうと思ってしまう。
そうか、フランス人はこうやって小中学校から高校大学生活を送るのか。論理と論争に強くなくては生きていけない。沈黙は金では生きていけない。
この映画を日本の全ての中学生と高校生、そしてその教師たちに見てもらうと面白いだろうなあ。両方が言うと思う、こんなエネルギーを毎日使わせられるンなら学校へ行くのはやーめたと。
いまこの地球上の一国の学校事情を知るというだけでなく、一国の人を知るという意味でも面白い映画です。フランス映画はやはり脈々と客を呼べる映画を作り続けているんだと思いました。☆☆☆☆☆つまり絶対お勧めです。
ジャック・チボーが学生時代を送った学校と、現代のパリの下町の学校は全く違ったものなのだろうか・・
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2010年8月27日
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