2008年09月21日(日)
coffee break - 19 智に働けば角が立つか
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。」

これは、夏目漱石の有名な「草枕」の冒頭に出てくる言葉だそうです。これは日本人特有の感情なのか、世界共通の認識なのかよく解りませんが、少なくとも多くの日本人は、この「知・情・意」のバランスを上手く保ちながら生活しているように思います。

しかし、私は「智に働く」ことに、どうしても重心が偏ってしまう人間であります。少なくともアメリカ流のディベートというのを、私は好まない。あれは、機械的に二つのグループに分けられ、「あなたはこちらの立場に立って相手側の人たちと議論しなさい」というもので、ことの是非とか自分の思想とかには関係なく、相手側を論破する訓練です。

書店でもよく見かける「議論に絶対負けない方法」とかいう類の本は、だいたいあの手の考え方に立ったものです。何が正しいのかを追求するのではなく、如何に相手を言い負かすかということに何の価値があるのだろうか、というのが私の考え方です。

大げさに言えば、人類が営々として築いてきた文化というものは、ただ相手に勝ちさえすれば良いというものではないはずです。哲学者たちは、何のために存在するのでしょうか。

「なんでまた、急にそんな事を」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、私の所属しているのは内部監査室です。すなわち、会社内部の仕事が社内規程や法令に照らして正当なものであるか否かを判断しないといけません。

然るに、総務部の内部監査の事前打ち合わせの際に、こともあろうかわが室長が「われわれも会社から給料を貰っている身だから、『何がなんでも法令に適合していないといけない』と言っていられない場合もある。労使関係も安定している時期に、わざわざ総務部の『不適合』をあげつらう必要もないし、われわれにそれだけの法律的な知識があるわけでもない。」と仰せられました。

元総務部長の私としては、「そんなんやったら、もう監査止めといたら」と心の中で思いました。自浄作用が正常に働かないようなら、社長直轄の内部監査室なんかあっても意味がありません。人事・労務関係の知識がないのなら、勉強すればいい。第一、今の労働組合の執行部は全員営業マンです。労働基準法を始めとする労働法規なんて、ほとんど知りません。ついこの間まで委員長だった人間は、野球部の部長をやっていて、それによって社内での「子分」を沢山作り、自らの「出世」の手段にしようとしています。

会社のトップが本気で会社の体質を変えたいのなら、私は今からでも社会保険労務士の勉強をする覚悟はできています。総務部の実務の内容も、ある程度知っています。会社の心臓部である管理部門の中枢にメスを入れられないような内部監査室なら、ない方がいいと思います。

こういう考え方は、あまりにも「智に働き」過ぎでしょうか?
2008-09-21 18:50 | 記事へ | コメント(4) | トラックバック(0) |
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2008年06月20日(金)
coffee break - 17
久し振りの「coffee break」です。今週は、さすがに疲れました。金曜日の夜になるとほっとします。

実は私はこの一ヶ月ほど、「ピンチヒッター」として、子会社の総務・経理の実務を担当しています。毎日、半日だけ。その子会社で総務・経理を担当していたおばさんが、新社長と折り合いが悪く急に辞めることになったからです。私は二人ともよく知っているので、どっちもどっちだと思いますが、結局ツケが回ってくるのは経理や総務の実務経験があり、しかも「出世街道」から外れた私のような人間のところです。

総務・経理の経験がある方にはお解かりいただけるでしょうが、こういう仕事は「百点満点」が当たり前で、間違えると文句を言われるといった割の合わない仕事です。特に、総務関係の仕事は、こちらは仕事としてやっていても、相手にとっては私的なこと、あるいは個人的なことです。給料は生活費です。それを間違えることは、許されません。だから、こちらも非常に神経を使います。しかも、慣れないソフトを使って親会社とは違うビジネス環境の中で仕事をするのは、意外と疲れるものです。

しかも、少人数の会社だから、自分以外に「借方・貸方」を知っている人間がいません。自分自身を信じるしかないわけです。まあ、こういうのは初めての経験ではないので多少度胸が据わっていますが、この年になって領収証に金額に応じた印紙を貼ったりするのは、結構面倒なものです。

しかしまあ、親会社本体も図体がデカいだけで、真のリーダーシップを取れる人がいないので、体裁は保っていても、中身は空中分解状態です。

古参の契約販売員の人は、「今は自己保身をまず第一に考える人ばっかりだ」とこぼしていましたが、まさに同感です。かつては、K専務という「ナンバー2」が、「麻薬と女以外は何でも売って来い」と言っていたそうですが、そのK専務はハッパをかけるだけではなく、自分で新商品を開発してきた人でもありました。木造注文住宅に新規参入したときも、営業員が車で走り回っているのに自分が車を運転しないとおかしいと考え、60歳を過ぎてから車の免許を取りました。また、住宅の営業員は、お客さんが帰宅する夜が勝負です。だから、皆が働いている時に自分だけ遊んでいるわけにはいかないといって、好きな麻雀も止めました。これからの時代は英語ができないといけないと、英会話の勉強もしていたそうです。

そのK専務は、役員会でも創業者の社長に対して、間違ったことは間違っているとはっきり言ったので、結局、社長にはなれませんでした。繰り返しますが、今はそういう人はいません。他人にことごとく仕事を振っておいて、進捗状況はどうかとか、何やってんだとか文句をつけるのが上手い人はおりますが…。

社長も、人を見る目を養わないと、変なのを「参謀」につけると組織全体がおかしくなっしまうことを肝に銘じていただきたい。また、「イエスマン」だけを登用すると、会社全体が「イエスマン」の集合体になるのでご注意を!

以上で「今週の愚痴」を終わります。

Have a nice weekend
2008-06-20 20:39 | 記事へ | コメント(4) | トラックバック(0) |
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2008年03月25日(火)
coffee break - 16
久し振りのコーヒー・ブレイクです。

昨日の日経新聞の朝刊に、「社会人は『公私混同』を」というインタビュー記事が載っていました。「インタビュー領空侵犯」で、コピーライターの糸井重里さんがインタビューを受けていたのです。この記事の冒頭で、「社会人や企業人に『公私混同』をすすめているとうかがいました。」というインタビュアーの問いかけに対して、糸井さんは「生活主導の時代を迎えています。映画も観ない、洋服にも興味がない、休暇の楽しさもわからないという人がつくる商品は、安全確実かもしれないが、大きなヒットは期待できない。消費する側の自分を目覚めさせ、『私』で蓄えたことを『公』である仕事に役立てるべきです」と答えています。

私は基本的にこの糸井さんの意見に賛成です。この日の日経ネットPlus には、渡部卓ライフバランスマネジメント社長の次のような意見が掲載されています。

「今の日本企業の従業員は、業務に支障がない程度の『サボり』すら許されないほど締め付けられている。うつなど心の病にかかってしまう人が増えているのは、日本企業から害のないサボりを許容する余裕が失われているからだ。状況を変えるには、勤務時間の1割程度を業務以外の活動に当てられる余裕を社風として持つべきだ。」

私も最近、つくづくとそれを感じます。「締め付け」です。うちの会社では、営業マンにはノートパソコンが貸与されていますが、それを持ち歩いている営業マンはほとんどいないと思います。だから、必ず帰社して、夕方からパソコンに向かって残業することになるのです。

まず、社内規程で「PCの社外持出しは(中略)会社の許可を得た上、次の要件を満たす場合に限る。
(1)『ユビキタス』利用に際して、所定事項の遵守につき宣誓書に署名した者。
(2)社外に持出す目的が、プレゼンテーションの実施等営業上明らかに必要と認められる場合。
(3)自宅・出張先等から情報のアクセスをすることが、業務上明らかに効率的かつ営業上得策と認められる場合。」となっていて、そう簡単に持ち出せない雰囲気です。

「社内では、システム管理責任者が指定したPC以外を会社に持込み使用してはならない。」という条項もあります。携帯電話とモバイルPCの垣根が段々なくなってきているのに、時代錯誤というほかありません。

最近はインターネットも、誰がいつどのサイトを見たか記録されていて、何か一日中監視されているみたいです。まあ、他にも例を挙げれば切りがありませんが、あえてカッコ付きの公私混同を提言した糸井さんに拍手喝采を送りたいと思います。
2008-03-25 21:04 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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2008年01月06日(日)
coffee break - 15
また、明日から仕事です。今回の冬休みは長かったので、充分に休息が取れました。しかし、やっぱり休暇の最後の夜は嫌ですね。

結局、今年は1月2日に妻の実家へ年始の挨拶に行き、その近くの出雲大社大阪分祀へ初詣に行きました。これが唯一の初詣です。

今日は、叔父さんが動脈瘤で年末から入院しているので、お見舞いに行ってきました。当初の予定では、年末までに退院できる予定だったのですが、検査の結果もう一つ動脈瘤が発見されたので、入院が長引いているのです。やっぱり、歳を取ると色んな所に「ほころび」が出てくるものですね。もはや、私も他人事ではない歳になりました。健康には気をつけましょう。

休みのあいだに、写真の本を読了しました。これは会社の経費で買ったので、一応仕事の一部です。中立的な立場から書かれた本だから、と上司に薦められましたが、日本の労働者の現状を的確に捉えています。最後の章が、結論めいた部分なので、目次だけでも記しておきましょう。

1.勤務時間をきちんと管理する
2.業務量の調整権をもっと働く側に
3.法律の実効性を確保するには
4.働く側には問題はないのか
5.消費者としての勤労者
6.労働者の利益を守る代表としての組合
7.法改正の動向

私がこの本で少し異存があるのは、「5.消費者としての勤労者」です。労働者が消費者として利便性を求めるために、別の労働者が長時間労働を強いられるのではないか、という部分です。例えば、24時間営業のコンビニは便利だが、そのために別の労働者が夜間勤務や長時間労働をせざるを得ない状況に追い込まれているのではないか、という指摘です。

確かに、そういう面もあるでしょう。しかし、私の意見は少し違っていて、消費者としての労働者は、企業に欲望を煽られているのではないかと思うのです。例えば、携帯電話にしても、持っている人の何人がその機能を100%活用しているでしょうか。企業は利益追求の結果、他社との差別化のために様々な機能を追加し、商品は薄く軽く、そして多機能になっていきます。しかし、それは消費者の望みに応えるために研究・開発されたものでしょうか。それよりもむしろ、企業間の過当競争の結果だと思います。

私はアメリカでウォークマンを見た時に、「でかいなー」と思いました。日本のは、実にスリムで軽量です。しかし、それは日米の消費者の好みの違いによるものではなく、日本のほうが過当競争が激しいからだと思います。企業が労働者の欲望を生み出しているのです。

そして、著者も述べているように、日本の労働組合はもっとしっかりしなければなりません。労働基準法でも労働安全衛生法でも「労働者」という言葉が使われています。そして、「管理監督者」≠管理職ということを、肝に銘じてください。

それでは、明日から頑張りましょう。
2008-01-06 19:13 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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2007年12月02日(日)
coffee break - 14
昨日は「メンタルヘルス・マネジメント講座(ラインケアコース)」というのを受講するために、本町まで行ってきました。これは大阪商工会議所が主催して開催している「メンタルヘルス・マネジメント検定試験 U種(ラインケアコース)」の対策講座で、昨日の講義は団体特別試験取次店の民間会社のものです。午前10時から午後5時まで(昼休みは12時〜1時)という長丁場で、来週の土曜日は「講習+検定試験」という段取りになっています。

会社の本社の安全衛生委員会を開くと、「もう議題がない」と不満たらたらといわれるのですが、私は、今の時代の最大の問題は、過重労働とメンタルヘルスだと思っています。中央労働災害防止協会の季刊誌「心とからだのオアシス」創刊号に、島悟京都文教大学臨床心理学教授の「職場のメンタルヘルスの現状と問題点、対策の基本」という記事がありますので、そこから抜粋させていただきます。

1.第三次産業においては労働者が一定の事業場において労働することは少なく、営業職のみならず技術職においても、客先に出向き、また直行・直帰が少なくなく、労務上の制約があり、上司によるケアが十分に行なえないという課題があります。

2.1990年代半ば以降に、職場で劇的で急激な変化が見られますが、この変化は持続し、さらに深化しています。経営方針として、不採算部門の切り捨てと収益性の高い事業への「選択と集中」が行なわれており、その結果突然に職場がなくなるという事態が常時発生しているため、適応力の乏しい中高年労働者において不適応状態が見られます。

3.成果主義といわれる評価・報酬制度の導入が進行中ですが、組織の生産性とともにメンタルヘルスにも大きな影響を与えるものです。常に短期的目標達成に駆り立てられる状況は、労働者が慢性的ストレス状況に置かれることを意味します。急性のストレス状況よりも、慢性で持続的なストレス状況の方がメンタルヘルスへの影響は大きいと考えられます。この評価制度においては、評価される者のみならず、評価する者のストレスが大きいことが指摘されています。

4.経営効率を重視した結果として、組織には一層のフラット化とスリム化が見られ、ストレスのバッファーとして、「部下を見守り、助言し、ケアしていた」管理監督者層が薄くなった結果、個々の労働者はストレスを直接的に受けやすい構造になっています。さらに、管理監督者は「プレイング・マネージャー」化しており、管理監督者自身が部下の管理以外の業務に従事しており、非常にストレスが強い状態に置かれています。

以上が職場のメンタルヘルスの現状の要約ですが、この話を安全衛生委員会でしていたら、総務部長が「それは、危険な考え方だ」といったのです。私は唖然として言葉も出ませんでした。安全管理者である総務部長が、こういう考え方を「危険」だという状況そのものが、真に危険であると思います。

皆さんは、どう思いますか?
2007-12-02 09:09 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
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