2008年08月31日(日)
孤独の悦び
このディスクを聴いてみようという気になったのは、その題名「孤独の悦び Les delices de la solitude」というタイトルと、ジャケットの写真に惹かれたからである。演奏は、昨日ご紹介した「レ・ヴォア・ユメーア Les Voix Humaines」を中心にファゴットやチェンバロが加わっている。

作曲したのはミシェル・コレット(Michel Corrette, 1707 - 1795)というフランスの作曲家で、柴田先生の「西洋音楽の歴史=中」では最後のほうに登場する。その中で、「プレクラシック時代」という言葉が使われているのが示すように、バロックからクラシック(古典派)への過渡期の作曲家である。

“The Grove Concise Dictionary of Music”には、「彼の音楽のほとんどは安っぽく取るに足らず、彼の作品の多くは通俗的なメロディが使われている」と酷評されているらしいが、柴田先生の前掲書には「彼はひじょうに多作の上に、かなり風変わりな曲を残している」とある。「たとえばコンチェルトではマンドリンやコントラバスやハーディ・ガーディ(右の写真)をソロ楽器とするものとか、四本のファゴット(チェロでもいいらしい)のコンチェルトとか、四本のホルンのコンチェルト」などがあるそうだ。

この「孤独の悦び Les delices de la solitude」も彼の作品20に含まれる六つの組曲集を集めているが、ディスクの製作者の意図で、必ずしも作品20の1から始まっているのではない。5、6、4、2、3、1の順番に収録されており、最後に“Le phenix”という三楽章形式の曲で終わる方法を採っている。

複数のファゴットだけで演奏されている曲もあれば、ガンバの二重奏だけの曲もあり、チェンバロも加わってそれらが総出で演奏されている曲もある。ただ、総じて低音楽器が使用されているため、煌びやかな華やかさはない。

これがオリジナルの楽器編成によるものなのか、演奏者のアレンジが加わっているのか分からないが、全体を通して聴くと変化に富んだ内容になっていて飽きることがない。ただ、「孤独の悦び」というタイトルから想像されるものとは少し違うように、私には思われた。少なくとも、自らの孤独をぐっと噛み締めているような内容ではない。

なお、「レ・ヴォア・ユメーア」のガンバの演奏は、ただ悠揚としているだけではなく、時に軋むような響きを奏でている。彼女たちは古楽の楽曲を演奏するだけでなく、現代音楽をガンバ・デュオのために編曲したりしているそうで、その片鱗を垣間見た気がした。
2008-08-31 14:03 | 記事へ | コメント(0) | トラックバック(0) |
| 古楽について / ミシェル・コレット |
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